ドイツの医学部受験、基本情報と体験談

*有料500円と出ていますが最後まで読む事が出来ます。

はじめに

僕はドイツで実際に医学部受験を経験しました。

いくつもの不合格通知の紙とメールを集め、1年間の先行き不透明な浪人生活の後に、今の医学部(デュッセルドルフ )に合格しました。

医学部受験を経験した僕(geina100)の目から見て、インターネット上にはドイツの(海外の)医学部受験についてかなり不明確で不正確な情報が溢れている事に気がついてはいたのですが、2ヶ月毎に迫り来るいくつもの強烈に難しい定期試験のせいで発信する機会も時間もありませんでした。

やっぱり医学部受験とはかなりデリケート話題であるから、まとまった時間が取れた時に、自分が経験した正確な情報を書き残しておかなければ!などと思ってはいたものの、そのまま3年以上も時間が経過してしまいました。

今年(2020年)12月のドイツは、コロナのロックダウンもあったせいで大学の講義も実習も無くなりました。そこで時間が少し出来た今、長年頭の隅にほうっておいてありつつも、忘れられない受験の経験と記憶を今度こそまとめねば、とようやく思い立った折です。

今回は、ドイツの医学部受験に必要な資格、試験、書類をどのように集めて、医学部に合格する為に何をすれば良いのか(良かったのか)、僕が実際に使った成績表、語学の証明証、(不)合格通知、失敗経験など全てここに隠さず記そうと思います。最後には医学部合格までのモデルコースも紹介してあります。

それでは始めます。

求められる提出書類

まず初めに、どこの大学の医学部を受験するにも求められる書類から簡単に記そうと思います。

ドイツの医学部受験の際に必ず提出を求められる書類は、

高校や大学の成績表(英文訳)

ドイツ語力の証明(DSH、もしくはTest DaF)

TestAS(数学、物理、化学、生物の複合問題。そして知能テスト)

志望動機書(もちろんドイツ語で!)

まずは入学試験の一種、TestASについてから触れます。

TestAS(入学試験)について

受験を決意した5年前「ドイツは入学試験が無く、高校(大学)の成績だけで入学が叶う」この言葉を何度も目にしました。今でも色々なまとめサイトや誰かのブログで同じ言葉を見かけます。

実際この言葉は、10年程前まではYesでした。

しかし今では、Test ASと呼ばれるセンター試験のような大学外部で個別に受験する試験を受ける必要があります。そしてその点数が入学選抜に大きく影響を与えます。

でもどのくらい点数を獲得すればいいのか明確に記している大学がほとんど見られないのが現状です。

それでも明確にどれくらい点数を取れば良いのか公開している大学の一つにマインツ大学があります。

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これはマインツ大学のホームページになります。ここにTest AS(以下、AS)についてのルールが書いてあります。まずはASについて簡単に触れます。

Test ASとは?

これは2つのモジュールからなります

1つ目は全学部共通のKerntestと呼ばれるものです。これは簡単な数学(むしろ算数)の問題と知能テストが混ざっています。

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こんな感じでIQが求められる試験となっています。なかなか厄介で、算数の問題は何があっても絶対に落としてはいけません。何故かと言うと、他にもこのIQテストではドイツ語の語彙力がなければ得点できない仕組みになっているからです。例をあげます。

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これらはドイツ語そのものを使った簡単なパズル問題です。知らないドイツ語の単語が存在した場合には、まず問題すら理解でないためにカンに頼るしかなくなります。

加えて、時間の制限もあるので例えドイツ語の単語が分かっても、ゆっくり考えている時間はありません。

次に2つ目のモジュールは、希望する学部によって受験科目が違います。

医学部入学を希望する僕らは、Mathematik,Informatik und Naturwissenschaften(数学、情報学と自然科学)という科目を受験しましょう。これは物理、化学、生物、数学の総合問題です。個人的には、センター試験と同じくらいの難易度もしくは、それよりもやや簡単だと感じました。しかし問題が少しトリッキーなので点を落としやすいです。例題を引っ張ってきました。

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これは気候の問題です。

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これは生物と化学が混ざった問題になります。今考えれば、ちょっと生化学に近い気がします。

これら2つのモジュールで高得点をとる事が必須になってきます。僕らが入学を目指すはドイツで最難関の医学部ですからね!

僕の点数を具体的に発表します。

モジュール1(Kerntest)は91%(118点)

モジュール2(Mathematik, Informatik und Naturwissenschaften)は94%(122点)

各モジュール130点が満点で合計230点が満点です。

僕のIQ(モジュール1)が高くない事がこれでバレてしまいましたが、言い訳をすると、ドイツ語の単語を完全には理解出来なかった事と、時間制限に得点を削られてしまった事が原因で得点が伸びなかった分析しました。思い出すと、やっぱり少し悔しいです。

ドイツ語の壁は分厚く、そして高い事を思い知らされました。

Test AS対策

さてさて、いったいどうやってこのTest ASを対策したのかと言うと、僕は対策テキストを購入しました。

僕は高校で文系だったので、物理は独学です。その話は僕の過去のツイートを参考にして下さい。

話を戻しますね!

これがそのTestAS対策テキストになります。

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内容に関しては著作権の問題が発生するのでこれ以上写真を載せる事ができないのですが、この対策テキストを使って勉強しました。おすすめです。

と言うより、この本以外には見つける事が出来ませんでした。

回答が理解できなかった場合には、基礎学力が高いドイツ人の助けが必要になってきます。僕は、一度日を改めてもその問題が分からなければ諦めていました。当時(大学受験時)、自分より基礎学力が高いドイツ人が周りに持たなかったからです。周りに頼れる人間がいれば高得点が狙えるかもしれないですね!ただ僕自身はこの点数が当時の限界だったと感じています。

TestASのボーナスシステム

本当はほんの少しだけTestASの話をするつもりが長くなりました。

このTestASは、僕たちの高校、大学の成績をさらに向上されてくれるボーナスシステムを備えています。

はい。。何を言っているのか良くわからない読者がほとんどだと思われます。説明しますね!

受験者は願書の提出をする際に高校、もしくは大学の成績の提出を求められます。でも高校や大学の成績が芳しく無いにも関わらず、それでも医学部に入学したい受験者も沢山いるわけです。彼らは入学選抜の際にそのままでは不利になるために、このTest ASの得点を使って、彼らが本来持つ高校、大学の成績から、Test ASのボーナスポイントの力を借りて成績アップを狙うわけです。

高校、大学の成績を元に順位がつき、入学できるかどうかが決まります。でもそれにASのボーナス点を加点して順位を付け直し、上から順番に正式に入学が叶います。

先に述べたように、このボーナス得点の基準を公開している大学が少なく、秘密にしている大学も多いのですが、マインツ大学はそれを公開しているので今回はそれを参考にしたいと思います。

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図の左側(Test AS-Standardwert)に得点が書いてあります。(100-109、110-114など)。

そして右側(Verbesserung der Note)にはASの得点に応じた獲得ボーナスポイント(0,1、0,2など)が明記されています。

この表に僕のASの成績を当てはめるなら、Kerntest 118点=0,3ポイント 

Mathemathik, Informatik und Naturwissenschaften 122点=0,4ポイントの獲得となります。

僕の高校の成績は大学によって評価が分かれたのですが、ハンブルク大学とハイデルベルク大学は1,2の成績をもらいました。

ゲッティンゲン大学、デュッセルドルフ大学、その他の大学は1,0と言う成績でした。

この成績からASボーナスを引くわけです。要するに、成績は1,2だった場合と1,0だった場合、

1,2-0,7(0,3+0,4)=0,5

1,0-0,7(0,3+0,4)=0,3

となります。高校、大学の成績の満点は1,0なのですが、ボーナスポイントが通常到達しうる成績以上の成績を生み出します。ドイツ人達のアビトゥーア(高校卒業試験)では1,0が満点なので、ドイツ人の誰よりも良い成績となるわけです。

さてここで、日本人の高校や大学の成績は、一体どこで誰がドイツの成績に換算(計算)しているのか疑問に思ったことはありませんか?

だって日本の(僕の)高校の成績は5が満点で1が落第だもん。でもドイツは1が満点で6が最低点なんです。これ、どうやって計算してるの?

成績の変換方法

これもまた大変でした。

ドイツの大学側が個別に、独自に「日本の成績→ドイツ式の成績」に変換する場合には受験する大学へ直接英語に翻訳済みの高校の成績表を送れば良かったのですが、(例、ミュンヘン大学、ミュンスター大学、ゲッティンゲン大学、その他多数。)

第三機関に高校の成績の英文訳を送って、彼らに、「日本の成績→ドイツ式の成績」へと換算してもらう"一手間"を経なければいけない大学が存在するからです。(ハイデルベルク、ハンブルク、ライプツィヒ、ベルリン医科大学、その他多数。)

自分の高校の成績はドイツで一体何点なのか?これが最も大切で受験の合否を左右します。

もし得点が1,2以下であるなら受験をほぼ諦める必要があります。ドイツ式の成績で1,1か1,0を持たない受験者はほぼ99%入学ができません

僕らの日本の高校や大学の成績をドイツ式へ変換してくれる機関は、Uni-Assistと呼ばれています。

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こんな感じで親切に説明してくれてあるので、ドイツ語が読めるなら誰でも簡単に自分の成績を知る事ができます。自分の高校の成績の英文翻訳をここに送ると数週間後に結果が届きます。一番悪かった成績は1,2です。

受験希望大学名を添えてUni-assistに僕が送った高校の成績がドイツ式の成績へと変換されて手元に返って来ました。これがその写真です。

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これはハイデルベルクの成績です。結果は1,2です。もうこの時点でノーチャンスだと確信しました。

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これはハンブルク大学の成績です。これも1,2でした。ハンブルク大学なら1,2で受験しても合格できるかなぁ、と思ったのですが、結果は不合格でした。もうハンブルク大学の受験者ポータルに入れないので正確な順位が分からないのですが、200番代だった記憶があります。外国人枠は10人ちょっとしかないので完全に無理ですね。

選考結果(マインツ大学を例に)

Test ASのボーナスポイントが加算された後、一体どのくらい成績を持っていれば医学部に合格できるのか?これが一番気になりますよね!

マインツ大学はその結果まで親切に載せてくれてあります。2020年に合格した外国人の合格最低成績は0,5でした。写真が証拠です。

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これ、おかしな話だと思うんですよ。そもそもドイツ人達の高校(アビトゥア)の最高成績は1,0なんです。その最高成績でも入学が出来ないので、必ずTestASのボーナスポイントが必要になるんです。そしてこの合格必要最低点は年々上昇しています。

ドイツの医学部受験をする外国人達が非公式でやっているインターネットチャンネルが存在するのですが、その中でマインツ大学に合格した一人は当時、ボーナス加算後の成績で0,0だと書いていました。もともと満点の成績に、TestASの試験で満点を叩き出したと言う事でした。もうそうなるとただの化け物なので相手にしないようにしましょう。

サイト、載せておきますね!受験生達の阿鼻叫喚が垣間見えますよ。

「TestASの点数お前は何点だった!?」

「どこから不合格通知もらった?」「俺は3大学合格だったぜ!!」なんて会話を当時目にしました。この写真は去年の会話です。

高校の成績が満点1,0だったにも関わらず、TestASの成績が振るわなかったSalfmad氏は一つも合格通知を貰っていないようですね。

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このサイトでも自分にそもそもチャンスがあるのか大体分かります。

そしてセンター試験くらいの難易度であるTestASで満点を取る人間が競争相手になる可能性がある、と言う事も頭の片隅に置いておきましょう。

ドイツ語(語学の証明)

はい、そうです。僕たちが入学するのはドイツの医学部になります。

ドイツ語ができなければ入学できません。

これもとても大切な情報の一つですが、英語で卒業(入学)できる医学部はドイツに存在しません。でも講義や実習はなぜかたまに英語です。(それに僕は苦しんでいます。)

ドイツ語の学習法も何度かツイートしたので、僕のツイートを載せておきますね!

単語の力は語学の力です。

どちらにしてもドイツ語力が低ければTestASで高得点は見込めないので、(だってさ、、ドイツ語で物理や化学の問題も解くわけだし。。)ドイツの医学部を目指す人はとにかくドイツ語力の向上に努めましょう。

ドイツ語ができなければ、受験したい大学にメールを書く事も、情報を集める事も出来ません。だから何よりもまずドイツ語の勉強を始めましょう!

医学部で求められるドイツ語力はDSH(Deutsche Sprachprüfung für den Hochschulzugang)のレベル3です。DSH 3とはCommon European Framework of Reference (CEFR)で言うところのC2レベルに当たります。

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。。。わかっていますよ。アルファベットばっかりで何を言っているのか分からないんですよね?まずCEFRの説明をします。

CEFRはA1〜C2までで語学力のランク付けがされていて、C2が最高ランクとなります。文部科学省が素晴らしく分かりやすくまとめてくれた表があったのでここに載せてますね!

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4年前(受験時)の僕のドイツ語力はC2レベル(DSH 3)、英語のTOEFL満点よりちょっと上です。

ドイツの医学部入学を目指す読者の皆さんはTOEFLでいう満点以上を獲得できるドイツ語力を目指して下さい。

なかなか難しく聞こえるかもしれないのですが、僕と同じようにドイツの医学部で勉強する外国人(同級生達)は誰も彼も皆、全くの初心者の状態から1年半〜2年程度でC2レベルまで到達しています。

僕のDSHの成績表(本物)ここに載せてしまいますね!(コピーして、受験に使い回ししたらダメだからね!)

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これ、絶対に満点取れないように出来ている気がするんですよ。文法問題と筆記問題の両方が0,5点引かれています。試験を受け終わった後に少なくとも文法問題は絶対に満点だと言う自信があったのに満点ではありませんでした。(思い出すとまた不満が湧いてくるもので、個人的には未だに納得がいっていません。)

DSH試験はドイツの大学で受験する事ができます。僕はドイツのBonn大学でこの試験を受けました。

もう一度言いますね。

ドイツの医学部受験は、ドイツ語力が全てです。ほら、国語(ドイツ語)が出来なければ化学や物理、入学後の生化学や生理学が理解できるわけ無いでしょ?


志望動機


志望動機ってどこの大学でも提出を求めて来るんですよ。この志望動機に書いた内容が医学部の面接にも使われたりします。(ゲッティンゲン大学の医学部面接で実際にこの志望動機を元に面接が行われました。)

これもドイツ語能力が不十分であれば書きようが無いですよね!入学したい大学について調べて「〜教授の、こんな研究に興味があって、この大学を志望しました!」みたいの書くんですよ。(嘘800並べてさ!)

今回、僕が実際にハイデルベルク大学医学部に送った志望動機を載せますね。恥ずかしいので何が書いてあるか読めてしまう人も内容についてはコメントしないでね!!

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これを1枚書くのに最低5日はかかりました。僕は当時23校に出願したので、最低5日×23大学だから、、、いやまぁ、でも1ヶ月半で全て書くしかなかったんです。提出期限まで時間がなかったので、もう毎日ボロボロになりながら各大学施設や研究について調べた記憶があります。

いくらドイツ語が上手くても、外国人である僕らは志望動機書のネイティブチェックを忘れずに!心優しきドイツ人の友人が10人は必要かなぁ、意外と付き合っている彼女や彼氏って面倒くさがって引き受けてくれない事があるので。(別に僕の話では無いですよ?添削が面倒だからって毎回、"私は私で忙しいの!"なんて言われた事も無いですよ!)

ここまでが、とりあえず必ず準備しなければいけない書類達でした。


実際のデータと受験の競争率(僕の経験談も一緒に)

提出しなければならない書類、そして成績とTestASの仕組みも理解して頂いたと思います。

ここからは、実際に医学部に入学できるチャンスってどのくらいなのか正確なデータを使用して説明しようと思います。まずは基本情報から。

僕たち外国人(ドイツ国籍を持たない人間)は、大学が独自に設定する定員数を外国人同士で争う事になります。要するに、外国人枠ってものが存在するんです。これは恐らく、ドイツの大学の授業料が基本的に無料で、税金で運営されている事が原因だと思われます。それにドイツも医師不足で、卒業後も、祖国に帰国する確率が高い外国人よりもドイツに残る医師が必要だからです。

そうです。僕たち外国人は、各大学が独自に設定する外国人枠を、世界中から集まる外国人相手に争う事になります。

ドイツ国内で最もノーベル賞受賞者を輩出した(40人以上)誰もが知る名門大学ゲッティンゲン(Göttingen)大学医学部の一次選考に通過して、二次選考の面接に呼ばれた際に他の受験者と知り合う機会がありました。今までは上記のインターネットサイトで情報交換するだけだった受験者に会うのは不思議な気持ちでした。

日本人はもちろんgeina100だけ。他はオーストラリア、ブルガリア、ギリシャ、シリア、アメリカ、ブラジル、ロシア、シンガポール、コスタリカ、、、、そうなんです。本当に世界中からドイツの医学部を受験しに来るんです!

オーストラリア人は妻帯者で子供も一人いました。もう気合いと気迫が違いました。あー、彼には勝てない。

シンガポール人、俺とほとんど見た目も変わらないのに生物のPhD所有者。恐らく30代。基礎学力だけで競っても勝てるかどうか。。。多分むり!

結局、僕は補欠→不合格でした。

医学部の競争率

ここで気になるのは、そもそも募集定員数って何人なのよ!?って事だと思うんです。外国人枠は全定員数のうち最低5%〜10%を大学が用意しなければいけません。(法律で決まっている。)

定員数が400人だったら、20人〜40人外国人を受け入れなければならない計算なのですが、残念ながらどの大学も5%しか枠を設置していないのが現状です。だから400人定員だったら20程しか外国人がいません。

ドイツの医学生の何%が外国人なのか興味深いアンケート結果が出されています。これをご覧ください。

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ここに書いてあるのですが、アンケートに参加した医学生のうち、96%がドイツ人であったと書いてあります。要するに4%が外国籍。でもアンケートに参加した医学生のうちの96%がドイツ国籍所有者と書いてあるために、正確な事は言えませんが、間違いなく言えるのは、ドイツの医学部では外国人の数が制限されているためにドイツの医学部に入るのはやはり難しいと言うことです。

競争率② ベルリン医科大学を例に

ベルリン医科大学(Charité)も医学部の受験結果に関しては正確な情報を提供しています。これをご覧下さい。

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ドイツ語なので読めない方が多いと思うので翻訳します。

Wintersemester/Sommersemester(冬季/夏季セメスター) Medizin(医学部)Zahnmedizin(歯学部)という意味です。次に上から、

Anzahl der ordnungsgemäßen Zulassungsanträge(有効な受験者数)となります。実際に申し込みをした人数(受験者数)ですが、書類の不備等が無かった有効受験者数となります。

Anzahl der zur Verfügung stehenden Studienplätze(募集定員数)という意味です。合格できる人数ですね!

僕が受験した年、Wintersemeter 2017/2018(冬季セメスター2017/2018)の医学部について詳しく見てみようと思います。

Anzahl der ordnungsgemäßen Zulassungsanträge(有効受験者数)が846人で、Anzahl der zur Verfügung stehenden Studienplätze(募集定員数)は16です。競争倍率は約53倍となります。

うん、見事に落ちましたー。(おのれ!!)


競争率③ロストック大学医学部

ロストック大学医学部はもっと競走倍率が高く、不合格通知と一緒に届いたメールに、詳細に受験者数と合格者数が書かれていました

これをご覧下さい。

定員数842人で外国人枠が11人です。競争倍率77倍です。

僕が合格した大学もそうなのですが、(不)合格するまで(不合格しても)正確な受験者数を知らせてくれる大学が少なく、外国人枠もいくつあるのか一切わかりません。でもゲッティンゲン大学含め、他の大学も不合格通知と一緒に「お前は〜番目だった。」なんていう結果を送ってくれる事もあります。(送ってくれない事がほとんど)

外国人枠

受験当時、「外国人枠は各大学5%は設けているはずだから、まずは全定員数を調べる必要があるなぁ」と考えた僕は、Wikipediaを頼りに定員数を探り出しました。(いや〜、本当に偶然見つけた。)

Wikipediaの医学部っていうページです。

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ここの下の方に各大学が設けている定員数が書いてあったんです!この画面を眺めながら僕は勝手に「このくらいの人数、外国人枠を用意しているはずだから割とチャンスはあるなぁ」なんて計算してニヤニヤしていたのですが、実際そう簡単には行かないことを、後々知る事になるのでした!

オルデンブルク大学医学部なんか2枠しか外国人枠を用意してないんですよ。受験料/履歴書を送るお金が勿体ないですね。


不合格通知の山、そして医学部合格

僕は一度目の受験時、4校しか出願しませんでした。なんて言ったってTestASの点数も良いし、ドイツ語力だって他の外国人と比べても圧倒的に高い(DSH 3がその裏付け)。TestASで90%取れる人間はそうはいない。Bonn大学のドイツ語準備コースに通っていた時も、教室にいた全外国人生徒の中で圧倒的No.1だったから、絶対に(簡単に)合格できると自信に満ちていました。

でも落ちた。

衝撃だったし、当時とっても若かった筆者(geina100)は、まさか自分より点数が上の人間が世界中に溢れていたなんて考えもしなかったんです。

そこで二度目の受験時には、募集定員がそもそも何人で、審査基準にはどんな物があり、どんな経歴のポイントが高いのか、こんなのをドイツ語で徹底的に調べ始めました。(受験したい大学ホームページの重要なページを次から次へとスクショですよ!!)

今でもそうですが、ドイツの医学受験について正確にまとめてあるサイトが存在しないからです。恐らく、不合格して初めて得られる情報(外国人枠数/受験者数)が多いからです。

そして各大学が設ける審査基準もバラバラなんです。もちろん高校/大学の成績とTest ASの結果が一番大切なのですが、それに加えて、

・看護師免許があるとプラスポイント(ケルン、ボン、ハンブルク大学)

・一度理系の学部を卒業しているとプラスポイント(テュービンゲン、フライブルク、ウルム大学)

・徴兵に行っている/奉仕活動を沢山しているとプラスポイント(ドレスデン大学)

こんなのを全て調べあげるのって骨が折れるでしょ?バッキバキですよ。

何度も言うけど、医学部受験に関して正確な情報がまとまった日本語のサイトが存在しないのだから仕方がなかったのです。

結局自分が受験したい大学の情報のみ集中的に23つ(大学)を集めました。(全部はとても無理)提出期限とプラスポイント一覧、そして受験者ポータルの管理(日本の就活時に使うみたいな)はとてつもなく大変でした。でも必ず自分で全て管理するようにしました。メールのやりとりするその相手が、何大学の担当者なのか明確に表記されていない時もあり、頭がパンクしそうになった記憶もあります。

僕は一枚の大きな紙の上に、大学一覧と提出期限、必要書類を全て書き出してまとめてありました。だって、期限を1日でも過ぎれば、ドイツ人は本当に容赦無く、一切受け付けて貰えないからです。(テュービンゲン大学医学部はこれが理由で書類を受け付けて貰えませんでした。僕のミスでは無く、配達人のミスでした。)

話が長くなりました。これが僕の不合格通知の束です。何枚かムシャクシャして破り捨ててしまった大学もあるのですが、幸いまだだいぶ残っていました。

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そして次に、今僕が通う大学の合格通知です。不合格通知の山が徐々に出来上がっていて、精神的に大変苦しかったです。



僕は、日本の国立大学(文系)に通っていました。医学部受験の臨む際、日本の教授達に何度も何度も「お前には無理だ。」と言われ続け、どこか一矢報いてやりたかった僕はドイツの医学部に受かる見込みも無いのに大学を辞めました。少し性格が子供っぽいんです。

このツイートも少し大人気なかったかなぁとは思いますが、何度も同級生/下級生の前で馬鹿にする教授に「俺は達者にやってるぞ!」と知らしめてやりたいと言う気持ちがあったのも事実です。


ドイツの医学部への道、モデルコース

たくさん失敗をして、たくさん調べた僕(geina100)が本気で考えるドイツの医学部へ合格するためのモデルコースをここに書き残したいと思います。

高校、大学で優秀な成績を修める。厳しいようですが、成績が悪ければチャンスはゼロです。日々の勉強を頑張りましょう。

兎にも角にもドイツ語。まずドイツ語、ドイツ語力の向上を目指しましょう。コロコロと変わる受験情報を追う事も、何よりTestASで高得点を取るためにも高いドイツ語力は必要不可欠です。

受験校について調べよう!、申込期限、受験要項が各大学異なります。申し込み/提出期限をしっかりと調べましょう。自分の高校の成績を英文訳してもらう時間が割とかかると言う"計算"も忘れずに!受験の申し込み期限過ぎたら意味ないですよ!

ドイツに来よう(少なくとも受験期)。語学学校に通う場合はビザが2年間までおります。それを使ってドイツに滞在して下さい。理由は、ドイツ語力向上の為もありますが、二次面接の知らせ、合格通知が郵便で届きます。1週間以内に大学へ直接来て入学受諾のサインして下さい。(キール大学)なんて事があります。僕は結局今の大学に入学しましたが、郵便が届いてから大学でサインするまで残り4日しか残されていませんでした。合格したのにサイン出来ず入学を逃す事が無いようにしましょう。

⑤DSH、もしくはその他、語学能力試験を受けよう。入学資格の一つです。これも最高ランクで合格して下さい。医学部に入れませんよ。

TestAS対策をしよう。十分なドイツ語がそもそも備わっていなければ化学や物理の問題は理解できないので、ドイツ語が不十分な場合はドイツ語をさらに勉強しましょう。

以上が僕の考えるモデルコースです。特に④は受験を経験した人間にしかアドバイス出来ない情報でしょう。まさか郵便で合格通知を送った挙句、5日以内に入学すると言うサインしなければ合格資格が失効するだなんて想像つきませんからね。

この紙が作成されたのが2017年9月6日、そして9月11日までにKiel大学まで行き"本人が直接"サインをしなければいけませんでした。僕の元に届いたのが9月7日。もしドイツ以外に住んでいたら、合格通知が届いた時点でサインする期限を過ぎている事でしょう。


まとめ

ここまでいかがだったでしょうか?ドイツの医学部入学までの道のりは、少なくとも僕にとってはとても困難を極めました。何より外国人枠が少な過ぎる!!

それでも合格できる人間がいると言うことは、願書を提出した人間全員に平等にチャンスがあるとも言えます。もちろん必ず自分の手元にそれが届くとは限りませんが、、

これを読んで、ドイツの医学部を目指す人/入学を達成する人が出てくると思います。そんな人は「この記事読んだよー」なんて声をかけてくれたら嬉しいです。

それでは挑戦を心より応援しています。Viel Glück!!!



謝辞

昔から、お金が無くて学習塾にも通う事が出来なかった僕は、何でも自分で調べ、ぶち当たった難題も自分で解決する力が知らないうちに徐々に育まれていたようです。


高校生の時から、日本の大学に入学した後にはドイツへ交換留学に行きたいと思っていたのですが、母親は「そんな金ないよ。自分でなんとかしな。」と言うので、日本の大学生活はバイトばかりの3年間でした。

ドイツ語の語学学校に通うお金がもったいないので、ドイツ語もほぼ独学です。新聞とテレビで遭遇した知らない単語を全てメモして覚え、作文の添削は心優しいドイツ人の友人にお願いしていました。

ドイツ人の友人達は恐らく日本語は読めないと思いますが、この場を持って感謝の意を表明したいと思います。

勉強はもちろん自分でしないといけない。でもたくさんの人の応援と精神的な支えがあって、一度は失敗したものの、最後には合格を勝ち取る事が出来ました。

当時付き合っていた彼女、とその家族、日本の大学時代の友人にも感謝です。不合格通知の束を抱え、精神的に崩壊しかかっていた僕を支えてくれたのは彼らでした。

そしてもちろん両親。

俺と比べると勉強しない、だらしない!と小言を言われ続けた弟も結局国公立大学を卒業し、今では立派な社会人。

経済的に苦しくてお金が無い、お金が足りないとイライラした母親を同じ部屋に抱えながら勉強するのは兄弟共々難しい時期がありました。それでもいつもニコニコしている父親がある意味家庭内の緩衝材となっていて今日まで上手くやれた気がしています。

全てが因果となり、今のgeina100が成っています。この両親の元に産まれて幸せです。面と向かってなんか言える訳がないので、良い機会ですし、この記事を間違いなく読んでいる両親にもここで感謝を告げたいと思います。

強烈に厳しい母親と優しい父親、と少し怠け者の弟、この家族で育って俺は幸せ者だ。ほんとうに感謝です。

最後に

ここまで読んで下さり、ありがとうございます。最後にちょっとしたお願いがありまして。。

これから僕はフランスへ1年交換留学をしたいんです!そして来年ベルリンでも必修の臨床実習をします。

そこで、

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それでは、また。Tschüss!







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