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職場の制度「社員相談室」の利用が進まない理由とは?

社員相談室の設置は、社内外問わず徐々に増えてきています。
でも実態は、ほとんど利用されていない。そんな福利厚生があることすら知らない社員も多いのが現状。
結局数年設置したのち、「利用人数が少ないので、有効性が見えない」という理由から、外部相談室は解約、社内相談室は形骸化してしまう。

本当にそれでいいのでしょうか。
せっかくの社員を守る制度「社員相談室」の利用が進まない理由は、大きく2つあります。

1つは、コストカット。費用対効果が低いということで削除して良い物かどうか、そもそも設置した目的を考えてみてほしい。
売上数値と同じベクトルで価値を判断するのは、大間違いです。防災用の水や食料品同様、使うかどうかはわからないけれど、いざというときに役に立つものだから、設置しておくことが大切なはず。
防災用品を「5年間一度も災害がなかったから、意味がなかったね、もう事前準備しておくのは辞めよう」と思うでしょうか?

いざというときに相談できる、と社員が知っているだけで、どれだけ気持ちに余裕ができると思いますか?実際に、社員相談室を設置しました、と社員にきちんと伝えるだけで、社員の不安から不安は大幅に消えていくものなのです。

いや、それほど変化はありませんよ、という企業の場合、きちんと社員に浸透していないことが問題だと感じます。困ったらいつでも使えるように、頼っていい場所である安心できるものだということを伝えるべきです。

そして2つめ。社員相談窓口は、メンタルヘルスの問題がほとんど。まだまだネガティブな印象があるメンタルヘルスの問題は、人には話しにくい。話しにくいから社員相談室があるにもかかわらず、相談室を使用したら、心の病気を認めることになる、人にばれたら大変だ、という疑心暗鬼。相談して早く解決させていけば、元に戻れるはずなのに、その土壌がないのです。

いつでも戦力になれる自分でいること 誰もが求める姿ではあるけれど、一人では解決できない問題に陥ることは誰にでもあります。ひどく落ち込んで前向きなことを考えられない状態に陥ることなんて、誰にでもありえる話です。そのまま自信喪失し、仕事への活力を失い、ついには病気になってしまうより、利害関係がない社員相談室を活用することで、気持ちの整理と今後改善に向けた課題解決を前向きにすることができたら、どんなに大きな力になるでしょう。

メンタルヘルスの相談は、病人を作るのではなく、病気にさせないため、一人一人の社員が元気に働き続けられるために、ちょっとした困りごとをいつでも相談していい場所だという「安心で安全な場所」であることを 周知させていくことが大切です。
この土壌ができている企業は、社員相談室の本来の意味を理解し、目的感も明確だと思います。そういう職場は、社員にとっても魅力があります。この組織にいてよかった、というエンゲージメントが上がるので、離職も減るでしょう。

社員相談窓口に寄せられる情報は、企業の課題を見つける宝箱のようなもの。個々の社員の課題に向き合うことから、大きな問題に発展しないような施策を打つことにも活用できます。

組織には、メンタルに関する相談することをネガティブに思わない風土が大切なのです。


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