【童話?】ゆるさないったらゆるさない!!
「ミィちゃん、さっきはごめんね」
ようちえんのブランコであそんでいたとき、スゥちゃんがわたしにあやまってきた。
スゥちゃんはさっき、わたしのかいた絵をみて、「へたくそ」とわらったんだ。
それはうちの犬『シロ』の絵。
なんだかシロまで、バカにされた気もちになってしまった。
だからわたしは言ってやった。
「ダメ!! ぜったいゆるさない!!」
わたしは先生にしかられた。
「スゥちゃんがあやまっているのに、どうしてゆるしてあげないの?」って。
ちょ、ちょっとまってよ先生!!
どうしてイヤなこと言ったスゥちゃんが、かわいそうな子になって、イヤなこと言われたわたしが、イジワルな子になってしまったの!?
そんなのぜったいオカシイよ!!
かえりみち、ママがわたしに言った。
「ミィちゃん、おともだちとは、なかよくしなくちゃダメよ」
「…………」
ああ、なんだかおもしろくない!!
「ただいまシロ」
わたしはシロをギュッとだきしめた
「ねぇシロ、おまえはだいじょうぶ? ほかの犬にイヤなこと言われていない? わたしは犬語がわからないから、たすけてあげられないんだよね。でもね、もしも犬語がはなせても、わたしはあなたに『あやまっているんだから、ゆるしてあげなさい』なーんて、ぜったい、ぜったい言わないよ」
ああ、本当におもしろくない!!
「シロきいて。パパはね、おふろあがりにいつもビールをのんでるの。アレをのむと、イヤなことや、つかれがふっとぶんだって。大人ってあんなものでスッキリできるんだね。ウラヤマシイよ」
『ワン!』
「そうそう、ママは『イライラしたときには、やっぱり甘いものよね』って言って、こっそりケーキを2つ食べたことを、だれかと電話ではなしていたわ。わたしがクッキーをいっぱい食べたときは、ものすごーく怒ったクセに」
大人って本当にじぶんかって!!
ああ、やっぱりおもしろくない!!
「そうだシロ、2人でどっかにいっちゃおうか?」
『ワン?』
どこにいこう? あっ! そうだ!!
わたしはピコン!とひらめいた。
アメリカにしよう! アメリカ人は英語をしゃべるから、わたしにイヤなことを言わないわ。それに外国といったらアメリカでしょう? わたし、そこしか知らないし……。
そうと決まればしゅっぱつだ!
わたしはシロをだっこして、げんかんのドアをあけた。
「あれ?」
そとではスゥちゃんがモジモジしながら立っていた。
ちょっとスゥちゃん、1人できたの? あー! ちょっとちょっと、きゅうに泣かないでよ。えっ?『本当にごめんね。犬をかっているわたしがウラヤマシかった』って?
うーーーーーーーん。
わかったわかった。もういいよ、ゆるしてあげる。
スゥちゃんがあやまったからじゃないからね。わたしがおこるのにあきただけ。それにね、よーーーーーーくかんがえたら、アメリカってどうやっていけばいいかわからないし。
でも、もうイヤなことは言わないでね。
わたしはスゥちゃんをシロのさんぽにさそった。
《終わり》
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