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読書感想 夢野久作 いなか、の、じけん

夢野久作の短編集(ショートショート集なのかな?)です。20編の超短編で構成されています。
タイトル通り「田舎の事件」ばかりが書かれています。夢野久作が故郷の九州地方で実際に見聞きした出来事をモチーフにした作品のようです。

青空文庫のおすすめ50に入っていてびっくりしました。

 短いのですぐ読めるのですが、非常に満腹感を得られる作品です。おそるおそる再読したのですが、やっぱりお腹いっぱいです……。読まなきゃ良かった……。

何がそんなにボリューミーなのかと言いますと、田舎のリアリティを伴った、ねっとりとした陰惨な出来事がこれでもかと書かれているのです!そしてそれを悪趣味に描写する(失礼…)夢野久作の技量といったら!

はっきり申し上げまして、胸糞悪くて薄気味悪い、偏見に満ちたおはなしばかりです。薄気味悪いのはいいんだけど、胸糞悪いのは私は苦手なんですね。

感情をこめずに事実だけを淡々と描写しているのがより一層不気味なのです。しかも実話ベースだからもはや心の逃げ道がないじゃないですか。


しかし、ユーモアと風刺は紙一重です。こんな猟奇的で陰惨な内容を芸術的に(ブラックユーモア風に)書けるのはすごいと思います。

これだけ満腹感を得られるホラー小説はなかなかないと思います。
閲覧注意ですが、青空文庫オススメ50位内に入っておりますので、ホラー好きな方はぜひ一度読んでみてください。夢野久作の技量にビビりあがる(驚愕する)こと間違いなしです。

この作品はいささか悪趣味ですが、夢野久作は他に素晴らしい作品がたくさんあります。
青空文庫で少しずつ読んでいるのですが、おっと思うものがありましたらまた紹介したいと思います。




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