【のあ君の眼病】
黒ポメラニアンの〈のあ君〉が顔を下に向けて何かしている。
「グルルルゥ~ワンワンッ❗️」と吠えながら落ち着きがない。
「〈のあ~〉どぉちたの❓️」
僕が抱っこしてやったら鳴き止んだのだが、なにやら様子がおかしい。
見れば右目の下瞼が腫れ上がっている。
「あっ❗️これかぁ~眼が痛くて鳴いてたんだ。お~いっ❗️〈のあ〉の眼がおかしいぞ❗️」
台所にいた家内と娘のところに連れていくと、家内も驚いて声を出した。
「まぁ~〈のあ~〉可愛そうにぃ・・ホント、腫れてるね❗️」
「痒いんかなぁ❓️そういや眼を掻いてたわ・・病院に連れて行かんとダメだろ」
ところが飼い主の娘は流石である。動じることがない。
「あぁ、タマにあるよぉ・・母さんクリアファイルとガムテープあるぅ❓️」
娘は、クリアファイルとガムテープでサササッ❗️と手作りの首輪を作った。実に馴れた手付きである。
娘は〈のあ〉を膝の上に乗せると円錐の先を切ったようなその首輪を巻き付け始めたのである。
〈のあ〉が〈エリマキトカゲ〉みたいな格好になった。この首輪のことを〈エリザベスカラー〉というらしいが、手作りの〈エリザベスカラー〉が忽ちのうちに完成したのだ。
これを着けると、いくら痒くてもクリアファイルが邪魔をして眼が掻けないから、傷が早く治るという訳なのだ。
そして、娘がサラリと言った。
「これで寝たら治るんだけど、あまり酷いようなら病院に連れて行ったらいいよ」
・・・・・・・
さて、これで一安心だ。
しかし、カラーを着けているとご飯が食べられない。だからご飯の時は、こちらがお皿を手で持って食べさせてやらなければならない。
ところで、自分の〈ウ●コ〉をチョクチョク食べる癖のある〈のあ〉なのだが、カラーを着けているから〈ウ●コ〉も食べられないのは好都合だなぁと思っていた。が、それは甘かった。
チョッと目を離した瞬間に、カラーをモロともぜずに2~3個ほど喰ってしまったのだ。
〈ウ●コ〉に対する恐るべし執念である。
・・・・・・・
それに付けても、いつぞや〈のあ〉を連れて、家族皆んなでピクニックに行った時だ。オヤツに食べさせたリンゴの欠片を喉に詰めた〈のあ〉がバタッ❗️っと倒れてパニックになった時、只ひとり冷静に、口に指を突っ込んでリンゴを取り出した、飼い主である娘の度胸たるや、今回の眼の腫れの処置と同じく、大したものだと感服せざるを得ないのである。
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