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#20 意思決定の判断基準        「利用可能性ヒューリスティック」その1


利用可能性ヒューリスティックとは

思い出しやすい出来事ほど起こる可能性を高く見積もってしまうことをいいます。

年明けて間もない今年のお正月、私たちは惨劇を目の当たりにしました。
羽田空港にて旅客機に突っ込む海上保安庁の航空機、炎上する旅客機…。2024年1月2日夕刻のことです。
ただでさえ元旦の能登の惨事を悼んでいる心の中に、大きくかき乱すような事故が発生。しぼんだ心に追い打ちをかけるような疲労感で、当事者でなくともぐったりしてしまいました。

客室乗務員の機転で、奇跡とも呼ぶべき「犠牲者0」の顛末でしたが、ペットや財産など大切なものを失って、すべてがHappyではなかったはずです。

飛行機は危険だ!?

そうするとこういった構図が実はわたしたちの中に出来上がります。1985年の日航機事故では多くの人の命がなくなりましたし、2001年の同時多発テロでは、ビルに突っ込む旅客機の衝撃的な映像を避けて過ごすことはできませんでした。
一度に多くの人の命が奪われてしまうことから、飛行機は危険だ!と考えてしまいがちですが…。
本当は交通事故で亡くなる可能性の方が数段高く、飛行機事故に遭う確率は宝くじに当たるよりも低いのです!

思い出しやすい出来事ほど起こる可能性が高いと感じる。

宝くじの高額当選者になるより、飛行機事故に巻き込まれて犠牲者になる可能性が高い!
だって、日航機墜落事故も、同時多発テロもあったし…
人間はこう考えてしまう傾向にあります。

ワクチンの是非についてもそうかな?と思います。あと、インフルエンザの治療薬「タミフル」の時もそうだった。
マスコミ報道が人の考え方を変えてしまうケースはよくあります。

副反応報道は認知をゆがめるのか?

タミフルがインフルエンザの治療薬として世に出始めたのは、子どもたちが中学と高校の時でした。今までは出席停止になるなど長期で休まなければならなかったり、自力で直すには体力が必要となり、小さい頃は目を離すこともできず、ワーママとしては結構大変な生活を送っていたところの朗報…しかし副作用報道!
自分のことならあえてチャレンジして投与しますが、子どものことになると慎重にならざるを得ませんよね?
結局、投与をお願いしましたが、世の中に躊躇した母親は山ほどいたと思います。

そういった報告を受けて厚生労働省が調べたところ、何らかの異常行動ととれる変わった行動があった患者さんは、タミフル投与群で11%(840/7438例)であったのに対して、タミフルを投与していなかった群は13%(286/2228例)となり、むしろタミフルを投与したことによってインフルエンザ脳症による異常行動を抑えたということになります。

タミフルで恐れられる異常行動とは? | 医者と学ぶ「心と体のサプリ」 (mentalsupli.com)

マスコミもタミフルや国を陥れようとしたのではないのでしょうが、受け取る側がすべての材料を吟味して「する」「しない」を選択したのかは疑問が残ります。
データが蓄積されるまでは一か八かの選択を迫られるかもしれませんが、例えば「絶対とは言えないが体にはいいはず」と言われるものが、伝え方として「ひどい目に合うこともある」を比重高くしてしまうと、わたしたちは本当の選択ができなくなるかもしれません。

受け取る側のわたしたちも、こころしておかねば!です。


参考:Udemy はじめての行動経済学 丹羽亮介講師


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