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【03.知るから広がる可能性】

 vol.023渡辺さんの未公開分インタビュー。YouTuberとしてさまざまなことにチャレンジする渡辺さん。そのチャレンジは幅広く「ひとりの人が、こんなにいろいろなことに興味を持てるものかな?」と、見ているこちらが驚くほどです。それらはもちろん晴眼者が行うものとは違うやり方で行うものばかりですが、やって見て感じるのはどんな気持ちなんでしょうか。


g:小中学校の時は引っ込み思案で、やりたいことがあっても積極的になれず何かと遠慮していたんですよね。 その頃からすると、YouTubeで発信をするようになるなんてちょっと想像できないですよね。

渡辺:やっぱり高校で視覚障害が当たり前の世界に行った時、そこが自分らしさみたいなものを突き詰められる環境だったので、自分がやりたいこととか得意なことに目を向けることができたと思うんです。自分にはいろんな要素があって、視覚障害は自分の中で一部の要素でしかないなと思って。いろんな要素がある中で、人と違う自分の特徴としては視覚障害があるし、視覚障害でもいろんな活動ができると思って。

g:盲学校で「見えづらくても別の方法がある」と知り、見えづらくても遠慮せずにやりたいことはできるんだ、と知ったことでマインドチェンジが起きたんですね。

渡辺:そうですね。その点では高校の部活の先生がすごくありがたい存在だったなと思っていて。自分が気づかないような自分、 「新しい世界に行っていいんだよ」と言ってくれるような環境でした。高校生の時にチェコに留学できたのもその先生のおかげで、もともと国際交流部に所属していて、文化祭の展示のために調べたチェコの文化が面白くかったんです。ちょうどその時に先生が「文科省の留学支援プログラムがあるからそれに応募してみない?」と声をかけてくれたんです。留学プログラムを受けるためのサポートもしてくれて、自分がアクティブに動いて楽しめる、成功体験を得られるな環境を整えてくれた先生がいたのがすごい大きかったと思います。

g:留学に行ってみよう、新しいことにチャレンジしようと思えたのは、できる環境が整っていたからこそなんですね。

渡辺:ずっとは興味あったんだろうなと思います。中学生の頃もきっと興味はあったけど、何か遠慮というか「自分にはできないだろうな」という気持ちがあったんです。だけど環境が整った高校で気兼ねなく、思う存分チャレンジできる環境に身を置いて「やっていいんだ」と思えたんですよね。その成功体験があったからこそ、その後盲学校のように環境が整った場所でなくても「チャレンジしても大丈夫」と思えるようになったのかな。

g:盲学校のように環境が整っていなくても、自分で環境を作る、整えるために自分が動くようなアプローチもされたんですか?

渡辺:そうですね。環境を作ることもやっぱり必要だし、耳を傾けてくれる人を見つけて、相談して整えていくことが徐々にできるようになってきて。それを自分でできるようになった、伝えられるようになったのがすごく大きいと思います。伝える力も大事で、適切な人に適切に伝えるために、自分自身で言語化できるようになれたので。

g:言葉にできるようになったからこそ、その後いろんなことにチャレンジできるようになったんだろうとは思います。ですがそれでも「どうしたらいいんだろう」と壁にぶつかるようなこともあるかと思うんですが。

渡辺:伝えられるようになって、困った時に頼れるコミュニティーを見つけられたというのもあります。大学で困ったことがあっても「こういう人に相談すればいい」とアテがあるのは大事なことで、高校の先生とか視覚障害の当事者はもちろんなんですけど、大学のダイバーシティ推進室もみんなダイバーシティに興味がある人たちなので、何か困った時に「こういうことで大変なんですよね」とちょっと相談すると、客観的な視点をくれる人がいるんです。当事者でなくても客観的な視点をくれる人がいるのは、自分にとって整理できるので大事ですね。

g:なるほど、知識や人との関わりによって、行動がどんどん広がっていったのがよくわかります。それがYouTubeでの発信にも繋がっているんでしょうね。


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