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一方的片思い彼女 553字

わたしは、一方的片思い彼女である。
いや、彼女なのかもあやしいところだ。
彼はわたしと顏を合わせるなり、着衣をはがしにかかる。
これがセフレというやつなのかもしれない、とこのごろ本気で悩んでいる。

***

「みずきの家の近くに、抹茶専門店ができたって言ってなかった?今日行く?」
人の話を聞いているのかいないのか、得意種目/生返事の彼の放った言葉とはにわかには信じがたい。
「…泣くほど?」
「2カ月デートしてないもん」
色気のかけらもなく、わたしは鼻をすすり上げる。

あきれているのか、彼は先週散歩に行ったと指摘する。
「バナナはおやつではありません。…じゃなくて、散歩はデートとは認めない」
それでも、散歩は準デートに位置づけられ、うれしいことに変わりはないと注釈を加えておいた。

***

「体だけならわたしじゃなくてもいいじゃん、ってずっと思ってた」
鳩が豆鉄砲を食ったように、きょとんと固まる彼。
「いやいや、どんな鬼畜だよそれ」

言動や匂いや感触が、いちいちツボ…?
「言いかた」とわたしは指導する。
「これでも、がんばって言いましたが?」
甘い苦いの基準がちがいすぎるようだ。

なぜか彼はいつものモーションに入る。
「ほら。すぐそうやってキスに持ち込もうとする」
「みずきのせいだっつの」
もしや彼女がかわいすぎて、さわらずにいられない…とか?
まさかね。

(おわり)


このお話は、歩行者bさんのこちらの作品にインスピレーションを受けて作りました。
「勝手にスピンオフ」?「リスペクト的二次創作」となっております。

なお、作者には無断の暴挙でして、リンク掲載にて事後報告といたします。
ありがとうございました(ぺこり)

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