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ゲンバノミライ(仮)
2022年3月12日 10:48
「空き地だって希望だ」。森本和也は、このキャッチコピーに触れた時、頭に血が上った。心の奥底から憤りがわき上がってきた。和也は、海辺にあるこの街の小さな集落で生まれ育った。2階の自分の部屋から、海を見るのが好きだった。海が怖いなんて、あの日まで知らなかった。結婚前に、妻になるさくらを初めて連れてきた時に、「私もこの景色が好き」と言ってくれた。だから、生まれた娘には、海からの希望とともに