岩田健太郎 K Iwata

最新刊は「実践・健康食」「カンボジア医療の歴史,現在,そして未来 世界で役に立ちたいあ…

岩田健太郎 K Iwata

最新刊は「実践・健康食」「カンボジア医療の歴史,現在,そして未来 世界で役に立ちたいあなたへ」「熱、諍い、ダイヤモンド」。米国感染症専門医、米国内科専門医、漢方専門医など。渡航医学や感染防御も。神大感染症内科。コメントは個人の見解。

最近の記事

酔いどれ卵とワイン

たまーに読みたくなる平松洋子作品。センス抜群、気持ちの良いエッセイ。

    • 内科診断リファレンス第2版

      献本御礼 きれいなオールカラーにQRコード うそみたいだろ 単独著者なんだぜ、このコンテンツのボリュームと質で 日本の、いや、世界の診断学のテキストでも屈指の存在たる金字塔。この地位はもう動かないんだぜ。 な、うそみたいだろ 貪るように読んだ名著の改訂版、ついに爆誕。上田先生が凄いのはまあそうですが、本作は編集の快挙とも言える。実に読みやすい。

      • ねころんで読める消毒薬

        献本御礼。 これはいい。超面白かった。 白状すると、消毒薬の勉強は数年に1回くらいしかしない。最後にやったのはCICの試験受けたときかな。そういう感じなので、はっきり言って知識が弱い。理解が浅い。看護師さんにお任せ、になりがち。 読みやすいし知らないことが多かった。CNICは本書でとっても助かるんじゃないかなあ。

        • AIの時代に英語力は不要か

          オーセンティックな教科書を読むには知性だけでなく、体力というか、胆力も必要とする。ほとんどのオーセンティックな教科書は英語でできているから、英語力は必須である。 とはいえ、文学作品を読むような超高等レベルの英語力は必要ない。医学書には一つの文章にダブルミーニングをつけたり、伏線をはったりすることはない。 アガサ・クリスティやエラリー・クイーンの非常に質の高いミステリーを邦訳で読むと、「ああ、これを原書で読んだら本当はもっと面白いんだろうな」と思うのだが、私の英語力では、実は原

        酔いどれ卵とワイン

          臨床医学の教科書はもう不要なのか

          医学論文へのアクセスが劇的に改善したのはインターネット、およびPubMedのおかげである。手軽な論文検索、論文閲覧が可能になった21世紀初頭、ガツガツ論文読んで勉強するタイプの研修医あたりから、「教科書は時代遅れ。情報が5年くらい遅れていることもある。もう、教科書は読む必要はない」と豪語する人がチラホラと出現するようになった。 しかし、私はこの見解に与しない。 もちろん、論文検索、論文吟味のメリットや重要性を軽視しているわけではない。インターネットの時代に、テクノロジ

          臨床医学の教科書はもう不要なのか

          感染症医になるということ

          日本では「感染症医」というジャンルが実質存在してこなかったのだが、21世紀になってこれがあれやこれやの事情でようやく診療科として「実質的に」創出され、後期研修医が指導医と育って成長のサイクルが生まれだした。 海外では感染症医の歴史はずっと長く、特にアメリカのそれが有名だ。一般的には「Dr.ハウス(ヒュー・ローリイ)」がその存在を有名にしたと言えるだろう。 そのアメリカでも感染症医になりたいという人たちが激減している。最大の理由は「給料が低い」というもので、テクニックを駆使

          感染症医になるということ

          恐怖の正体

          本屋でばったりであった本。春日先生の本をそういえばしばらく読んでないなあ、と即買い。もっとも、読了までには時間がかかった。 ベルクソンの「笑い」に似た、エッセイ的な分析の本。膨大な読書と映画鑑賞記録、そして自身の人生や診療録が記載に厚みを与えている。さすがである。 佐川一政という人のことは本書を読むまで知らなかった。

          人生に「意味」なんかいらない

          献本御礼 各論的な部分では異論もあるけど、全体的には「そうだよなあ」な本。人生には「意味」はない。誠にその通り。あらゆることにも「目的」はない。あるいはあるとは限らない。「適応」もその一つ。 本書でも紹介されている「構造主義科学論の冒険」は愛読書で、おそらく5回くらいは読んだ。そこでは「科学は真理を求める営為ではなく、同一性を求める営為である」と鋭く書かれている。「新型コロナ」の最大の問題は、コトバが現象をコードできなくなったことだと最近は思い至るようになった。池田先生が

          人生に「意味」なんかいらない

          ウイルスはそこにいる

          献本御礼。 ぼくは臨床屋なので基礎医学には疎い。こうして勉強の機会をいただけるのは本当にありがたい。 本書は非常に読みやすいウイルスやウイルス感染周りの免疫についての入門書だ。内容はまったくマニアックではなく、門外漢でも簡単に読破できるだろう。おすすめである。 おそらくは、本書のタイトルや序文から推測して、本書の白眉は第7章、ということになるだろう。近年、注目されている「ウイルスが「底」にいる」トピックだ。 コウモリのiPSとか、野ウサギに感染させたミクソーマウイルス

          ウイルスはそこにいる

          学び直し風邪診療

          献本御礼。非常に興味深い本だった。 風邪を論じた良書は日本に多い。おそらく海外よりも多い。それは逆説的に、日本がこの疾患とうまく折り合えていなかったがゆえの苦悩の表れでもある。 ぼくは「立場から」論ずる事自体に否定的で、学会で「なんとかの立場から」みたいなシンポを見ると「けっ」と思ってしまう方だ。言説は普遍性を持つべきで、ある「立場」にある人に特権的なコトバがあることが断絶や対立を生んでいると考えるからだ(イスラエルを見よ!)。が、あえて言うならばこれは東京医科歯科大学の

          学び直し風邪診療

          感染対策の手引き

          献本御礼。 以前から愛用していた感染対策のマニュアルがあるのだが、これがいつだったか絶版になってしまった。ウェブ上で情報は更新されているのだが、こういうのはハンドブックでちゃちゃっと調べたいのである。不便な日々を送っていた。 そこに本書である。わたせせいぞうのような爽やかな表紙ではあるが、決して青春小説でもラブロマンスでもない。中身はガチにオーセンティックな感染対策の手引きである。こういう端正な本は自分では作れないので本当に感謝。今日から活用したい。

          感染対策の手引き

          Patient centered medicine

          このトピックをテキストで学ぶのは久しぶり。流し読みしました。トピックやツールやエビデンスは変化するも、前半の根っこのところは特に変化がない印象。 我々はかなりPatient centeredなプラクティスを実践しているけれど、それを可能にしているのはむしろハードボイルドなファクト認識。でも、そういう議論は本書では割と少ない。 むしろ本書の事例ではMedicalization問題が深刻で、逆説的にPatient centeredではなくなってる問題がある。患者の話をよく聞け

          Patient centered medicine

          五匹の子豚

          傑作と名高い本作、まだ読んでなかったので読みました。なるほど、素晴らしい作品でした。 中学生の時にクリスティにハマり、学校の図書館で借りまくって読んだのですが本作は入ってなかった。でもよかったです。中坊が読んでもよく分からんでしょう。 「アクロイド」「ABC」「そして」「オリエント」のように、「この作品はこういうトリック」と言えないのが本作。実にしみじみしてよいです。ラストは特に素晴らしかった。

          だからあれほど言ったのに

          献本御礼。内田先生の新刊。読書についてと、少女漫画の論考が特に突き刺さりました。

          だからあれほど言ったのに

          イスラームから見た西洋哲学

          これは面白かった!池田清彦先生の「構造主義科学論の冒険」以来の興奮する本。こういう「スケール(風呂敷?)がやたらに大きな本」が大好きです。言い換えれば、「総合的な本」というべきか。 https://amzn.asia/d/0ja2o3l

          イスラームから見た西洋哲学

          図説 宮沢賢治

          総合的な知性、という意味では北の宮沢賢治、西の南方熊楠だと思っている。大地に根付いた高い知性と創造力。そして想像力。その人生を俯瞰する資料。

          図説 宮沢賢治