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【藪から蛇 ①】

年度末がやってきた。順番制により已むを得ず務めていた常会長の任から、やっと解放される。

町内には8つの〈常会〉があって、その〈常会〉を束ねたものが〈自治会〉として運営されている。

常会長は、〈回覧板〉の管理、〈常会費〉〈各種寄附金〉の徴収、〈町内清掃〉の実施などの色々なことに気を配らなければならないので煩わしいことこのうえない。

〈回覧板〉が途中のどこかの家で止まっていたり、〈常会費〉が中々回収出来ない家があったりと、もう大変なのである。

最後の常会の集まりが終ったら、後は〈自治会役員会〉に顔を出すだけでお役御免だなぁ~と、ホッとしていたところへ女性の自治会長さんがやって来て僕に言うのだ。

「最後の自治会の役員会で■■さんにお願いがあるんですけど・・」

お願いされることにいいことがある訳がないのだ。

「はぁ・・なんでしょうか?」

「役員会で、■■さんに議長をやって頂きたいんですぅ・・」

「えぇ~っ❗️僕がですかぁ❓️」

「自治会の役員で話し合った結果、■■さんが一番いいということになったんですぅ」

「いやいや、自治会の総会なんですから常会長の出る幕じゃないでしょう」

暫くの押し問答の結果、とうとう議長を受けることになってしまったのだった・・トホホ

そう言えば、いつぞやの〈自治会役員会〉で、ある常会長が些細なことに執着して議論を長引かせていた時、いい加減に頭に来ていた僕がそこに割って入り、オセロの逆転劇の如くにサッと議論を終らせたことがあった。

うちに帰ってそのことを伝えると、家内がこう言った。

「あ~ぁ、そんなことしたら頼られるよぉ~なんかの時に役員やって~って言われるよ❗️」

その通りになってしまったのである。

町内会の寄り合いでは、気を効かせて余計なことを言ってはいけないのだ。とんだ藪蛇になる。

そして男が出ないことだ。男が出ると役員をやらされる確率が上がるのだ。だから〈常会〉でも〈自治会〉でも女性が多いのである。

〈男を出さんかぃ❗️男をっ❗️〉


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