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私という人 〜約束〜


再び学校へ通い始め

穏やかな日々を送っていた私は

偶然にもNと会ってしまう。

私たちは

会ったという認識だけで

会話もせず

互いに その場を離れた。

Nを見かける頻度が

多くなると同時に思い出す。

私がIに待ち伏せをされた

あの日のことを。

Iと会う回数が増えたのち

私は攻撃されたのだ。

Nを見かけるたびに

身構えていたが

話しかけてくる事もなければ

攻撃をしてくる様子も

全くない。

なぜならNは一人で

何もできない弱い子だったから。

Nの隣には制服を着ている

他校の女の子が一人。

いつも同じ子と一緒にいる。

Nは中学生のころ

物静かで幼馴染の子としか

行動を共にしていなかった。

その幼馴染というのが

見かけるたびに隣にいる子だ。

Nに友達は幼馴染しかいない。

Nは私を裏切った事により

高校生活という楽しい日々を

送れる選択を誤った。

仲間たちと笑い、騒ぎ、遊び

十代の貴重な時間を自ら捨て

世界を広げる事が出来なかった。

Nがなぜ裏切ったのか

知らない謎であるが

ただ一つだけ分かった

それはNが

Iの駒だったと言う事。

NはIに見放され

二人が一緒に行動する事はない

私はそう考えていた。

Nが一人で何もできないことが

分かったいま

Nは私の敵ではない。

Nの存在を不安に感じなくなり

Iが再び私の目の前に

現れる事もなく

高校二年の生活はとても

平和だった。

高校三年になった頃

Мから

Iの心配はもう大丈夫

私(М)が近くにいなくても

平気だよと話していた。

この時の私には

МとIの間で

何が起こっていたのか

分からなかった。

そして

この頃から

私は遊ぶ友達が少し変わった。

日中は学校へ行かず補導され

夜は繁華街で遊び補導され

何度も停学になった。

いっそのこと退学になれば良い

と考えることもあったが

母から

好きに遊んで

停学になっても良い

学校に呼ばれたら

頭なんて何度でも下げに行く

でも

高校だけは何が何でも

卒業するようにしなさい。

と顔を合わせるたびに

キツく言われていた。

母は中卒だ。

母が十代の頃に性が変わり

父親が変わってしまったようだ。

それまでの生活は一変し

中学卒業とともに就職。

家計を支えるため

高校へは行かず

働いていたようだ。

「高校は必ず卒業」と

言っているのも

学力社会に苦労しないよう

子を思っての事だったのだろう。

Мやクラスメート達と

「一緒に卒業しよう」

と約束をしていた。

母の言葉だけでは

きっと守れずに

退学していただろう。


高校三年の冬

雪で真っ白になった季節

私は

事故に遭ってしまう。


・・・・・・続く



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