初めてクラシックのコンサートに行くために必要なこと【後編】
前編に続き、初めてのクラシックのコンサートに関する「分からない」に対するアンサーをお伝えしていきます。
4.一緒に行く相手がいない問題
「誰を誘おうか……」
「一緒に行ってくれる人がいない」
そんな悩みがあるかもしれません。
知人友人恋人家族などに声をかけて、一緒にコンサートを楽しむことができれば、とてもいい時間になるでしょう。
しかし映画と同じで始まってしまえば客席は暗く、開演中のおしゃべりもできないので、ひとりで行ってもあまり気にならないとも考えられます。
実際に、ひとりで来る方はたくさんいます。自分の感覚に没頭できるという意味ではメリットでさえあると思います。
終わった後に感想を語り合いたいのならばSNSがありますし、帰宅後にYouTubeなどで演奏家や作曲家を検索して、ひとりで復習するのも楽しいものです。
「ひとりでクラシックコンサートに行ってみる自分」を想像してみて、ちょっとわくわくしたならば、チケットを入手して早速行ってみましょう。
5.チケットの買い方がよく分からない問題
これについても、別段難しいことはありません。コンサートホールの公式サイトを見れば買い方が載っています。
公式サイト上で買えるものもありますし、プレイガイドのサイト上で購入するもの、窓口へ行って購入、電話で予約して購入など、コンサートによってさまざまな方法があります。
自由席のコンサートもありますが、多くは指定席です。ロックやポップスのチケット購入と違う点があるとすれば、「指定席であっても座席を自分で選ぶことができる場合が少なくない」点です。
多くは座席図をWEBで見たり、オペレーターと電話で話したりしながら、空いている席の中から自分の希望で座席を選ぶことができます。
ではどの座席を選べばいいのか。
「S席」「A席」「B席」などと分かれている場合は、いわゆる一般的な「良席」がどの辺りか大体分かります。しかし「お好みの座席」は人それぞれです。そもそもコンサートがどのような編成(人数、楽器)で行われるかや、ホールの作りなどによっても、見やすい席が異なることがあります。
どこの座席がよいか分からない時は、ステージの全体が見渡せる座席にするのがおすすめです。
クラシックのコンサートにおいては、電話でのチケット予約が可能な場合が多いです。
その場合は電話をしてみて、販売担当のスタッフに「おすすめの座席」や「人気の座席」を聞くのもいいかもしれません。
6.ルールやマナーが分からない問題
どんな態度で聴けばいいのか。してはいけないことはあるのか。
禁止事項は、当日配布されるプログラムに記載があったり、開演前の場内アナウンスで伝えられたりします。
多くのクラシックのコンサートでは「撮影不可」「飲食不可」「スマホの電源を切る」などが基本ルールです。当たり前ですが、それらを守ることが第一です。
その他クラシックのコンサートでの特有の注意事項を3つご紹介します。
音を立てることについて。
ロックやポップスのライブでは発生しても特に問題ない物音もクラシックのコンサートの会場では想像以上に響き渡ってしまいます。
ステージ上での演奏が離れた客席にも届くようホールが設計されているため、客席で立てた音も同じように遠くまで聞こえてしまうのです。
ガサガサと音の立つ袋を持って行かないようにする、膝の上の荷物が床に落ちて音を立てないようしっかり持つなど、気を配ることで自分も周囲も気分よく聴くことができます。
拍手のタイミングについて。
オーケストラの場合であれば、指揮者が舞台袖から登場した時・曲が終わった時(指揮者が客席を振り返ります)・指揮者や演奏者が礼をした時に拍手をします。
「曲が終わった時」の判断は初心者には少し難しいです。
クラシックのコンサートでは1曲が30~40分に及ぶこともあり、その中に楽章と呼ばれる演奏のまとまりが存在します。
楽章が終わるごとに演奏は止みますが、そこでは拍手をせず、曲が終わったタイミングでするのが普通です。
「曲が終わったのだろうか。今拍手してもいいのかな」と不安に思う場合は少し待って「場内の拍手が盛り上がった」と感じた時にするのが無難です。
拍手についてもう1つ。
演奏が素敵だと思ったなら、その思いをありったけ込めて拍手を贈りましょう。喜びがステージの指揮者や演奏者に伝わってゆくのを、きっと皆さん自身が感じることができるでしょう。
遅刻について。
遅刻して開演に間に合わなかった場合、到着してもすぐには客席内に入れないことがあります。特に演奏中は、入れないようにしているコンサートがほとんどで、休憩のタイミングまで待つことになる場合もあります。ドアの開閉音や人の動きがコンサートの雰囲気を乱す可能性があるからです。
せっかくのコンサート、全部聴きたいですよね。遅刻するととてももったいないことになるので、会場には余裕を持って行くとよいでしょう。
子どもを連れての鑑賞について。
「じっと静かにしていられない子どもと一緒に楽しむのは難しい」と思われがちで、実際に未就学児は入場不可となっていることが多いです。
一方で「ファミリー向けのクラシックのコンサート」があり、開催する時間帯や内容が子ども連れで楽しめるよう工夫されています。
「お住まいの地域名 ファミリー向け クラシック」などでWEB検索すると情報が手に入りますので、気になる方は探してみてくださいね。
さて。
前後編に渡って書きましたが、「クラシックのコンサート、あまり気負わずに行ってみませんか?」ということが何よりお伝えしたかった内容です。
必要なことは「予定を立てる」「チケットを買う」「行く」というシンプルな行動の組み立てではないかと思います。
皆さんが新たな鑑賞体験に一歩踏み出すきっかけになれればうれしいです。
7.最後に
クラシック初心者にもおすすめの「元気やまぐち創造プロジェクト」のコンサート情報はこちらにまとめています。
ぜひ山口県の名所を巡りながらお楽しみください。