マガジンのカバー画像

読書感想文

122
思うがまま感想を書き連ねています
運営しているクリエイター

2023年7月の記事一覧

読書感想 横光利一 機械

読書感想 横光利一 機械

 引き続き横光利一特集です。笑

 横光利一の代表作です。これまたすごい作品だと思いました。

 まず文体が独特です。段落や句読点が極端に少なく、人によってはかなり読みづらいと感じる文章だと思います。

 あらすじとしては、ネームプレート製作所で働く「私」が、一緒に働く同僚の職人からスパイだと疑われたり、また疑ったりして、互いに疑心暗鬼になりながらついには殴り合いに発展し…、みたいな物語です。語り

もっとみる
村上春樹 ねじまき鳥クロニクル

村上春樹 ねじまき鳥クロニクル

「街とその不確かな壁」を読み終わり、なんだかむっしょーに「ねじまき鳥クロニクル」を再読したくなった私は、電子書籍を衝動買いして貪るように一気読みしました。

 村上春樹さんの書籍のなかで、私はこのねじまき鳥クロニクルが結構好きです。作品全体を通しての感想としては、掴みどころのない摩訶不思議な物語!って感じです。が、村上さんの作品には珍しく、登場人物の回想という形をとってはいるものの直接的な戦争の描

もっとみる
読書感想 横光利一 時間

読書感想 横光利一 時間

 横光利一の短編小説です。こんな不思議な小説初めて読みました…。

 この作品は旅芸人一座の12人の男女が共に夜逃げをする物語で、極限状態にある人間の心理や、彼らが不幸に見舞われるたびに起こす行動がかなり細かく描写されています。それにも関わらず、それほど陰湿な印象はなく、むしろユーモアに富んでいて笑える部分があるように思えます。(私には)

 夜逃げの道中互いに疑心暗鬼になったり、急に結束が深まっ

もっとみる