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読書感想 東野圭吾 むかし僕が死んだ家

天才東野圭吾さんの初期の作品です。


主人公のもとへ、かつての恋人から電話がかかってきます。

主人公は元恋人とともに、元恋人の父親が所有していたという山の中の空き家を調べる事になるのですが……。

二人が家に残されたものを手がかりに衝撃的な事実を突き止めていくミステリーです。

つまり登場人物はほぼ二人だけです。二人だけなのに!ちゃんと!謎をといていくんです!


すごいです。
伏線の回収が神がかってます。
ネタバレ厳禁ですね。



主人公は一連の事件を理解して思うのです。

 
「そして誰もがそういう、むかし自分が死んだ家をもっているのではないか。ただそこに横たわっているに違いない、自分自身の死体に出会いたくなくて、気づかないふりをしているだけで」


これわかる気がするなあと思うんですよ。

人は成長するにしたがって、古い自分を脱ぎ捨てていきますよね。

さなぎから蝶になるというか
脱皮というか…笑

それを繰り返して今の自分になっていきますよね。


他の人には見えない私自身の死体が、むかし住んでいた家にそのまま残ってるんじゃないかなあと思うことがあります。


その死体は、直視できないほど醜いものを抱え込んでる気がしますね。

でも、脱皮を繰り返して、少しずつ軽くなって現在に至るわけですから、
全然問題ナッシング(死語)ですけどね!!


春は出逢いと別れの季節です。

温かな春の日差しを感じて、ふとそんなことを思ったのでした。

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