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大切な友人へ~きっかけをありがとう~

 数年前、友人からある本をプレゼントされました。
その友人はいつも私の体調やメンタルを気遣ってくれる心優しい人で、彼女のやさしさにいつも救われ、私自身の内面や過去のエピソードなどを話せる数少ない友人の一人でした。
彼女はいつも私に合いそうな自律神経や内面の整え方などについての書籍を本屋さんで見つけてきては、家の玄関のドアノブにそっと置いて帰ってくれていました。

 その日は私の誕生日でした。
朝、出がけにドアノブにかかった大きな紙袋ですぐに彼女からのものだと気付き「わぁっ!」とワクワクする思いで中身をひとつひとつ取り出しました。紙袋の中には彼女が私のためにと丁寧に選んでくれた数々のプレゼントと共に、一冊の書籍が入っていました。

『繊細さんの本』

・・・ん?
せんさいさんのほん?
せんさいさん・・・わたしのこと?
 
表紙の中の【一番売れているHSPの本】の文字に、それまでなんとなく感じていた

“もしかして、・・・?”

という頭の片隅にあった予感のようなものが思考の中心に近づいてくるような感覚がありました。
しかし、なぜかすぐには読む気になれず、しばらく本棚に入れて飾る日々が続きました。

 あるとき、仕事のストレスで心の疲労度がピークに達し数日眠れない日々が続いていました。どうにか対処法が無いだろうかと考えていたとき、
ふと目に留まったこの本を手に取りパラパラとページをめくりました。
自身の考え方や感受性に思い当たるようなワードの羅列に
「あぁ、そっかそっか・・・」
と妙に一人で納得し、安心感のようなものを得た気持ちに包まれました。

相手から言われた言葉やそのときの表情ひとつひとつが延々と頭の中をぐるぐると廻り、
その言葉の裏の意味や相手の心情や根底にある感情を探り、
自分の返した反応が相手にとって望ましいものだったのか、
意図したニュアンスで受け取り受け取られたのか、
どう行動し返答すればスムーズにいったのか、等・・・
考えれば考えるほど堂々巡りのスパイラルに呑まれて頭がパンクしそうになるのは、そういう“気質”をもっているから。
そしてそれを相手に悟られないようにしようと取り繕うことに気を遣いすぎて心が疲弊してしまっていたのか・・・なるほど、そっか、そういうことだったのか。

 それから本のページをめくり読み進め、この気質をもつ人が社会の中でどう振る舞い自己表現しながら生きていけばいいのか、どのように考えれば楽になるのかというヒントや方法が・・・
書いてあるっ!!!・・・思わず笑みがこぼれそうになるほどの大発見をした気持ちでした。
それと同時にこみ上げてきたのは、この本を私のために選びプレゼントしてくれた彼女への深い感謝の気持ちでした。

 同じ訪問看護ステーションに勤務していた一つ年下の彼女は、その美しい容姿と人懐っこい天然な性格で周囲の誰もが彼女を好きになる魅力的な人でした。
私が入社し半年後に入社してきた彼女とその日のうちに打ち解け、いつの間にか心を開きそれまであまり人に話さなかった自分の考え方やこだわり、人と関わる中で感じてしまうセンシティブなことや過去のつらい出来事まで打ち明けられるようになっていました。
そんな私に彼女はいつも「それがあなただからね。」と笑って全てを受け入れてくるようなこの言葉を返してくれ、一人じゃないと思わせてくれるその存在に私は心から救われ、そのたびに

“私は私でいいんだ。だいじょうぶ”

と自身を肯定させてくれていました。
そんな彼女が、私自身を客観的に見られる方法とその考え方や気質から少しでも生きやすくなるようなヒントが得られるように・・・とこの本を選び誕生日にプレゼントしてくれたその暖かい想いに触れ、
なんて素敵な人と出会えているのだろう、この縁に感謝して一生彼女との友情を大切にしたい!そう心の底から何度もこみ上げてきました。

 このことをきっかけに、私は自身がHSPの気質をもっていること、
そしてその気質が強く現れるときに心が疲弊して身体的な症状が出やすくなること、そもそもどういった場面に出くわすとHSP気質が出やすいのか、などを知り自覚するに至ったのでした。
自覚したことで、それまで疑問で仕方がなかった自分の内面への納得と受容、そういう気質を持つ自身という新しいアイデンティティの認識ができ、すこしは客観的に自分の感受性や感覚、感情に目を受けられるようになった気がしています。
それでもやはり「どうしていつも自分はこうなんだろう」「この感覚って自分だけなのかな」など感情に呑まれ客観視できないときも多々ありますけどね(汗)
 
 
今回はHSPを自覚したときのこと、それからそのきっかけをくれた大切な友人のエピソードを書かせて頂きました。
数あるたくさんの作品の中から立ち止まって最後まで読んでくださり本当にありがとうございました。

皆様にとって、
今日という日、そして明日からも
ありのままのあなたらしく過ごせる日々でありますように。

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