【vol.023編集後記:01】
「note」を完全無償化したので、更新も編集後記も義務ではなくなった、と思っています。ま、そもそもはじめから義務ではなかったんですが。
「必ず月に◯回更新します」と約束していたわけではありませんし、多少更新が少なったところで目くじらをたてるような読者さんは、おそらくいなかったでしょう。だから初めから義務ではなかったんですけれど、たとえ少額とはいえ、お支払いの発生していたコンテンツですから。やはりその人たちへの責任があるよな、との気持ちで更新を途切れさせずにいたんです。
そういう風に「更新せねば」と考えてしまうあたりがなんというか、自分の困ったところというか、嫌いですね。
で、その義務から解放されたはずなのに、またこうして編集後記を書き始めている自分。はじめは何故書こうとしているのか、自分でもわからなかったんですが、どうやら義務感で書いていた頃とは違う気の持ちようであると気づきました。それほどモチベーションが高いわけではないにせよ、やはり取材の記録として某かは綴っておかないと気が済まないようです。生来の面倒臭がりで「やめたい、めんどくさい」と思っているにもかかわらず「書き残しておきたい」とモニターに向かい、このテキストを打ち込み始めてしまったアンビバレントな自分には、いつも困らされています。
さて、渡辺さん。彼女との出会いはもう2年近く前になります。2023年3月に閉店した、ミライロハウスのアルバイトスタッフとしてお会いしたのがはじめです。当時は何かと関わりの多かった配架先でしばしば足を運んでいましたので、だいたいのアルバイトスタッフさんとは顔見知りでしたが、その中でも渡辺さんはちょっと異彩を放つ存在でした。
ちょっと話しただけで、すぐに利発そうな方だなっていうのは感じました。それになんていうか、すごく堂々としているんですよね、この方は。自分の障害について話すときも、ありのままに話してくれるというか。足しも引きもせず、正確に話してくれるんです。こういう人はそう多くはないんですよね、あくまでも経験値での話ですけど。
そして紙面では取り上げませんでしたが、2度の海外留学経験があり、その時点で既にYOUTUBEも配信しているなどマルチな経験を持っていたりもして。知り合って間もないうちに「こりゃ取材申し込まなきゃな」と気持ちは固まっていたんですよね。
で、それを何故ここまで引っ張ったかというと、その時点で既にvol.019の生駒さん取材が決まっていたから、というのが一番の理由です。渡辺さんより先にミライロハウスで知り合っていた生駒さんには、既に取材を取り付けていました。なのでそこですぐ渡辺さんに取材を申し込んでしまうと、ロービジョンの取材が続くことになるんです。
何故か同じような障害の方を取材する時期が被りがち、というケースは結構あって、毎回悩みます。続けて発行するべきか、取材期間を開けるべきか。続けて発行した場合、読者さんにとっては比較しやすくて面白いかな、と思うんです。視覚障害、ロービジョンと言葉にしてしまえば一緒だけど、個人個人こんなに違う、困りごとも違えば障害に対しての心の持ちようや対応も全然違う。それをより伝えやすいかな、とも思うんですよね。だから続けて取材しても良かったんですけど。そうしなかったもう一つの理由が、ちょっとタイミングがよくなかったから。
生駒さんのvol.019が2023年3月発行で、その次だと6月。でもその時点で渡辺さんは、23年4月から新社会人として会社勤めを始めるタイミングでした。その直前、1月2月に取材対応をしてもらうのもなんだか申し訳なく感じられて躊躇した、というのがまずあって。で、どうせ続けて取材しないんならいっそ会社勤めが落ち着いた頃に、仕事の様子も含めて取材をさせてもらったほうがいいんじゃないか、という結論に落ち着いたのでした。もちろんその時点で既にはじめていたYOUTUBEについてをメインに据えた取材でも良かったし、留学経験について掘り下げても良かったんですけど、gente編集部として興味があるのは、やはり仕事とそれを通じて周囲の人とどのように関わっているか、というところなので。
ちなみに渡辺さんの留学経験ですけど、1度目は高校生の時、短期留学でチェコに行ったそうです。2度目は大学生の時で、確かパキスタンだったか、あちら方面の国でした。当時目指していた理学療法士の勉強に関連したものだったようです。個人的にはどちらも興味深い内容ではあったんですが、このあたりを聞き始めてしまうと内容が幅広くなりすぎてまとまらなくなってしまうので、今回の取材ではあえて一切聞かずに終わりました。理学療法士の資格も取得できたそうなんですが、その職につかず一般企業に就職したのも彼女なりに何か思うところがあったようではあるんですけど。
まぁそんなことで、渡辺さんが社会人になる前に取材のオファーだけはして、会社勤めをはじめて落ち着いたら仕事の様子も取材したいので、というこちらの意向をお伝えし、度々連絡を取りつつ2023年の9月くらいから取材に向けて動き出した、というのがこの号の取材経緯でした。
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今回はここまで。
次回はいよいよ取材開始、その内容について振り返っていきます。
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