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読書感想 芥川龍之介 袈裟と盛遠

こちらは、平家物語の異本のひとつである源平盛衰記を芥川龍之介がアレンジしたものらしいです。ちなみに私は古典文学は全く不案内です。全っ然わかりません!!
(堂々と書くな!笑)
間違ってたらごめんなさい!

もう少し、古典文学の知識があれば、文豪の作品をより深く理解出来るのだろうな、と思います。また違った角度からも考察できますしね。
機会があれば改めて勉強したいですね。

さて、こちらの「袈裟と盛遠」ですが、
原典は割とわかりやすい物語らしいのですが
芥川龍之介の手に掛かったことで
かあぁーなりエグい仕上がりとなっております。笑
でもそのエグさがたまりませんって。


月の出を待つ男は、関係を持った人妻の夫を今から殺しにいくところです。

一方女は月が傾いても現れない男をやきもきしながら待っています。

それぞれ、相手に対する自分の思いを深く深く掘り下げて考えます。
自分は本当に相手のことが好きなのだろうか、と。
お互い、相手の事を憎む一方で、やっぱり愛しているのだ、という結論に至ります。

物語はほぼ双方の独白が綴られているだけなのですが、
それが心の深いところまで、鋭い切れ味を伴いながら丁寧に描かれています。

「好き」と「嫌い」、「愛」と「憎悪」
って、表裏一体というか、兄弟みたいなもんだと個人的に思います。
だから、ちょっとしたことですぐに愛が憎悪に変容しますよね。
しかも、好きの振れ幅が大きいほど、嫌いに転じた時の振れ幅も大きい気がします。

そういうことも、ここまで深く追求して文章で表現するなんて、よっぽど感受性が豊かでないと出来ない気がします。

感情という、目には見えない存在を豊富な語彙力をもって色鮮やかに描写出来るのも、芥川龍之介が天才たる所以な気がします。



原典を知らなくても充分楽しめるこちらの作品、短いのですぐに読めます。
大人の皆さま、エグさがたまりませんよ。笑

ぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。





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