秋桜の里

主に自分が住む地域の自然、歴史について話します。 まあ一番多くなるのはハクチョウの話か…

秋桜の里

主に自分が住む地域の自然、歴史について話します。 まあ一番多くなるのはハクチョウの話かもしれないですが。

最近の記事

雛はどこに行った(悲劇の2023年)

この話は「牛久沼の新しい生命2023」の続きとなる 2023年5月に誕生した2羽の灰羽はこのあと過酷な運命が待っていた。 2023年の牛久沼水辺公園に誕生したコブハクチョウの雛は、例年よりかなり遅く5月20日近くになってようやく孵化した。 孵化してから2週間ほどのち、2023年6月2日牛久沼は85年ぶりの大水害に見舞われた。 雛たちがいた巣のあたりは完全に水没したが、雛たちは隣の田んぼに避難して無事であった。 そのまま順調に育っていた矢先に悲劇が起きた。 牛久沼唯一

    • コブハクチョウ成長記録(6)

      年末年始そして親離れへ いよいよ冬鳥が牛久沼にもやってきた。 ここで見られる冬鳥はオナガガモやヒドリガモ、マガモなどのお馴染みのカモに、ユリカモメ、オオバン、ミコアイサなどである。 11月末、まだ幼鳥はきょうだいでまとまって行動をしている。灰羽は大半が白い毛に生え変わり、白羽と区別がつきにくくなっている。僅かに残る灰毛がかつての面影を残す。 コブハクチョウ以外にオオバンやユリカモメの姿がみえる。 12月半ば、嘴の色は薄いままだがコブが少し目立つようになる。 12月下旬

      • コブハクチョウ成長記録(5)

        2021年秋以降 秋はさらに深まりそろそろオオハクチョウやコハクチョウが日本に飛来し始める頃 5月の連休中にヨチヨチ歩いていたことを考えると、信じられないくらい成長している。しかも1羽の脱落もなく8羽全てが育った。 灰羽は10月に入るとさらに白い毛が目立ち始める。もうからだの半分は白くなっている。 親が近くにいず幼鳥だけで動くこともあるが 10月に入っても親と行動をともにすることが多い。 その一方で他のハクチョウ達の群れと一緒にいることも次第に増えてきた。 一方

        • コブハクチョウ成長記録(4)

          2021年8月から初飛行まで コブハクチョウはヨーロッパから中央アジアに住んでいるが、冬はユーラシア大陸を横断して中国や朝鮮半島にまで渡りをするグループもある。 渡り鳥でもあるため、早く飛べなくてはいけないという点は、他のハクチョウと変わらない。 灰羽は孵化したときより濃くなり、灰色というより茶色っぽくみえる。一方白羽は一見成鳥と区別がつかない。 8月になると目に見えて翼が大きくなる。そして注目してほしいのは灰羽のほう。 翼が大きくなるにつれ白い部分が目立ち始める。特に

        雛はどこに行った(悲劇の2023年)

          コブハクチョウ育成記録(3)

          2021年6月から7月 孵化してから2ヶ月目、3ヶ月目。ハクチョウが急成長する時期に入る。 ハクチョウの雛の嘴が最初に発達するのは、このように草を引きちぎって食べるからである。 親は早く餌を自力で食えるように、生まれてからすぐに積極的に餌場へ連れて行く。雛達の食欲は旺盛で水草でも雑草でも食べてしまう。 この時点でもまだピーピーと雛独特の鳴き声を響かせいる。身体が大きくなったが翼はまだ小さく役に立たない。 ハクチョウはコブハクチョウだけではなく、オオハクチョウやコハクチ

          コブハクチョウ育成記録(3)

          コブハクチョウ育成記録(2)

          前の記事 2021年5月 4月下旬に孵化したコブハクチョウの雛たちは、ゴールデンウィークで賑わう公園の中へ。 コロナ禍だったこともあり、人混みを避けてこの公園内にテントを張ってキャンプする親子が目立った。 公園正面の沼からの入口あたりまではすでに、4月末には来てたびたび上陸していた。 しかし、公園奥まではまだ入ったことがなかった。 やはり8羽も雛がいると豪華である。 公園にいた人たちが珍しいものをみたとスマホで写真撮影していたが、全然怖がらずに親鳥が先導して公園奥の草

          コブハクチョウ育成記録(2)

          コブハクチョウ育成記録(1)

          受難続きのコブハクチョウ ここのところ、外来種への風当たりの強さと鳥インフルエンザの問題もあり、コブハクチョウは各地でいわゆる「邪魔者扱い」されている。 2022年は鳥インフルエンザ禍、2023年はその余波で雛が追い出されるなどで、雛の成長記録がつくれない状況である。 ここでは2021年に生まれた雛たちの成鳥記録を掲載する。 2021年4月 2021年4月、場所は龍ケ崎市の牛久沼にある"牛久沼水辺公園"。 その公園の西側水路内に巣を作ったコブハクチョウは 4月24日

          コブハクチョウ育成記録(1)

          コブハクチョウの70年

          2023年は皇居のお濠にコブハクチョウが放たれてから70年が経つ。 https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kuse/gaiyo/yokoso/hana.html 千代田区ホームページより区の花、区の木、区の鳥の紹介 皇居のお濠にコブハクチョウ24羽が放たれたのが、昭和28(1953)年12月26日となっている。(国立環境研究所は1952年としている) 日本で最初のコブハクチョウ棲息地となった。 しかし、コブハクチョウの繁殖には過酷な環境

          コブハクチョウの70年

          85年ぶりの災厄

          2023年7月8日記 大雨から1か月を過ぎましたが、まだ元の生活に戻れない取手市双葉地区ほか被害に遭われた地区の1日も早い復興を祈ります。 2023年6月2日から3日にかけて、牛久沼がある茨城県南部は記録的豪雨に見舞われた。 土浦市、つくば市、龍ケ崎市は観測史上最高雨量を記録した。 https://tenki.jp/amp/past/2023/06/02/chart/ tenki.jpから6月2日の天気図 https://tenki.jp/amp/past/2023/0

          85年ぶりの災厄

          牛久沼の新しい生命2023

          鳥インフルエンザ禍から始まった2023年だが、今年も雛が誕生する時期を迎えた。 5月20日の数日前に新しい生命が誕生した。 今年は灰羽のみ2羽だけと少し寂しいけども、両親がしっかりついており、7月1日現在2羽とも無事育っている。 今年の親鳥は、雛が生まれた巣がある水路からなかなか沼に出てこなかった。 それについては、メス親が初めて雛を育てるために慎重になっているのでは?という地元の人の意見を聞いたけど、真偽は定かではない。 雛が"公園デビュー"したのは7月の声が聞こえ

          牛久沼の新しい生命2023

          鳥インフルエンザ禍の2023年

          2022年冬から23年春にかけて、鳥インフルエンザが猛威を奮った。 ハクチョウが県全域に飛来する茨城県は、同時に全国一の養鶏業が盛んな県である。 その茨城県で令和4年冬から5年春までに鳥インフルエンザが相次いで発生し、大量の鶏が殺処分された。 鳥インフルエンザ禍では鶏だけでなく野鳥も犠牲となった。 「牛久沼コブハクチョウまとめ2022(その3)」の最後に鳥インフルエンザが発生したことを書いたが、牛久沼でもコブハクチョウが犠牲になったようである。 牛久沼がある龍ケ崎市か

          鳥インフルエンザ禍の2023年

          コブハクチョウの??

          今回は渡らないハクチョウであるコブハクチョウの話である。 一応今日本で見られるハクチョウは3種類いる。 オオハクチョウとコハクチョウは渡り鳥である 今回の主役はコブハクチョウである。基本的に渡らない一年中いるハクチョウである。(寒いところを中心に国内でも一部渡りをする) オオハクチョウやコハクチョウと違って顔が目の周りまで黒く、嘴の付け根の瘤があるのが特徴である。 では問題、下の写真の2羽はコブハクチョウですがある部分が違います さてどこでしょう? 答えは脚の色、

          コブハクチョウの??

          牛久沼と女城主

          ○牛久沼のほとりに女城主がいた! 牛久沼周辺には多くの城址が残る。最大の城は牛久沼の北東岸にある牛久城である。 戦国時代末期、牛久城周辺は関東制覇をもくろむ小田原の北条氏と反北条勢力の激戦地であった。 北条方の岡見氏が牛久城に拠点を置き、反北条方の多賀谷氏が攻めて来た。その戦いは20年に渡り断続的に続いた。(1570年〜90年) 上の写真で紹介されているうち、八崎城だけが反北条方の城になる。 北条氏が滅び、関東の戦乱が収まったとき、牛久城に女城主が誕生した。 妙印尼(

          牛久沼と女城主

          牛久沼コブハクチョウまとめ2022(その3)

          ○灰羽親子を襲ったアクシデント 灰羽5羽は両親がしっかりしており、無事育つかと思われた。 しかし7月、1羽が脚をケガする。 ケガの原因として考えられるのは、船溜りで夕立のような突然の嵐に遭い激しく揺れ動く船や漁具などに巻き込まれたこと。 船溜りになるくらいなので、普段は他よりひときわ波が穏やかである。そのためハクチョウが好んで集まるが、いったん嵐になると思わぬ凶器が潜んでいる。 身体の重いハクチョウは脚にケガをすると治りにくいようだ。 実際昨年末も脚に大ケガをしたハクチ

          牛久沼コブハクチョウまとめ2022(その3)

          牛久沼コブハクチョウまとめ2022(その2)

          ○白羽6羽の過酷な運命 5月下旬に公園にやってきた白羽6羽と灰羽5羽 コブハクチョウは子育ての時に排他性が強くなる。 昨年の8羽を育てた親は公園から他のハクチョウを追い払うくらい強かった。 だからこそ白羽と灰羽が共存などあり得ず、どちらかが排除される。 白羽の親と灰羽の親で縄張り争いをした結果、白羽の親が負けてしまい、オス親はいなくなってしまった。 メス親はそれでも頑張って育てようとするが、灰羽のオス親が妨害するため沼に入ることもままならず、船溜り入口の草叢の中に身を潜め

          牛久沼コブハクチョウまとめ2022(その2)

          牛久沼コブハクチョウまとめ2022(その1)

          ○別れたはずが(1月~2月) 2022年1月 2021年春に生まれた8羽の幼鳥が全羽無事成長した。2月になると親鳥が親離れをさせるために幼鳥を追い払うのだが… 2月、幼鳥はバラバラになり親離れの儀式は済んだはずだが、追い払われた幼鳥は餌があるここに戻ってきていた。 〇新しい生命今年も(4月~5月) 4月、一時的にハクチョウの個体数が大幅に減った。 産卵の時期を迎えて、公園から多くのハクチョウが離れたためである。 沼のあちこちにつがいの姿がみえる。公園からはるか離れ

          牛久沼コブハクチョウまとめ2022(その1)