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意外と難しくない!バレーボール用語

今回は記事を読んでもらう上で、押さえておいてほしいバレーボールの専門用語についてまとめてみました!
テレビの中継試合などでも使用されている用語も多くありますので、この用語はどういう意味なんだろうと思ったら、ぜひチェックしてみてください🏐

(注釈:途中でポジション、ローテーションの話がとても難しくなってしまいました!難しいと感じた場合、すぐ読み飛ばしてもらえればと思います。その下の項目も重要なので、できれば最後まで読んでいただきたいです。)



まずは、基本的なプレーに関する用語です。
比較的簡単だとは思いますが、最近使われだした聞き馴染みのない用語も多いと思いますので、各プレーごとに解説していきます。

・サーブ

サーブというのは、プレーの一番最初に行われる行動です。
昔はアンダーハンドサーブやフローターサーブなどがありましたが、現在ではそれに代わって新たなサーブが使われるようになりました。

ジャンプフローター(画像:alamy, Image ID:2M4Y66K)


まず、一つ目はジャンプフローターサーブです。
フローターサーブとの違いは、サーブを打つ際にジャンプをするかどうかです。文字通りですね。
男子バレーではジャンプフローターが主流のサーブの一つで、フローターサーブはあまり用いられません。なので代わりに「フローター」と呼ばれることも多いです。
このサーブの利点はミスするリスクが低く場所に狙いを定めやすいので、相手のアタッカーを効率よくけん制することができます。
なので、このサーブは簡単なサーブというより、戦術的に採用されているものなのです。

上の写真の選手はスロベニア代表MBのジャン・コザメルニク選手の字フローターです。
この選手のサーブは強力で、連続得点の起点となることが多いです。


ジャンプサーブ(画像:alamy, Image ID:2PGG0H6)


続いて二つ目は、ジャンプドライブサーブです。
これはおそらく正式名称ですが、ほとんどの場合単に「ジャンプサーブ」と呼ばれます。また、まるでスパイクを打つようなサーブなので、「スパイクサーブ」とも呼ばれます。
これは威力を最大限に考えて打つサーブで、相手のレシーブ陣から直接得点を取る・少なくともコンビトスが使えないくらい乱すことを目的としています。

写真の選手はポーランド代表OHのウィルフレッド・レオン選手です。
先日138km/hのサーブを繰り出せる選手で、自身がもっていたサーブ世界最高速度記録を更新しました(厳密には数日前にオランダ代表の選手が記録を塗り替えましたが、そのすぐ後にレオン選手が打ち破っています)。


ハイブリッドサーブ(画像:Alamy, Image ID:2RDY0P4)

最後は、ハイブリッドサーブです。
これは最先端のサーブといえるでしょう。
写真はポーランド代表MBのマテウシュ・ビエニエク選手のサーブです。普通のフローターを打つこともあるんですが、この人、フローターサーブ(ジャンプ)のモーションからスパイクサーブを打つことができるんです。
先ほど説明したように、フローターとスパイクサーブでは性質が全く異なるため、突然強烈なスパイクサーブを打たれると対応しきれません。
最近では日本代表の小野寺選手も使用し活躍していました。

サーブの種類ではないですが、強いサーブを打つと見せかけて短めにサーブを打つことをショートサーブといいます。
2023年VNLでは、高橋藍選手が多用して得点を取っていました。

サーブに関してはだいたいこんな感じです。
すこし時間をかけすぎたので、短く行こうと思います。

・アタック

アタックは主に、スパイカーの「スパイク」、
セッターの「ツーアタック」、
1本目に直接返球する「ダイレクト」の3種類です。
特にスパイクについてですが、シンプルにコート内にスパイクを決める方法と別に得点方法がいくつかあります。
ブロックアウト」は、ブロックしようとしている選手の指先に当ててボールをアウトにする・またはアンテナに当てて反則にする行動です。
時々スパイカーが思いっきりコート外に打ったのに得点はスパイクした方に入ることがありますが、あれは見えないくらい指先をボールがかすめたのでブロックが触れたという判定だからです。
もちろんスパイカーは狙ってかすめています。
このプレーは日本代表の石川祐希選手やフランスのイアルバン・ヌガペト選手の得意技でもあります。

プッシュ」は強く打つと見せかけて手前に弱く打つフェイントと、弱く打つと見せかけてコート奥を狙って長く打つロングプッシュが含まれます。
どちらも石川選手の得意技ですね。

吸い込み」はタイミングを早めたりしてブロッカーとネットのすき間にボールを打ち込む技術です。

リバウンド」は、ブロックが揃ってしまいスパイカーが不利な時に、わざとブロックに当ててレシーブしトスを上げやすい状態にすることです。
これは日本代表が戦略的に活用することで国際試合での勝利数が増えました。

また、打ち方についてですが自分の利き腕側に打つことを「クロス打ち」または「インナーコース」、反対に打つことを「ターン打ち」または「ラインコース」と呼びます。

・トス

トスが一般的な呼び方ですが、正式な呼び方はおそらく「セット」です。
セッターがコンビを使える状態(大体は真ん中からのクイックを使えるかどうか)を「イン・システム」といい、使えない状態を「アウトオブシステム」といい、その状態からのトスを「2段トス」といいます。
インシステムの中で、ミドルブロッカーの真ん中からの速い攻撃を「クイック攻撃」、サイドの選手に上げる早いトスを「平行トス」といいます。

トスのさらに詳しい種類は、トスを上げる位置を分類する「スロット」とトスのスピードを分類する「テンポ」の話になり少々難しいので、また別の機会にお話しします。(A~Dクイック、時間差攻撃、パイプ攻撃、ビック攻撃など)

用語が難しくなってきましたね。正直ここら辺は中継放送などでは使われないのでわからなくても大丈夫です。

続いて、レフトとライトの2つのうち、セッターが自分に近いほうを「ニアサイド」、遠い方を「ファーサイド」といいます。
これはレシーブの返球によってセッターが移動することで生じます。

また、最近では「フェイクセット」というのが有名です。
これは1本目にセッターが触った場合、2本目は後衛のレフトまたはリベロが簡単なトスを上げることが普通なのですが、後衛のレフトが2本目にスパイクを打つ選手が出てきました。
それに対して相手ブロッカーは2本目の攻撃に合わせてブロックを飛ぶのですが、ある選手が後衛レフトがスパイクを打つと見せかけて他の選手にトスを上げるというほとんど無謀ともいえるトリックを見せたのです。
これでは相手はどこにブロックを飛べばいいか分かりません。
これで有名なのがフランス代表OHのヌガペト選手です。そして日本代表は世界で初めてこのフェイクセットを戦術として取り入れました。

・レシーブ

レシーブは大きく分けて2種類あります。
1つは、サーブをレシーブする「レセプション」、
もう1つはスパイクなどをレシーブする「ディグ」です。
この2つはたまーーに放送などでも出たりしますが、どういう意味だろうと思っていた方も多いでしょう。
現在はレシーブという言葉はあまり使われないことに戸惑った方も多いと思います。
また、レセプションについてですが、セッターがセット位置(トスを上げるぞとと構えた位置)からほとんど動かないようにレセプションができた場合を「Aパス」数歩動かした場合を「Bパス」、クイック攻撃が使えないくらい乱れる場合を「Cパス」といいます。

・ブロック

ブロックに関してですが、ブロックシステム自体はとても種類が多く、正直区別つけるのが難しいので基本的な用語に絞ろうと思います。
まず、相手のトスに関係なくどの選手に飛ぶかを先に決めてブロックを飛ぶことを「コミット」といいます。
これは相手のレシーブが完璧に返った時に、4人も準備万端に助走に入られては誰がスパイクを打つのか推測することができないため、中途半端に遅れて飛ぶよりかは確実に1つの攻撃は通したくない!という場面で使います。
放送で全然関係ないスパイカーにブロックを飛んでいるときがありますが、これはコミットの例です。
主にクイック攻撃に対して使われます。
それに対して相手のトスを見てから走ってブロックに飛ぶことを「リード」といいます。
ラリー中では全てのスパイカーが万全の助走を取れることは少ないため、リードを多く使っています。


基本的なプレーに関しては以上の通りです。
大分長くなってしまったでしょうか。
続いて、プレー外の用語について解説します。

・ポジション

バレーでは「セッター(S)」や「リベロ(L)」といったポジションとは別に「レフト(L)」、「センター(C)」など位置による名前もついていてとてもややこしくなっていると思います。
この違いについてまずはご説明しましょう。

バレーの中で、ポジションというのは「選手がプレー中にどのような役割があるか」というもので、レフトやライトというのは「プレー中の選手の位置」を意味するようなものです。
(これに関して正式な名前はよくわかりません。昔はポジションをこのように呼んでたとする人が多くいますが、ポジションとこれはまるで違うものだと僕は思います)
例えるとすれば、ポジションは人の名前を表し、レフトやライトはその基本の位置情報といったところでしょうか。

バレーボールには「レフト」、「センター」、「ライト」と3種類の位置が存在します。そしてそれぞれ前衛と後衛が存在し、「フロント~」と「バック~」とよびます。つまり6種類あるわけですね。

(画像:ざわわブログ)

それに対してポジションはもう少しややこしいです。箇条書きにするとこんな感じです。
セッター(S)・・・トスを上げる人。コートに1人
アウトサイドヒッター(OH)・・・スパイカー。前衛の時はレフトから、後
  衛の時はセンターからスパイクを打つ。多くの場合レセプションに参加
  する。主にコートに2人。
オポジット(OP)・・・スパイカー。前衛でも後衛でも主にライトから攻撃
  をする。レセプションには参加せず、攻撃に専念。コートに1人。
ミドルブロッカー(MB)・・・スパイカー。前衛センターから攻撃し、後衛
  ではリベロと交替。レセプションに参加しない。コートに2人。
リベロ(L)・・・レシーブ専門。MBと代わるといったが、実は誰と代わっ
  てもルール上問題ない。MBにレシーブが苦手な選手が多いのでほとん
  どの場合MBと交替する。コートに1人。

(画像:長崎新聞)


2種類の画像を載せましたが、この2つの大きな違いが分かったでしょうか。
最初に言ったレフトやライトは前衛と後衛が前後の関係になっています。

それに対してポジションというのは、同じポジションは対角線の関係になっています。
OHを見ればわかりやすいですが、前衛と後衛とで前後の関係になっていません。
これは、ローテーションをした時に、同じポジションの選手のうちどちらかは必ず前衛にいるようにしたいからです。また、OPとセッターは1人ずつで十分なので対角に組まれています。
また、今説明したポジションは別にルールで決まっているわけではありません。リベロは実はどの選手と交替しても構いませんし、セッターが2人いても問題ありません。
(実際、セッターが2人いる場合もあります。これは前衛側のセッターがオポジットになるというシステムでツーセッターといいます)
また、選手交代でセッターがいなくなったり、MBのところにOHの選手が入ったりすることも多いです。
ただ、トップレベルでは最初は大体これというのが決まっていて、通常のポジションは最初説明した通りであることが多いです。


少しだけ専門的な話をすると、レフトやライトという位置はPをつけた名前で呼ばれます。
これはサーブを打つ人の位置を「1」として反時計回りに「6」まで数字がつけられています。
図に照らし合わせてみると、セッターがサーブを打つ位置にいるこの状況ではポジションごとに、
S…P1
OH…P2,P5
MB…P3,P6
OP…P4
にいることになります。
これは本来位置を表すもので、選手はこの6種類のPをぐるぐる回ります。

しかしこの数字は選手のポジションを区別するのにも使われます。
せっかくポジションがS,OHといった風に分けられているのに、コート上ではOHやMBは2人ずついますよね。
彼らを一人一人区別する方法に使っているという事です。
いま、上にポジションごとのPがあると思いますが、この「セッターがサーブを打つ位置」のときのPがそのまま各選手の名前になります。
OHでいうとP2,P5ですね。
実は、P2とP5は同じOHというポジションなのに役割が微妙に違います。
こういう時にPの呼び方が活きるわけです。

ややこしいですね。
しかしこの「セッターがサーブを打つ位置」のときの数字の付け方はバレーボールでは様々なところで出てきます。

・ローテーション

ローテーションというのはバレーボール最大の特徴といえるでしょう。
基本的なシステムはポジションの図にある矢印の順にプレイヤーが動いていくという感じです。

ここで、先ほど説明した数字が出てきます。
ローテーションは6種類あるわけなのでそれぞれ名前を付けようという具合です。
まず、セッターがP1(セッターがサーブを打つ位置)をS1と名付けます。
ちょうどポジションの図の配置ですね。
そして、2番目はセッターが図のP2の位置にいるときでS2となります。
次はセッターがP3の位置にいるときでS3ですね。

どうでしょうか。とても簡単な数字の付け方だと思うでしょうか。
なんだ、簡単じゃんと感じる方もいるでしょう。
実はこれは落とし穴です。

実は、実際のローテーションはこの数字とは逆に動いていきます。
最初はセッターがP1の位置でS1だとしましょう。
1つローテーションを回してみます。
セッターはP6の位置に来ましたね。そう、S1の次はS6になってしまうのです。

もっとややこしく言ってみましょうか。
先ほどポジションごとに選手もP1~P6に分けられるといいました。
(今のところ位置を表すPとポジションを表すPが出てきています。混同しそうなら一旦読み飛ばしてもらって大丈夫です)
先ほどの説明の通り、セッター(P1)がサーブを打った後ローテーションすると、次にサーブを打つのはOH(P2)ですよね。
ではこの時のローテは何でしょうか。そう、S6です。
その次のローテも考えてみましょう。
サーブを打つのはMB(P3)ですがローテは何でしょうか。
正解はS5です。

サーブを打つ人はP1→P2→P3→…→P6→P1という風に変わるのに、それに対応するローテはS1→S6→S5→…→S2→S1という風に逆回りをするのです。

正直理解していてもこんな風に説明されたら訳が分からなくなってしまうでしょう。
難しいと思うのでPの話はとりあえず置いといて、ローテのSの話だけ読んでおいてほしいです。
おそらくこれが分かっておけば次誰が打ってどの位置になるのかわかると思います。

分かりやすいローテの図があったので、紹介しておきます。

ローテーションの番号(画像:バレーボール Vリーグ オフィシャルサイト)


・ブレイク・サイドアウト

ブレイク」というのは連続得点のことで、「サイドアウト」は相手がサーブを打った時に得点することです。
バレーボールは相手チームに2点差以上上回る、かつ先に25点以上得点することで1セットを取ることができます。
このシステムは、実はサイドアウト数に関係なく、ブレイク数をより多く取った方が勝つことができるということを意味しています。
バレーボールは25点取るまで30分くらいかかり、長いなーと思う方も多いでしょうが、このブレイクに注目すればより試合を楽しめると思います。

バレーボールの分析では、「どのローテーションで何回ブレイクしているか」が重要になってきます。
逆にどこでブレイクされているかも重要ですが、一般にブレイクされる数はS1,S2ローテが多いと考えられます。
これは、S1ローテとS2ローテのレセプションのフォーメーションが関係していますが、また別の機会に紹介したいと思います。

・トランジション

バレーボールはサーブを打たれた側が基本的に有利であるとされています。これはサーブをレシーブした後の攻撃というのは比較的簡単で得点につながりやすいからです。
したがって、バレーボールではサイドアウト数が多くなります。
このようなサーブレシーブから開始する攻撃を「レセプション・アタック(RA)」といい、逆にそのアタックをディグした後に攻撃に転じることを「トランジション・アタック(TA)」と呼びます。

ブレイク数を多くするために、相手のレセプションアタックをしのいで自分たちのトランジションアタックを強くすることが重要になります。


最後に、バレーボールの分析における専門用語を紹介します。

・スパイク効果率

スパイクをたくさん打てばたくさん得点のチャンスがありますが、その分ブロックにつかまったりミスをして失点をする可能性もあります。
スパイク効果率というのは何本決まったかだけではなく、何点失ったかというのも考慮した数値になります。計算式は以下の通りです。

(スパイクを決めた本数-スパイクをミスした本数)÷(スパイクの総本数)

・レセプション返球率

先ほどのAパス、Bパスなどを考慮した数値で、レセプションの精度が数値化されます。

(Aパスの本数×100+Bパスの本数×50)÷(レセプションの本数)

・サーブ効果率

サーブには直接得点を取る目的と相手のレセプションを乱す目的などがあります。計算式は他のより多少ややこしくなります。得点は取らなくても、相手のレセプションを崩したという事を考慮に入れたいからです。

(サービスエース本数×100+サーブで効果的に相手を乱した本数×25-サーブミスの本数×25)÷(サーブ総本数)

ちなみにサーブで効果的に相手を乱したというのは、主にCパスのことです。


最後に

いかがだったでしょうか。とても難しくなってしまって申し訳ありません。また、説明しきれなかったところも多々ありますが、今後もコラム形式に解説していくのは面白いかなと思っています。
それでは、次の投稿でお会いしましょう。

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