限界バラン

泥をこすり付けるように、指から文字をこそぎとる。骨が折れるまで強く押し当て、指紋も爪も…

限界バラン

泥をこすり付けるように、指から文字をこそぎとる。骨が折れるまで強く押し当て、指紋も爪も剥ぎとる。雑に扱われて痛いほど、文字は筆圧を宿して芽吹き、悦楽の中で狂い咲く。スマホの画面が割れる時、指に残った文字の欠片を舐めながら、私の醜い顔はほどけてやっと笑うだろう

最近の記事

たぶん120デシベル|詩

ゴゴゴごごご五五五午後午後 トントントンカンカンカン 戯戯戯ギギギガリガリギーギー偽偽偽 私がスマホに文字を叩きつける時 文字化けした音が鳴り響いて 工事現場みたいにうるさい たぶん120デシベル 車のクラクションの音は110デシベル 滝の音は90デシベル セミの泣き声は70デシベル 掃除機の音は60デシベル 図書館の音は40デシベル 木の葉のこすれる音は20デシベル 人に心を刺された時の傷口の音は? いじめられた人が泣き叫ぶ声は? いじめている人があざけ笑う声は?

    • 置き配が盗まれると噂の街に配達します|詩

      運ぶ。運ぶ。 今日も今日とて運ぶ。運ぶ。 努力など報われない。 タイミングや運が助けてくれる世界。 思い描いてきた自分じゃなくて、 夢も叶ってなくて、自分のせいじゃないのに色んなことに巻き込まれていく。 けれど、今までに使ってきた脳みそ、泣きじゃくった目、罵声を浴びせられた耳、この命そのものを、今日この瞬間まで運んできたボロボロの手も足も、全部が間違いなくここに存在している。 私が私を祝福しないで、誰がするのか。 ケーキとロウソクで無双して、滑稽だろうが、笑われようが、

      • 暴走した勇者の弾丸|詩

        クエスト発生の通知が来た どうしてそんなに傷だらけなの どうしてそんなに泣いているの 目の前で泣き崩れている人に 私は矢継ぎ早に問う 他人事ではないんだと 勇者の如く立ち上がり 躍起になる どうにかして涙を止めようと アーティスト気取りで創意工夫し 優しいフリをした正論を並べる 一方的な提案を散々撃ち放って ミッションクリアの快感に包まれる その報酬で得た脳内麻薬が 身体中に浸潤し 祝福のゲーム音が鳴り響く しかし相手の顔をよく見ると さらに心を閉ざした様子で

        • 苦手なおかずが隆起する学校給食|詩

          泣かないで どんどん冷たくなっていく体温への 戦い方を知らない 泣かないで 風がふわふわと頭を撫でて 手をつないでくれる 泣かないで 醜悪に満ちた過去を剥ぎ取ってくれる 泣かないで 器用に振る舞えなかった 正論という暴力を真に受けた 泣かないで 給食で吐いた 食べても食べても 苦手なおかずが隆起して増え続けた 泣かないで 自分を大切に扱い ふわふわの毛布でくるんであげる大切さを 学校で教えてほしかった 泣かないで 多数決は あまりにも簡単で あまりにも難しかった

        たぶん120デシベル|詩

          天使が潰してくれる|詩

          舌をちぎれる限界まで伸ばす そのまま地面に押し当てて 砂糖を丁寧に集める 土や砂が混ざりあった砂糖は 痛々しく 美しく 私を見下しながら 輝いている 私は這いつくばって 膝に血を滲ませて 泣きながら味わう それ以外に自分を癒す方法を知らない 未来ある 純真無垢な子供たちが 私を踏んでいく まるで 蟻のように 砂糖と共に 潰れていく 消えゆく意識の中で 天使のような無邪気な声に包まれる 私は産まれて初めて 心から癒される 自分が潰れていく音を 甲高い笑い声が かき消

          天使が潰してくれる|詩

          食べろ食べろ食べろ|詩

          おじいちゃんとおばあちゃんは いつも私が会いに行くと おにぎり食べろ せんべい食べろ りんご食べろ 漬け物食べろ もっと、もっと食べろ、と言った 気がつくとテーブルの上は食べ物で埋め尽くされ 畳にまで食べ物が並べられる お皿には、まるで富士山のように高く煮物が盛られていた おじいちゃんとおばあちゃんの家には 富士山がいくつもあるのだ お腹を空かせてちゃダメだ ジュース飲め お茶飲め みそ汁飲め スープ飲め もっと、もっと飲め、と言った 私はお腹いっぱいで苦しく

          食べろ食べろ食べろ|詩

          キモいんだけど|詩

          もうなんとも思ってないけど 化石みたいに昔の話 君は背伸びをしているようにみえるよ 無理をしているよね 人に合わせてばかりで このままだと 本当の自分では無くなってしまうよ は? 余計なお世話なんだけど 私の何を知ってるの キモいんだけど ふざけないでよ あなたの全部を 知りたくて 近づきたくて 好きだったから 強烈な怒りを抑える方法を知らないし 平和的に話し合う方法を知らないし 否定する部分もあって 肯定する部分もあって 正直に相手の目を見て伝える勇気もないし 未熟な

          キモいんだけど|詩

          私はバグまみれのベータ版|詩

          完成しない自分に嫌気が差して 刃物を突き立て切り刻む 生温かくて魚の棲めない 血の海に溺れる私は サグラダ ファミリアみたいになれない いかがでしたか☕️ 少しでも楽しんで頂けたら感無量です。もうこの世に思い残すことはありません。嘘です。冷蔵庫の中に、まだ食べかけのブッシュドノエルがあるからです。 私のページに立ち寄ってくださる皆さま、ぜひご自分の大好きな飲み物と、お気に入りのおやつを口いっぱいに頬張りながら、これからも言葉遊びを楽しんでいってください。おやつには

          私はバグまみれのベータ版|詩

          幼女は綿毛に殺された|詩

          たんぽぽの綿毛が耳に入ると 死ぬって信じていた無垢で純真な幼女は 綿毛と目が合うと 死に物狂いで耳を塞いで泣き叫んだ その幼女は 今はもうすっかり腐った大人になり 幼い子供を見つけては 死ぬよ? って教えてあげる それが私 腐った私 いかがでしたか☕️ 少しでも楽しんで頂けたら感無量です。もうこの世に思い残すことはありません。嘘です。冷蔵庫の中に、まだ食べかけのシフォンケーキがあるからです。 私のページに立ち寄ってくださる皆さま、ぜひご自分の大好きな飲み物と、お気に入

          幼女は綿毛に殺された|詩

          髪は重荷を下ろす|詩

          髪は重荷を下ろし 色褪せて自由になる 皮膚は 雨に叩きつけられ 風に殴られて 強靭な鎧となる 深く刻まれた皺が作り出す微笑みには 数え切れないほどの 知識と経験が鎮座する 歳を重ねて 少しずつ朽ちてゆくその姿は この世で最も美しい芸術だ いかがでしたか☕️ 少しでも楽しんで頂けたら感無量です。もうこの世に思い残すことはありません。嘘です。冷蔵庫の中に、まだ食べかけのチョコレートケーキがあるからです。 私のページに立ち寄ってくださる皆さま、ぜひご自分の大好きな飲み物と

          髪は重荷を下ろす|詩

          味のしないおにぎり|詩

          空洞になった心と身体は 怒ることも戦うことも諦めて たくさんの権利を放棄する それでも ほんの少しだけ悔しくて 哀れな自分を葬ることをどこかで拒む 味のしないおにぎりを喉に押し込んで 私は明日も生きていく いかがでしたか☕️ 少しでも楽しんで頂けたら感無量です。もうこの世に思い残すことはありません。嘘です。冷蔵庫の中に、まだ食べかけのおにぎりがあるからです。 私のページに立ち寄ってくださる皆さま、ぜひご自分の大好きな飲み物と、お気に入りのおやつを口いっぱいに

          味のしないおにぎり|詩

          おあしもとのわるいなか|詩

          お足もとの悪い中なんて 悪口を言わないで いつもそばに寄り添って 私の腫れた瞼を冷やし 酷く崩壊した泣き顔を 洗い流してくれる お礼をしたくて両手を広げ 貴方を強く抱きしめる 裂けそうなほど大きく口をあけて 貴方を呑み込む いかがでしたか☕️ 少しでも楽しんで頂けたら感無量です。もうこの世に思い残すことはありません。嘘です。冷蔵庫の中に、まだ食べかけの水羊羹があるからです。 私のページに立ち寄ってくださる皆さま、ぜひご自分の大好きな飲み物と、お気に入りのおやつを口い

          おあしもとのわるいなか|詩

          異物|詩

          自分の吐息の音も 服の擦れる音も ここでは騒音でしかない 異物なのは私の方だ いかがでしたか☕️ 少しでも楽しんで頂けたら感無量です。もうこの世に思い残すことはありません。嘘です。冷蔵庫の中に、まだ食べかけのモンブランがあるからです。 私のページに立ち寄ってくださる皆さま、ぜひご自分の大好きな飲み物と、お気に入りのおやつを口いっぱいに頬張りながら、これからも言葉遊びを楽しんでいってください。おやつには致死量の砂糖を使うのがお勧めです。 最後まで読んで頂きありがとうござ

          這いて吐いて|詩

          森の小さなコンサートホールに迷い込んだので 着席する 満ち足りすぎて 胃から何かがこみ上げ 地面に這いつくばって吐く 私の耳は妊娠したようだ いかがでしたか☕️ 少しでも楽しんで頂けたら感無量です。もうこの世に思い残すことはありません。嘘です。冷蔵庫の中に、まだ食べかけのショートケーキがあるからです。 私のページに立ち寄ってくださる皆さま、ぜひご自分の大好きな飲み物と、お気に入りのおやつを口いっぱいに頬張りながら、これからも言葉遊びを楽しんでいってください。おやつには

          這いて吐いて|詩

          供養カーニバル|詩

          私はどんなふうに供養されたいか まるでお祭りのように みんなに笑っていてほしい 私はその様子を眺めながら 喉が潰れるまで泣き叫ぶ 感謝と愛がとめどなく溢れて 狂ったように饒舌になる もう誰にも届くことはないのに いかがでしたか☕️ 少しでも楽しんで頂けたら感無量です。もうこの世に思い残すことはありません。嘘です。冷蔵庫の中に、まだ食べかけのりんご飴があるからです。 私のページに立ち寄ってくださる皆さま、ぜひご自分の大好きな飲み物と、お気に入りのおやつを口いっぱいに

          供養カーニバル|詩

          ビスケットにまみれた口|詩

          落ち葉をそっと踏む さくさく割れて ざくざく壊れて ビスケットみたいに さくさく砕けて ざくざく崩れて 口の周りにこびりつく 味わい尽くして目を閉じる 落ち葉が風に誘われて踊る 目を閉じたまま私も踊る つま先から血が滲む バレリーナみたいになれなくて ズキズキ響いて ドクドク流れて 私も仲間に入れてほしくて ズキズキ痛んで ドクドク脈打って 一緒に生きたくて目を開ける 誰もいなかったけれど ビスケットにまみれた口を手で拭いながら そっと孤独を抱きしめる 壊れないように

          ビスケットにまみれた口|詩