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【絵本原作】キミとの散歩道

男の子(小学生)の足元、その横をちょこちょこ歩く子犬の『ポチ』。只今散歩中。

 ※本文は全て『ポチ』の言葉で語っています。
 
風が気持ちよくなったと気が付いた時

キミの顔を見て、『やっぱり夏が来た』と分かりました。

『ポチ』上を向いて男の子の顔を見る。男の子も下を向いてポチを見る。ポチからの目線。満面の笑みを見せる男の子のバックに真っ青な初夏の空が広がっている。

秋も……

男の子の満面の笑みのアップ。そのバックには舞い落ちるたくさんの枯れ葉

冬も……

男の子の満面の笑みのアップ。そのバックには粉雪が舞っている

キミのことを見上げるたびに、今の季節が分かります

雪の中での散歩の一コマ。ポチは少し成長している

だけど春は…

男の子の足元のアップ。更に成長したポチ。

ボクの方が早く気付いて、キミに教えたんだよ

道端には、タンポポやオオイヌノフグリのつぼみがちらほら。ポチはそれに気が付いて、男の子に目で教える。男の子の満面の笑みのアップ。彼も少し成長した。

ボクが下からキミを見て

ポチが上を見る。また少し成長

キミが上からボクを見る

男の子がポチを上から見る。いつもの笑顔。

キミと一緒に歩く、ボクのしあわせな時間

そして時が過ぎる。散歩の一コマ。男の子は中学生、ポチは成犬に。

更に時が過ぎる。散歩の一コマ。男の子は高校生に

ボクは大きくなったけど、キミも大きくなったから、下から見るのはボクで、上から見るのはキミのまんま

また時が過ぎる。男の子は大人に、ポチは老犬に

最近、ちょっと疲れやすくなってしまったよ。でもキミとの散歩は大好き

ポチ、疲れたことがバレてしまい、飼い主(元男の子)に抱っこされる。

顔が近くなったね

抱っこされたポチ、飼い主の顔をなめる

数年後の風景。ポチのお墓の前。泣いている飼い主。

飼い主泣き顔のアップ

不思議だね。ボク、今はキミのことを上から見ているんだよ

ずっとずっとボクが下から見ていたキミの顔

本当はもっともっと見ていたかったキミの笑顔

泣いてくれてありがとう

さびしがってくれてありがとう

だけど、かなしい気持ちが落ち着いたなら

空に向かって、あの笑顔を向けてくれるかな?

飼い主の耳に誰かの声? 思わず空を見上げる

今度はボクが上から笑顔を返すから


《終わり》

読んでいただきありがとうございました。数年前、天国へ旅立った兄夫婦の愛犬がモデルになっています。

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