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読書感想 梶井基次郎 Kの昇天

不思議な、神秘的なお話です。
月明かりで出来る自分の影をずっと見ていると、だんだん影に自分の姿が現れてきて、しだいに影が意思をもって動くようになり、
しまいには自分自身の意識が遠のいて、月に昇天してしまう、とKは「私」に言うのです。
Kは満月の晩、海で溺死します。
それは自殺なのか、過失なのか…誰にもわかりませんが、「私」はKの魂は月に昇天したのだと思うのです。

ある程度市街地に住んでいると、月の影なんて普段あまり意識しないと思います。
けれども、晴れている満月の晩は、本当にはっきりと影が見えます。
日光で出来る影と違って見慣れないせいか、改めてじっくり見てみると不思議な存在感を放っている気がします。
うっかり見つめ過ぎないようにしないとですね。笑
梶井基次郎は晩年、肺結核による死に脅えながら、自身の月の影を見て何を思ったのでしょうね…。 

満月の日は犯罪や交通事故が多いとかたびたび耳にしますが、実際のところ月の満ち欠けと人間の行動については特に因果関係はないみたいですね。

でも……、月をみるとせつなくなりませんか?
(わたしだけ?)

飲み会の帰りに一人で夜道を歩いているとき、ふと見上げた空に浮かぶ月のせつなさといったら!月を眺めるたびに昔の恋を思い出したりしたものでした(若い頃のはなしです……今はそんなことはありません笑)

月光には人間の心に神秘的なものを引き寄せる何かがあるんでしょうね。

忙しくて心が荒んでいるな、と思うとき、なるべく月の光を見るようにしています。
ほんの少しでも月光浴をすると、心が浄化される気がします。

また忙しい一週間が始まります。
自分の方向性を見誤らないためには、日々の浄化が大切ですね。


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