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何度も聴きたいロック名盤をご紹介 ③

アーティスト:ニューオーダー
名盤:テクニーク

3回目はイギリス勢から紹介します。
5作目にあたる『テクニーク』(1989年)は当時新しいクラブ・サウンドが芽生えていたイビサ島でレコーディングが行なわれ、
流行を先取りした同作はアメリカおよびイギリスなどでゴールドディスクに認定され、名実ともに彼らの黄金期を代表するアルバムとなります。
本作で初めて全英アルバムチャートの首位を獲得し、アルバムは“ロックとダンスの融合”という表現があてはまります。
クラブシーンの影響を受けたサウンドだけあって、全体的には振り切れ方が凄くて、とてもハッピーで明るいサウンドです。
当時流行の先端であったハウスから派生したアシッド・ハウスを取り入れたテクノ、ダンス色の強いアルバムとなっており、
ハウス系ダンスミュージックと心地よいアコースティック音楽の融合が何ともいえない稀な美しいアルバムです。
この後、徐々にバンドの人間関係がおかしくなるので、ある意味、最後の充実期と言えます。

振り返ると、ニューオーダーほど数奇に満ちたロックバンドはないと思います。
マンチェスターで結成されたイギリスのロックバンドで、ポストパンクの代表的なバンドの一つジョイ・ディヴィジョンを前身とします。
イアン・カーティスの自殺によりボーカリスト兼作詞家を失ったジョイ・ディヴィジョンは活動停止を余儀なくされ、
残された3人のメンバー(バーナード・サムナー、ピーター・フック、スティーヴン・モリス)は話し合いの末、音楽活動を継続します。
1982年には所属レーベルのファクトリー・レコードの社長であるトニー・ウィルソンと共同経営の形でマンチェスターにディスコをオープン。
「ハシエンダ」と名付けられたこのクラブは、英国の初期のクラブ文化の発展に寄与し、
1980年代終わりから1990年代始めに掛けて世界中に衝撃を与えたマッドチェスターやセカンド・サマー・オブ・ラブといった音楽シーンを生み出す母体となりました。
ですので、イギリスの若手バンドからの評価が高く、シーンにおける影響は大きいです。
2007年以降、事実上の解散状態にあったが、2012年2月にピーター・フック抜きで再結成したことを表明し、現在に至っています。
アルバム「テクニーク」以前とそれ以降では、音楽性が随分と違うため
ジョイ・ディビジョン的な要素が本当に無くなってしまった感がある一枚で、初期あたりの音楽性が好きな人は「テクニーク」以降のニューオーダーは好みではないかもしれません。
とは言え、全体的なサウンドに統一感もあるので、彼らのターニングポイントともいえる傑作であることは間違いありません。

アーティスト
バーナード・サムナー - ボーカル、ギター、キーボード ※通称、バーニー
スティーヴン・モリス  - ドラム、キーボード
ジリアン・ギルバート- キーボード、ギター
ピーター・フック  - ベース、パーカッション ※通称、フッキー

  1. " Fine Time"
    シングルカットされ全英11位。アシッド・ハウスのキラーチューンサウンドで飛び抜けていて、いきなりこの曲で始まるのはちょっと抵抗感があったりします。
    ビックリするくらいに派手に装飾された打ち込みサウンドです。

  2. " All the Way"
    一転してアップテンポなサウンドを展開。シンセによる装飾が時折入るものの、比較的素朴な曲調で前曲よりも聴きやすくて魅力的です。
    爽やかさの中にメランコリックな感覚を持ち合わせていて切ない気分にさせます。
    キュアーの「Just Like Heaven」のコード進行を拝借。これは、先にキュアーに自分達の曲のコード進行を拝借されたお返しのようです。

  3. " Love Less"
    イントロでバーナードか誰かの咳が入っています。メロディアスで好きな曲です。
    繊細で小気味良いアコースティックギターと高音ベース、軽快なドラムが合わさって心地良さを生み出しています。
    バーニーの優しい歌メロも良いです。

  4. " Round And Round"
    シングルカットされ全英21位。ダンス・ビートですが、これまた聴きやすいエレクトロポップサウンドです。
    落ち着きのある哀愁のメロディに対して、チープなピコピコシンセがミスマッチでありながら心地よい感じがします。

  5. " Guilty Partner"
    軽快なアコースティックギターとドラムに、高音ベースが目立ちます。

  6. " Run"
    「Run2」と言う別バージョンがシングルとなり、全英49位。
    突き抜けるような爽やかさのあるギターロックでバンドサウンドを前面に爽やかな楽曲ですが、途中にノイジーなギターをアクセントとして挿し込んでメリハリをつけています。
    穏やかでポップなメロディが良い感じで、終盤のアコースティックギターは美しさを感じます。
    ジョン・デンバーからギター・リフの盗作で訴えられ敗訴しました。

  7. " Mr.Disco"
    ビートの効いたダンス・ナンバーです。
    ノリノリの派手な演奏とは裏腹に、バーニーのメランコリックな歌メロが切ない印象を与えます。

  8. "Vanishing Point"
    グルーヴのある派手なサウンドですが全体的には哀愁が漂います。美しい間奏に魅せられます。

  9. " Dream Attack"
    1分30秒もイントロが続き、途中でも1分以上の間奏をはさみますが、歌の部分は聴きやすいです。
    軽快なバンド演奏で程よくダンサブル。ダンス路線とネオアコ路線を良い具合に融合している感じです。

以上が今回のアルバム評となります。ロック入門の一助になればと思います。ご参考になればうれしいです。


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