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ブラジルと人種

私はかつてブラジルと関連する職場にいました。そのため、ブラジルに関連するお話をする機会に恵まれました。ここから何回かに分けて、ブラジルを人の移動とのかかわりから考えてみたいと思います。


1. はじめに

みなさんは、「ブラジル人はどんな人たち」という問いにどうこたえられるでしょうか。ブラジル人にあったことはなくても、なんとなくのイメージをもっているのではと思います。たとえば、陽気だとか、思慮深いとか、親切だとか、意地悪だとか、いろいろあると思います。

 では、外見ではどんな人をブラジル人だと思うでしょう。ブラジルといえば、バレーボールやサッカーが有名です。リオオリンピックでは、女子バレーボールの選手では、シェイラ氏などが話題を集めたし、男子サッカーのネイマール選手もいろいろな意味でよく知られています。では、この顔はブラジル人らしいという顔はあるのでしょうか。

 最初に行ってしまえば、ブラジル人の外見を統一することは本当に難しいです。ブラジルは、19世紀以降、さまざま地域から移民を受け入れてきたうえ、混血も進んでいるからです。だから、ブラジル人は「混血の国民」とも呼ばれています。

 たとえば、日本の外務省は、ブラジルの民族集団を、欧州系、アフリカ系、東洋系、混血、先住民と分けているようです。そのうち、混血は4割を超えています。ブラジルの人口は2億人を越えますから、約8000万人がさまざまな地域の文化的伝統を受け継いでいるというのです。

こうしたことを反映してか、ブラジルでは人種別の統計があります。統計では、身体的特徴、つまり肌の色や髪の色、目の色、あるいは口や唇のかたちによって、人々を5種類に分類しているようです。ブランカ、プレタ、パルダ、アマレーラ、インジジナです。

 以下、ブラジルの人種について考えてみます。


2. 人種とは何か

ブラジル人というのは、ブラジルという国に所属する住民です。つまり、ブラジル人は人間を国家に分けて分類した呼び方です。

一方、人種というのは、人間を共通の遺伝的特徴を持つ集団を指します。したがって、歴史的・文化的な共通性をもつ「民族」、政治的・行政的共通性を持つ「国民」、宗教的共通性を持つ「~教徒」のような分け方ではありません。

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