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#Salesforce 導入で何ができるのかイメージが沸かない人たちに向けたnote

金額ついてますが全公開です。お察しください

更新履歴
2023.1.6 公開 6000字
2023.1.7 追記 計8300字
2023.1.11 追記 計13,000字
2023.1.17 追記 計15,400字
2023.2.13 追記 計16,700字 Googleカレンダー連携を追記
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このnoteの使い方
・画像にはリンクが貼ってあり、元となるプレゼンへリンクされています

2022年8月にリバネスナレッジというリバネス子会社を設立してIT関連のお仕事を請けられる体制にしたのですが、そもそもの導入で具体的なイメージが沸かないという話しをいくつか耳にしたこともありこのnoteを書いています。恐らくこれから無限に聞くことになるだろうということで、このURLをシェアすればイメージわきました!という状態になればいいなと思って超大作(書き出す前から予想がついている)に時間をつぎ込んでみます。

お急ぎの方へ
概念はどうでもいいんだ!具体例を今すぐ見せてくれ!という場合は具体例セクションまで飛んでください。
長すぎて読めない!という人は目次をまずは見ていってくだされば。

Slack版も書いています

よろしければご参照ください

Salesforceってなんだろう

CRM(Customer Relationship Management)?そりゃそうなのですが、使ったこと無い人からみたら意味不明です。売る側は、使うことでこんなに明るい未来が見えるんですよ!というプレゼンをするのですが、では具体的にはどうすれば?ということについてまでは紹介してくれる事は恐らくありません。導入についても安くない金額が必要になってきますし、ランニングコストもそれなりに掛かってきます。これからの固定費が確実に上がることが分かっていて二の足を踏む導入担当者の気持ちは痛いほど分かります、私自身がそうでしたから。
さて、Salesforceはなにか?という問いについてですが、Salesforceが作られた当初はCRMの為のシステムだったと言えますが、現在はGUI(ウェブブラウザで入力や設定ができる)でいろいろな事ができる万能ツールだと言えます。逆に言うと、CRMとしてだけ使うというシステムではないということです。
もちろん、導入当初はCRMを中心に触っていく事になると思いますが、その先にはもっといろいろなデータを入力し、分析し、自動化することによって人間がやらなければならない仕事を圧倒的に削減してくれるシステムだと言えます。恐らくそんな話しをすると営業の現場が混乱するので、Salesforceの営業は全くそんなことには触れないと思いますが、拡張性の高い仕組みになっていて伸びしろが大きいよというのがSalesforceの本質。個人的にはCRMとしてだけ使っているとコストに見合わないのではないかなと思っており、ガッツリと使い倒すことを前提で利用を始めることを推奨します。詳細はここにも書きました。

具体例

そんなこと言われても、結局何ができるんだよ?という話しになると思いますので、以下に色々と書いていきましょう。

基本的なオブジェクトの話

Salesforce(Sales Cloud)を導入すると最初に出会うのが以下の項目です。
・商談(Opportunity)
・取引先(Account)
・取引先責任者(Contact)
・リード(Lead)
この中にデータを投入していくことになります。これら一つ一つのデータの単位をオブジェクトと表現し、最初から存在するものを標準オブジェクト、追加で独自に作るものをカスタムオブジェクトと言います。(データベースでいうテーブルのことです)
Sales Cloudのエディションによっては作成ができなかったり、作成数上限が少なかったりという制約がありますが、基本的には標準オブジェクト+カスタムオブジェクトで拡張していくというのが使い方になります。

リバネスの主なオブジェクト構成

データを投入するとどのように見えるのかと言うと、以下のような画面でデータを表示することができます。これをビューといいます。

取引先のビュー画面

ビューは複数種類作ることができます。右側がフィルタの条件設定画面なのですが、検索条件を複数追加して、ほしいリストを取得するという使い方になります。恐らくユーザーが一番簡単に情報をフィルタしてリストする事ができる機能です。右上にある青く塗られたフィルタボタンの横にグラフボタンもありますが、簡易的なグラフを表示することもできるようになっています。

商談ビューにグラフを追加したパターン

また、表示する項目も自由に選択することができます。表示上限数は15個ですが、やりくりすればなんとかなる範囲ではあるのかなと思います。
ビューにある情報をダブルクリックすることで編集画面になるため、ビューから直接情報を編集することもできます。(レコードタイプは一つに絞る必要があるという制約はあるのですが。)昔はこれができなかったので、スプレッドシートからSalesforceに移管したときに現場からクレームがとても出ました。今は大丈夫ですよ。

データの詳細ページは簡単に配置変更できる

ページレイアウト機能を使えばGUIで簡単に変更できます。

ページレイアウト画面

この画面を用いて項目を適当に配置していくという形になります。この例は商談のレイアウトですが、例えば商品AとBは表示したり入力する内容を変えたいという場合は、対応したレイアウトを作成した上でレコードタイプというものを定義することで画面を切り分けることが出来ます。リバネスの場合は日本の商談、海外の商談、子会社の商談といった形で表示する内容が変わっています。これは商談に限らず他のオブジェクトでも同様に設定できます。

個人情報を投入していく

これは恐らく皆さん必ずやることだと思います。先程紹介した取引先責任者もしくはリードオブジェクトに個人情報を登録していく形になります。
リードは、未取引の場合の連絡先情報ですが、商談が始まるとリードから取引先と取引先責任者レコードを生成する事で、ある種昇格するみたいな扱いになります。
個人情報の取り込みについては、手動で入力することももちろんできるのですが、名刺がある場合はSansanだったりPhone Appliだったり(リバネスはこちらを採用)を使うことで、スキャナでスキャンしたデータをもとに自動的にレコードを作ってくれるという仕組みが存在しています。これの導入前はみんな名刺の束を目で見て情報を取得することのほうが多く、正直なところうまくデータ化されていたかと言うとそんな事は一ミリも無いのですが、今はスキャンすれば良い訳ですからみんなやりますね。非常に楽だと思います。
後で書きますが、マーケティングオートメーションの仕組みとしてAccount Engagement(旧Pardotで以下Pardotと書きます)というシステムをSalesforceは持っており、この中でオートメーションルールを作ることで名刺スキャン→データ化→ご挨拶メールを自動送信というような事も簡単に実現できます。

投入された個人情報の使い方

では、Salesforceに投入された個人情報をどのように利用していくのかについてですが、弊社では以下のパターンで活用しています。
1:マーケティング用途
2:請求書の送付先として
3:メールのやりとりをEinstein(AI)が自動的に商談等に紐付ける
といったような使いみちです。
1のマーケティング用途では、先ほど紹介したPardotからメール配信を行うことが多いです。Salesforce使う前からSansan使っていたという場合は、ここからやる事も多いかもしれませんね。いずれもSalesforce連携が整っています(Sansanについては使ってないので現在の状況はわからないですが)
2の請求書の送付先としてというのは、昨今ではPDF配送で問題ないという場合も少なくないため、PDF配信の送信先として利用するという使い方があります。
3については、商談や取引先に誰かが紐付いていた場合、メールのやり取りを自動的に紐付けてくれるという仕組みがあります(Sales Cloud Einsteinというオプションの活動キャプチャという機能)。メールは基本的に送信者と受信者間のブラックボックスになるのですが、この機能を使うことで、誰でも関連情報を把握できるようになります。メーラーはGmailとOffice365に対応しています。

Sales Cloud Einsteinの活動キャプチャ、詳細は画像をクリック
活動キャプチャ事例

商談情報を入れると何が起きるのか

リバネスではSalesforce導入前、数字を集計するのにとにかく時間がかかっていました。詳細は画像クリック。

数字の集計はスプレッドシートで行い、それをいい感じにテーブルに表示させるみたいな仕組みづくりをしていましたが、商談数が多くなることでこの仕組が破綻しました。実行に時間がかかりすぎたんですね。一つ数字を変更するとその反映に数分かかるみたいなことがザラに起こるようになり、このやり方じゃだめなんだな…と絶望感に打ちひしがれることになった訳です。

2013年まではスプレッドシートで集計していました

Salesforceを導入してデータを入れていくと何が起きるのか、最初にスタッフがシステムの便利さを感じたのが以下の画像にある売上予測機能です。

Salesforce純正の機能です

投入したデータは何もしなくても自動的に集計されて表示してくれる機能です。Salesforceでは、商談をフェーズ管理するという概念があるのですが、フェーズ0からフェーズ8程度(自由に設定できます)のフェーズを上げていって、商談の確度を表現してあげることで、それぞれのフェーズでいくら位の数字が積み上がっているのかを確認することができるようになります。
予め事業計画となる数字を目標数字に入れておけば、進捗%が分かる様になるため、事業計画推進状況がひと目で分かる神機能と言えるでしょう。何よりほとんど設定しなくても使えるようになるというのが特徴です。
スタッフにロール階層を設定しておくことで、例えば
社長ー部長ー部員
という構成になっていて、部長が何人かいますよという階層になっていれば、社長のロールからは全社的な進捗が分かりますし、部長は自分が抱える数値目標のみに注目して表示することもできます。もちろん自分が好きな位置から数字を見ることが可能です。とても便利ですし、わかりやすい恩恵の一つと言えます。

Salesforce式の営業手法は強い

リバネスでは、Salesforceを活用するにあたり、彼らの商談術をかなり取り入れました。それまでは、今追いかけている商談の情報は担当者の頭の中にしかなく、実際に契約が始まった段階でスプレッドシートに書かれる(そしてよく書かれないことが発生していた)という状態だった為、現時点でどの程度の提案が走っていてその確度がどの程度かが分かりませんでした。部長を集めた営業会議をやってはいたのですが今から考えると全く意味がなかったなという気さえします。Salesforceを使い始めることで商談のフェーズ管理という概念であったり、彼らの請求書を見て一年利用でいくらですというビジネスモデルを取り入れたりと、リバネスのビジネスモデルに大きく影響を与えています。
その後はThe Modelが話題になったりと、その営業術が大きく取り上げられるようになったのも印象的な出来事でした。

リバネスではそもそもリード管理がなかったので、これを始めるだけで大きな変化を与えられたと思います。2013年で売上の伸びが鈍化していたのですがそれ以降はそれ以前より伸び率が高くなっています。
Salesforceの導入で役立つのはシステムそのものだけではないということですね。

Kanban表示もできます

商談リストをカンバン表示にしてみた

ビューをKanban形式に変更することもできます。横軸はフェーズになってますが、設定すれば他の項目でも表示できますし商談オブジェクトだけで利用するものでもありません。リバネスでは研究計画の進捗管理に使ったりしてます。
これを見ながらマネージャーが商談チェックするみたいなことにも使える機能ですね。数が多いと破綻するのでフィルタを適切に掛ける必要はありますが、うまく要点にフォーカスすれば十分に機能するでしょう。各セルはドラッグ・アンド・ドロップで移動することができるのも便利です。

変化をSlackに通知する

SalesforceがSlackを買収してからというもの、両者の連携機能が日々進化しています。例えば、商談のフェーズが変化したときに、その変化した情報をSlackに通知して関係者全員が把握できるようにしたいと思ったとしましょう。これまではSalesforce上でコードを書かないとできなかった通知機能が、フローという機能を使うことによってノーコードで実現できるようになっています。

フローを使ってSlackに通知する

こんなシンプルなブロックを作るだけで、商談のフェーズに変更があったときに以下のようにSlack通知を行うことが可能になります。

Sales Cloud For Slackを通じて通知をpostする

これは非常に簡単で良いのでは無いでしょうか。
弊社ではこの仕組ができる前からSlack通知機能を、Salesforce内で使えるプログラム言語であるApexというものを使って実装しているのですが、以下のような形で情報が流れています。リッチ度は少し増しているとは思いますが、今やるならフローで作っただろうなとは思います。

Apexを通じた表現

もっとリッチな通知をしよう

ここに書きました

Tableau→Slack連携が強力です。画像でグラフィカルに情報を把握できるというのはとてつもないパワーを持っています。

商談の成否をAIにスコアリングしてもらう

SalesforceにはEinsteinという名のついたAIが搭載されています(オプションですが)。先程紹介した活動キャプチャはEinsitenが使われています。Sales Cloud Einsteinを利用すると、商談の成否スコアリングをしてくれます。
詳細はここにも書きました

スコアは0〜100の間で出してくれるのですが、0に近かったり100に近かったりというのは人間の目からみても明らかにそうだなというものが多く、そこに注目する必要性はさほどありません。どちらかというと50点前後のようなどっちに転ぶかわからないよねというスコアに、人間が介入する意味があるのです。商談が増えてきて、取れるかどうか微妙だなというものが増えてきた時には、スコアリングを見て介入するというオペレーションをかけると効果が期待できます。

事業計画の推進状況を可視化しよう

先程の売上予測機能でもできることではあるのですが、リバネスにおいては独自のダッシュボードを作成しています。

Sandboxのトップページ。数字はダミーです

数字が入ってくることで、如何様にでも表示することが可能です。このダッシュボード自体はここにあるように全社の事業部別集計表示の他に、グループ各社の数字の集計モードだったり、事業部のみにフォーカスした詳細表示モードだったりと言う機能を搭載しています。Visualforceページという機能を使って作るのですが、こちらについてはプログラミングによる開発が必要になる為、最初からやれるかというとそうではありません。

事業計画の進捗状況についてSlackに通知しよう

これも場合によっては先程紹介したフローでできるのかもしれないですが、Apexによる実現です。

事業計画達成度が分かる

毎朝このような形できます。前日との差分が表示されるので動きの有無が分かりますね。弊社でよくあるのが商談のマイナスです。これまで達成されていたのに突然商談が消えてなくなってるとびっくりしますよね。スプレッドシート時代には良くありました。Salesforceになってからは通知もできるので何が起きているかは一目瞭然です。

赤字にならない仕組みを作るには

リバネスでは50%ルールというものがあり、商談に関する経費は売上の50%以内に抑えることとしています。一方、経費を使う際には、経費の稟議を上げることになっているのが通常だと思うのですが、リバネスでは商談オブジェクトにぶら下がる形で経費オブジェクトが存在しており、稟議を上げた時点で何%の経費が出ていっているのかを確認することができます。

経費の稟議承認画面

承認者は50%ルールに抵触していないかと、経費明細をチェックして問題なければGoすれば良いというシンプルな形となり、これだけ履行していれば目標とする利益率は自動的に担保されるという仕組みです。あっちこっちをチェックして回る必要がなくなるというのは時間節約とストレス解消にとても効果的だと言えます。上の画面は弊社の場合の設定ですが表示する項目は当然カスタマイズすることができます。

あらゆる数字をSalesforceにまとめておく

商談、請求、入金、各種経費をすべてSalesforce上にまとめておくようにしました。以前は経費の稟議範囲は都度発生するもののみで、家賃のような固定費は入れずに使われていたのですが、すべからくSalesforce上で処理を行うようにすることで出金額すべてを可視化することができるようになります。人件費も同様に入れることで出ていくお金がデータとして残るようになります。入ってくるお金は請求金額ですでにデータになっているので差し引きすれば財務状況が分かるという状態を作ることができます。

マーケティング機能を使い倒す

これはSalesforceが持つAccount Engagement(旧Pardot)というMarketing Automationツールを使った話しになります。

元々Mailchimpを活用していたところから、Salesforce連携を考えて移管

その後2022年までにこの程度活用しています。

2022年現在のPardot使用状況

メールの配信を行うには、メールの送信先リストを作る必要があります。メールの送信先リストは、送信先ユーザーの属性を使って作成しているのですが、Salesforceに投入した個人情報及びそれに関連する情報が肝になります。メール配信先リストは、先ほど紹介したビューのフィルタ条件と同様な形で設定することでダイナミックリストとして自動更新されるようなリストを作成することも可能になっており、定期的にメール配信する為の配信先リストが常に新鮮な配信先リストとして保たれるというのは管理コストの削減にとてつもなく役立ちます。
Pardotにはメールの配信機能に加えて、オートメーションルールの策定機能によって特定のアクションを行った人に例えば追加のメールを送ったり、商談の確度が高いと考えられるようなリストに自動的に追加するといった自動処理ルールを作ることが簡単にできるようになっています。加えて、Webのトラッキングコードを吐き出すことができるので、それを自分のサイトに設置しておけば、誰がどこにアクセスしたのかという情報も取得することができます。これらはSalesforceのリードや取引先責任者オブジェクトページで確認することができるという機能です。
このアクセスデータはネイティブではSalesforce側に同期することができないのですが、これを同期するともっと便利な使い方もできますという話しに興味がありましたらこちらを御覧ください。

Salesforceで問い合わせを捌いていく

Salesforceにはケースというオブジェクトがあり、問い合わせ対応やトラブルシュートといった用途で使われています。リバネスでは、メール-to-ケースという機能を使って問い合わせ窓口用のEmailからSalesforceで生成されたメールアドレスにメールを転送してケースを起票しています。
起票されたケースはSlackのチャンネルに流れるようになっていて、それを見た人がそれぞれ捌いていくみたいなスタイルになっています。

ケースチャンネル

これは電話対応についても同様になっています
リバネスの場合、リアルタイムで電話に出られるという確率が極めて低いので、コールセンターに受けてもらってそれを転送してもらうような形になっています。

詳細はこちらに書きました

ケースで抜け漏れを管理しつつ、Slackで素早い対応を行うというやり方が定着しています。

CRMとは関係ないものにもどんどん使っていく

CIOとして思うのは、人間たくさんのシステムを使いこなせるほどの能力は無い人のほうが多いということです。日常的に使っているシステムじゃないと結局使われなくなってしまったりするんですよね。ということもあり、リバネスではなるべく利用するシステムを少なくするように考えています。Salesforceは元々はCRMとして登場しましたが最初に言ったとおりもはや万能です。色々出来ちゃう。今後の仕事を考えてみても商談管理と見積もり請求業務はなくならないだろうし、使い続けるのであれば他にも必要なものはSalesforceの中でやってしまえ、とそんな考え方です。

勤怠管理

Salesforceの一つの機能として承認プロセスというものがあります。誰がいつ申請を行い、誰が承認したのかというのが分かるという機能です。
勤怠管理も同様の承認プロセスが走る為、Salesforceの中にTeamspiritというアプリを入れてその中で管理をしています。
出退勤はオフィスの入り口にICカードリーダーを設置してそこにタッチすることで自動的に出退勤及びSuica等で使った交通費データが吸い上げられる形になっています。(こちらを利用)

Teamspiritの勤怠画面

勤怠管理及び交通費精算はTeamspirit上で処理してます。
Teamspiritには予実管理機能もついていて、誰がどのプロジェクトにどの程度コミットしたのかを記録するということもできるのでそのようなやり方に興味がある人は利用を検討すると良いかもしれません。商談と紐付けることができるので利益計算が簡単にできるようになりますよ。(先程紹介した経費に加えて人件費の計算もできるようになるため)

スタッフの査定にも使っています

リバネスでは半期に一度面談を行いパフォーマンスを測っているのですが、これもSalesforce上で行っています。これをする前はExcelのシートに半期の振り返り、次期の挑戦みたいなことを書いて提出してもらいそれをもとに面談という形式だったのですが、これだけだとデータが足りず本人のプレゼン次第で評価が決まりがちです。そもそも僕自身は面談による査定という属人性を排除できない仕組みなんてなくなれば良いと思っているタイプなので、できる限りデータで確認ができるようにと思って作っています。
リバネスではデータの蓄積・開示・分析・統合を良しとする文化があり、そもそも蓄積をしていない人は評価されません。プロセスを記録していないと面談に臨んでも何も得られないということになるわけです。
・どんな商談を作ったのか
・どんなプロジェクトにコミットしたのか(Teamspiritを使ってデータ化)
・営業報告は書けているか(活動報告機能)
・その他プロジェクトに関する報告を書けているのか(活動報告機能)
といった、アクションの結果の蓄積が半期の行動の中に現れているかという、結局本人がやったかどうかで決まってしまうので評価は自分次第だと言えます。
これにプラスして、相互評価の仕組みもあります。誰が誰にお世話になったのか、誰を育成したのか、誰とパートナーシップがあるのかといったものを半期に一度出してもらっています。そうするとこんなふうに組織の形が見えてきます。

先日こんなのが話題になりました

リバネスの場合は可視化によって誰がどのようなコミットメントをしているのかが分かるようになっているのでこんなことは起きないよなと思っています。こういった柔軟な表現もSalesforce上に実装できるというのは魅力ですね。

ーーーーーーーー 2023.1.7ここまで

取引先を有効活用するには

年度ごとの売上を集計したい

最初に取引先ビューの画像を掲載したのですが、このビューの中では
2023年度提案中金額
2023年度制約金額
というものが表示されているのですが、これは実はそれより前の年度も当然作られています。
やり方としては、商談に数式で年度判定をするような項目を作って、商談年度を作成し、商談側に何年度の金額という数式を書いてます。ひとまとめにしてしまっても大丈夫ですね。
作った項目を取引先側で積み上げ集計項目を使って集計しています。簡単に設定できます。

年度別の商談集計

これをすることで、前年度どの程度の予算が動いたのか、今年度は提案ができたのかというのが一目瞭然となり、ホワイトスペースを埋めていくことである程度の期待値が分かるようになります。

データの分析機能

まずは純正機能を使いこなす

昨今ではBusiness Intelligenceを使ってデータの可視化!データの民主化!Tableau!みたいな流れがありますが、Sales Cloud自体にもデータ分析の機能が存在しており、その一つがすでに紹介したビューで、それに加えてレポート、ダッシュボードが存在しています。

レポート作成画面
ダッシュボード画面

ダッシュボードはレポートを組み合わせた機能なので、関連するレポートを集めておけば1画面でだいたいのことが把握できるという状態を作ることができます。
会議の中で数字の確認に時間を大きく持っていかれているという状況があるということであれば、このようなツールを使うことで数字を作る必要性から解放されて頭を使う時間を使えるようになると効果的です。
レポートダッシュボードについては公式ページにも紹介があります。サクセスダッシュボードのインストールは簡単なのでやってみるのをおすすめ。

Salesforceのオフィシャルから参照できます

もっとデータ分析をするなら

SalesforceにはCRM AnalyticsとTableauという2つのBIツールが存在しています。CRM AnalyticsのほうがよりSales Cloudに組み込まれておりEinstein(AI)を使った解析機能を使った解析がGUIでホイホイ実行できるのが魅力です。
一方のTableauは最近買収されたツールですが、データ連携のコネクタが多くSalesforce以外のデータも利用した形での分析が手軽にできるという利点があります。表現力はCRM Analyticsより柔軟性が高く、よりインパクトを出すことができるでしょう。Tableauのビジュアライズは極めるとアートにすら見えます。

CRM Analyticsの画面
Tableauの画面

以上のように、データの分析ツールが充実しています。徐々にデータ量が多くなってくると人間の目で見て解析というのは現実的ではありません。BIを駆使して特徴量を抽出し、ビジネスの決定打がどこにあるのかを見出すことができれば自ずと売上は向上していくでしょう。

Salesforceって安いな!と思えるような使い方

ここに書きました。ぜひ読んでほしいです。最初にも書いたことですが、Salesforceをペイするように使いたければ、機能を使い倒すべし。特に計算資源を使ってあらゆることを自動化していくということを進めていく程にその恩恵に授かれます。

Salesforceの強みをどんどん使っていこう

フローを活用して自動化処理をノーコードで設定

Salesforceはノーコードを掲げて久しいですが、コードを書かずに色々な処理を行えるように日夜開発が行われています。これまでも「項目自動更新」「プレセスビルダー」等、色々な自動処理ツールがあったのですがそれらの集大成と言える機能が「フロー」です。というか、プロセスビルダーは廃止になりますのでフロー一択が良いですね。

フローを構築するFlow Builder画面

フローで何ができるかと言うと、例えばレコードを更新したときにこのような条件だったら、この項目はこんな形に変更したいというような処理のようなものを思い浮かべてください。
リバネスの場合でいうと、先程紹介したメール-to-ケースで使っているのですが、メール-to-ケースという機能を使うとSalesforceからメールアドレスがはらいだされ、そのアドレスに対してメールを送ると、Salesforceのケースに情報が格納されるという機能です。メールアドレスには、ケースの発生源という項目を設定することができる為、メアドAであれば発生源A、メアドBであれば発生源Bとすることができます。
フローを使って、発生源によって到着したメールを、別のメールアドレスに転送するという設定をしています。転送先はSlackのチャンネルなんですけどね。

メール-to-ケース→Slackの為のフロー

とにかく簡単に自動実行を書くことができますのでおすすめです。

もっと自動処理:バッチ処理を書く

レコードの変更をトリガにした自動処理を書いていると、とても複雑で処理時間がかかるような変更処理はガバナ制限という機能上限に達して実行ができなくなったりします。そうなったらApexでバッチ処理を書きましょう。提示実行によってデータの自動処理を走らせることができます。こちらも実は実行時間の制限があるのですが、そこにも達してしまうような処理になる場合は、先日日本でもGAになったばっかりのSalesforce Functionsという機能を利用することができます。

Salesforceを応用する

2022年の進捗はこちら

Salesforce外のデータをSalesforceに書き込むには

CRM Analyticsのレシピを使ってデータをSalesforceに書き込むことができます。

会議時間を減らしたいと思いませんか?

SalesforceはQuipというドキュメントツールを買収しており、Sales Cloudへの埋め込みに対応するなどその機能のマージが図られている。今年はこのQuipがSlackにビルドインされることが発表されていてSlack Canvasとして登場する予定になっている。Sales Cloud上では取引先や商談に埋め込むといった形で当該レコードに対してノートを追加することができる。Salesforce自体は基本的にDBに近い形で情報が格納されるため、自由記述に弱い。これを保管する形でQuipが存在している。

ちょっとしたメモとしての行動オブジェクトについて

どんなオブジェクトにもくっつけることができる特殊なオブジェクトに行動/活動オブジェクトが存在します。これを使って、日々のアクションに対するメモを残しておくと、誰が何に対してどんなアクションを行ったのかを確認することができるようになります。

こうやっておけばよかったのでは?と思ったこと

Webアプリケーションとの連携:Herokuについて

弊社では会員サイトを持っているのですが( https://id.lne.st ) それはなぜかと言うと、リバネス研究費やTECH PLANTERというプロジェクトではユーザーが申請書を書いて、それを眺めてピックアップするというフローが存在しているからなのです。
その他にも、毎年春の異動のタイミングで多くの人から肩書が変わったので変更してくださいというお願いが舞い込むのを手動でやってると厳しいみたいな事情があり、そういった要望をWeb上のフォームで満たすことができるようにできないかな?と思っていたというのも起点となっています。
個人情報は先程書いたように、Salesforceに集約され、それはPardotを使ったメール配信に利用されているので、これまではSalesforceをいじれる人じゃないと情報の更新ができなかったのですが、それをWebアプリケーション上でやってしまうというニーズです。
これにはSalesforceが持っているPaaSであるHerokuを使っています。HerokuにはHeroku ConnectというSalesforceのデータとの同期機能を純正で持っており、Salesforce→Heroku及びHeroku→Salesforceへの同期が最短2分くらいで行われます。
そんな訳で、リバネスに集まった個人情報はリバネスIDというオブジェクトとWebアプリケーションで連携し、外部からの更新がほぼリアルタイムで同期するという状態になっています。
当時の話はこちらに書いてありますので興味がございましたら御覧ください。

Googleカレンダーと連携したい

Salesforceにもスケジュール機能がありまして、カレンダーが盛り込まれています。

Salesforceのカレンダー機能

これ結構便利で、ToDoや予定といったものをレコードに紐付けて設定することができるんですよね。リバネスの場合で言えば、商談に関する予定は商談と紐付けておきたいとか、人との面談記録についてはその人のリバネスIDと紐付けておきたいといったものになります。人間の記憶というものは時間と紐づく事も少なくないので、こうやってカレンダー連動で記録をつけておくことができるというのは意外と便利だと思います。日記のより詳細にした役割とでも言えますでしょうか。
さて、この予定ですが、Googleカレンダーを使ってる人がSalesforceと療法に書けるかと言うとそんな訳はなく、どちらかに書いたらどちらかに連動するようにしたいというのが実情でしょう。意味のない並列管理なんて誰もやる気が起きません。そこで弊社では連携用のスクリプトを書いて動かしてます。やり方はこちらに。コードも置いてあります。

こうやって同期しておくと良いことは何かというと、例えば商談が終わったタイミングでSalesforceのスケジュール設定したApexからアラートを打診することができるようになります。弊社の場合だとSlackに流すイメージですね。(そこまではやってませんが)。弊社の場合は、Salesforceトップページに報告を書きませんか?といった欄が表示されるようになってます。

報告の記入を促す仕組み

これをやっておくと何がよいかというと、例えば開催時間や開催場所といった情報を自分で記入する必要がなくなるのです。紐付け先のレコードまではGoogleカレンダー側から探すことは難しいので手作業は発生するのですが、それでも十分に省力化されていると言えるでしょう。

SlackからSalesforceを使う

Salesforce純正Slackアプリ

実はSlackからSalesforceにアプローチすることも可能です。Salesforceからも各種アプリが発表されていますのでそれを使ってみるのはいかがでしょうか。

SlackアプリケーションをSalesforceが出してます

カスタムアプリを使うとこんなことができる

上記はSlackからSalesforceに活動報告を登録するためのSlackアプリの紹介ですが、いちいちSalesforceを開かずとも情報の蓄積ができるという体験を一度してしまうともう後戻りはできません。本当に便利です。
ただちょっとしたメモを書きたいだけなのにSalesforceを開くというのはちょっとオーバースペックだと思いませんか?

ーーーーーー2023.1.11ここまで

AIを業務に活かすには?

SalesforceにはEinsteinという名のAIが存在します。このAIはSales CloudをはじめとしてPardotやその他製品の色々な場所で力を発揮できるようにオプション機能が存在しています。
AIを実務に利用しようとなったときに担当者の大きな悩みとなるのは何かというと、継続的なインテグレーションです。AIは一度モデルを作ったら終わりというわけではなく、継続的に状況の変化を監視し、モデルを最適化していかないと意味がありません。学習させる手間がかかる訳です。例えばSales Cloudにある予測ビルダーだったり、CRM AnalyticsのEinstein Discoveryなんかは自動的に最新のデータを使ってサイド学習をしてモデルを適用してくれたりします。要は、人間がやる手間が最小化されているんですよね。
自分でPython使ってモデルを作るのも良いのですが、初学者であればSalesforce上のAI活用からスタートするというのが、挫折しなくて良いのではないかと思っています。

Sandobox (開発環境) もデフォルト装備

SalesforceではSandboxという開発環境が提供されます。

Sandboxの種類

本番環境への変更前に、とりあえずSandboxで挙動の確認をしたいというような場合に使います。大きな組織では画面の変更一つとってもミスすると問い合わせの嵐になりますから、まずはSandboxで試してから本番に反映するという訳です。

契約しているEditionによって使えるSandboxが違います

リバネスの場合はEnterprise EditionなのでPartial Copyまでが使えます。何が良いかというと本番と同じデータが上限5GBまで同期できるというもので、弊社の場合はそれらを使ってApex書いたりVisualforcePageを作ったりもするので重宝していました。ただ、それだけだと足りないということになり、現在ではFullSandboxを使ってまるっと全部をコピーした開発環境を使っています。これはHeroku上での開発用に使っています。
また、DataMaskというオプションを付けることによってSandbox内の個人情報をランダムな名前や適当なメールアドレスに変更するといった機能が使えるため、開発環境に無用な個人情報を置かないという運用も可能になっています。わざわざデータを生成する必要がなくなって助かりますね。

開発するのか、標準機能を使うのか

Salesforceも随分標準機能でできることが増えました。既に触れたフローを使うことによってノーコードでプログラミング処理のようなものを設定することもできるようになっています。Salesforceの担当者に聞けば10人中10人が標準機能を使い倒しましょう!と言うと思います。
自社にある独特だと考えているようなワークフローも、この標準機能に落ちるようにうまく変化させてあげられることができるのが一番の導入効果だとも言えるでしょう。ここは独自だからといって開発してしまうというのはあまりおすすめできるとは言えません。Salesforce(巨人)の肩の上に乗る方向に動かしてあげるのがうまくいくコツです。
それでも、ノーコードでは処理しきれないデータ量が存在してもっと使いこなすには開発せざるを得ないということはあると思います。BI使ってもうまく表現できないということであればアプリを開発するしか無いという状況も生まれるでしょう。そんなときにはぜひ開発をしていってほしい。
弊社では、お客様に納品するためのデータシートをVisualforce ページを使って帳票化することで出力にかかる時間的コストを0に落としました。今まではデータを集め整理し、Wordに差し込み印刷の設定を行うといった手間がかかっていたのですがそれがまるっと要らなくなる訳ですからとてつもないコスト削減になっています。
開発すべき場所はしっかりと開発する。開発しなくてもノーコードである程度の事は出来てしまう。それが今現在のSalesforceの形だと言えます。
加えて、Salesforce Functionsのようにこれまででは出来なかったようなマシンパワーが求められる処理があったときに利用できる機能の提供も続いています。基本はノーコード側に振りつつも、ヘビーユースするときの選択肢を柔軟に提供していくという姿勢には好感が持てます。

ーーー2023.1.17ここまで

最後に

色々と書いたのですが、やりたいことは色々できるよ、ノーコードと掲げていることもあり幅広いユーザーが使えるようになってるよというのがSalesforceの世界です。ぜひ飛び込んでみてください。

リバネスナレッジでは、SalesforceのAdmin/エンジニア、Heroku周りをやりたいエンジニアの採用を行っています。いつでもご連絡ください。

とても長文になりましたが、これをきっかけに商談が決まったり、業績が上がったりする人も中にはいらっしゃると思いますので、そんな時に気が向いたらぜひ、ね。(万が一課金する場合は是非ご連絡ください。Twitter→@geeorgey)

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noteにはこれまでの経験を綴っていこうかと思います。サポートによって思い出すモチベーションが上がるかもしれない。いや、上がるはずです。