公立保育所ってスゴイ所
今回は、娘が週5通っている公立保育所について、書こうと思う。
3歳の時に小規模保育施設から転園(所)したので、ざっくり言えば、2年弱、私はここの保育所を見てきた。
保育所には驚きが沢山ある。色んな意味でスゴい!って思わせるところだ。
それは今どきの大人が思うような設備・遊具・教育内容についてではない。
保育所に送り迎えしていると、日本にいながら、異人種・異時代交流をしているような感覚を私が受けるのだ。
他に思いつく言葉がなかったため異人種って単語を使ったが、インターナショナル保育園ってことではない。
(120人の定員で外国人は0人。ハーフの子でさえ、たぶん1人しかいない)
どちらかといえば国際交流とは無縁の、どちらかといえば所得少な目の家庭が多い印象を受ける。
公立保育所とは、地方自治体が運営している児童保育施設。
私は、自分の娘の進路?を考える時に初めて、保育所なる単語が今も存在することを知った。
保育園じゃなくて、保育所?
え?ほいくしょ?
そんな呼び名、平成(当時)の世の中でもあるの?
本気でそう思った。
私の中で保育所とは、昭和の時代で完全に消滅した施設および名詞だと思っていたから。
じゃあ、保育園なら登園だけど、保育所なら登所(キーボード入力しても、この言葉、候補ですら挙がってこない)。
じゃあ、園長も、所長かぁ。
じゃあ、入園も入所?(なんか入所というと、自動的に刑務所を想像してしまう私)
通園も、通所と言うのね。
そしたら、園庭も所庭かいな。
なんか違和感感じるなぁ。
そんなことを、2年前に思ったわけなんですよ。もう慣れたけどね。
(いい加減、「登所」とか単語登録しておかないと。打つときにイライラする)
私が住んでいる自治体(人口27万人。中学生以下の人数4万人)にある公立保育所は、なんと今は5か所のみ。
小泉政権後、少しずつ民営化が進んだらしい。
あの時代、民営化って、やたらもてはやされたけど、いざ蓋をあけてみると、ここは民営化しない方が良かったんちゃうか。って思うところって、至るところにある気がする。
最近は、私立保育園・私立認定こども園が多数を占めている。
何はともあれ、約2年前、縁あって、公立保育所に入所(笑)できたので、せっかくなので、保育所の何がスゴイか?、について深堀りしてみようかと思う。
■親がスゴい!
そうそう。まずは、親!親がスゴイんですよ!
ちょっと乱暴な言い方でお気を悪くされる方がいたら申し訳ないんだけど、
まず多産(1人ッ子は、うちのような小規模施設からの転園組以外ほぼいない)で、所得低め。
家庭も訳アリが多そうな感じ。(障害をもつ子がいたり、親本人が障害者だったり、親類の介護で大変だったり、シングルマザーだったり)
生活に追われて、今時のキラキラしているワーママは皆無。
ヤンキーママもかなりいるし(私が最近仲良くなったママは25歳!ママのお父上は53歳だそうで、45歳の私は愕然)
ジャージ姿で送迎しているパパ・ママもいる。
大企業等の会社で働いているホワイトカラーの方は、ほぼいないと推測している。
なぜかというと、公立保育所って「点数」が高くないと入れないっていう現実問題があって。
この点数っていうのは、世帯の状況(保護者の仕事状況や健康状態、兄弟姉妹の有無や家庭環境、そして所得も考慮)を数値化したもので、その点数が高いほど、希望の認可保育園等に入園できる可能性が高いっていうもの。
だから、うちの保育所に裕福そうな家庭の子が極めて少ないんだなと納得できる。
大体、子どもの服装。親のファッション・物腰で、学歴やら育ちの良さやら現在の経済状態が分かってしまったりするもんじゃないですか。
最初、髪の毛スゴイ色で染めてるお母さんや、クロックス・つっかけサンダルで送迎しているママ・パパを保育所の玄関で見た時は、衝撃だった。
その後、地元の工務店の服やたこ焼き屋・お好み焼き屋のユニフォームを着て送迎しているママを見て、私も「頑張らなくちゃ」と素直に思った。
結局、大企業で正社員で働いていないと、ワーママとしては待遇も稼ぎが悪くなる。
保育園児のお迎え時間、小学生の帰宅時間、帰宅後も色々やることが満載。
時短勤務を認められ、ある程度理解があるのは、一部の優良企業だけ。しかも正社員のみ。
非正規職員でパートタイマーで働かざるを得ないワーママは、もはや職種は選べない。
事務しかやったことない人でも、子どものためなら、お金のためなら、と思うのだろう。慣れない接客業や清掃業・スーパーのレジ打ち・福祉施設の勤務でも何でも視野に入れなくてはならない。
私が住んでいる所のように待機児童が多かったところなら、子どもを保育園に入れるためだけでも、色んな努力を変換を求められる。例えば引っ越しとか遠距離送迎とか、そんなことまで。
私は、たまたま、たこ焼き屋のユニフォームを着ているママ(25歳、2歳・5歳の子供有)と仲良くなったんだけど、彼女はもともと見た目、全然25には見えなかった。
たぶん彼女がワンオペ育児で、自転車で2つの保育園を送迎していて、化粧する時間もなくて常に日焼けしてて。粉もんの食べすきなのか小太りで、ファッションに全くお金をかける余裕がない感じもあって、実年齢プラス10歳ぐらいに見えた。
たぶん、20歳ぐらいで子ども産んで、旦那さん(高校の同級生らしい)も土建屋の職人で、お金も育児協力もないまま、ずっとひとり突っ走ってきたんだなぁと。
でも、彼女と話してみると、やっぱり若者!って思う。知ってる音楽とか芸能人とか全然違うから(笑)
私が二十歳の時に、このママを産んでいてもおかしくないんだから、当たり前か。
でも、不思議に思うことが1つあって。そういう支援が必要そうな若いママの子ども達って、幼い頃から、やたらしっかりしてるってこと。
自立してるっていうのかな、手がかからない子が多いんだよね。
もちろん、そういうママ達の育て方がよかったのかもしれないけど、
問題を幼くても自分で解決する子だったり、コミュ力高めだったり、自立心旺盛でさ。
彼女の子ども達は、2歳と5歳なんだけど、どちらもそうで。
内心、とても羨ましかった。
そして、神様っているのかも。と、ふと思った。
■先生(保育士)がスゴい!
一般的に、私立の保育園や幼稚園って、先生って若いってイメージあると思うんだけど、
公立保育所は全く違う。(うちの自治体だけかもしれないけど)
見た目私(45)以上の年齢の保育士さんが、過半数。
中にはパートタイマーとして(朝だけとか夜だけとか)働いている見た目60前後の保育士さんもいる。
市のユニフォームを着ているおばあちゃんに、「せんせい!せんせい!」って2歳児ぐらいが無邪気に呼んでいる姿をみて、最初は「なんか変」と笑ってしまっていたけど、やっぱりこれも次第に慣れた。
おばあちゃん保育士さん達も、内心嬉しいと思う。孫ぐらいの年齢の子たちに「せんせい!せんせい!」と頼られてるんだから。
そして、公立保育所の保育士さん達は、年功序列、女性社会、昔ながらの縦社会文化が残っていて、職場の人間関係の面ではキツそう。
環境面でも、寒くても暑くても朝早くから外遊びを子どもと一緒にしなくてはならないし、冷暖房完備であっても、そんな部屋でじっとしている暇なんて全然なさそう。
モンスターペアレンツやネグレクト気味の保護者対応や、発達障害児の面倒も、最低限の人数でしなくてはならない。
休憩場所なんて、めちゃ狭い休憩室しかないし、休憩時間なんてあってないようなものなんだろう。きっと。
トイレトレーニング中の幼児対応も大変だと思う。
(割と大き目の子たちも、うんちが出た時は、自分でうまく拭けないため、近くの大人に「せんせーい!うんち出たからふいて!」と言うらしい)
うちの子のように、たまにお昼寝時おねしょする子もいるから、その対応もある。
もともと手の消毒は、普通の人よりも頻繁にしなくてはならない保育士さんだけど、それに輪をかけてコロナ渦では、皮膚がもうおかしくなってしまうだろう。
保育所は、生活の中で保育する場なので、幼稚園のように教育的なことはあまりしていない。
最近は、保育園でも私立のものは、幼稚園的な要素をミックスして習い事みたいなことを保育時間中にやったり、幼い頃から文武両道を目指すべく、そんなカリキュラムにしているところもある。
でも、うちの自治体は待機児童がやたら多かったため、保育園に選択の余地はなかったし、もし仮にそんなところに入ったとしても、うちの娘は発達障害グレー気味なので、そんなレッスンにはついていけなかったと思う。(保育園時代から、落ちこぼれって、本人の自己肯定感下がりそう。。。)
だから、ド公立の保育所にたまたま入れてよかったと思う。
■建物・設備がスゴい!(古い)
まず、保育所の建物自体が古すぎる!
外観でまずわかる。文化住宅並みの築年数かと推測される。
でも、所庭は広い(駅近の保育所は「広め」にとどまるが、他の保育園に比べて断然広い)
さすが市営・公立だ!ってここは思う。
やっぱり新規参入した私立保育園では、駅近や立地条件がよいところに土地を確保できない。
門も昔ながらだし、エントランスも狭い。
玄関は狭すぎて、混んでる時間帯になると、親子ともども四苦八苦する。
「さっと外靴を脱いで、上履きをはく」なんて、スマートにできる子なんて、ほんの一握り。
人数が多いと、座って着脱させるスペースがないから、年中以上の子は立ったまま履いたり脱いだりする練習をさせられているみたいで、うちの子も、立ったままふらふらしながら(逆に時間がかかると思うんやけど)上履きや外履きを履こうと頑張る。
「スペースがある時は座って落ち着いて履いてよ」と言っても、5歳児には通用しない。
「いつも立ってやってるもん!」と言い切り、「立ってはくことができるんやで。すごい!?」とドヤ顔してくる。
そこに次から次へと、他の子どもと親がやってくる。東京のラッシュや戦前とか戦時中の写真を思い出したほどだ。
園児(じゃなかった)所児が押し寄せてくると、保護者は靴の着脱ができない。彼らが去るまでじっと待つしかない。
朝、会社に遅刻しそうな時に、この集団がやってくると、絶望的な気持ちになる。
「どいて!」なんて言えないしね。(っていうか大人なんだから思っちゃいけないんだろう)
それとは別に、イヤイヤ期の子で、玄関で、皆の邪魔になって、ひっくり返って泣き叫んでいる子もいる。
新喜劇っぽい感じもするが、急いでる私からしたら笑えない光景だ。
そして外靴を脱いで、靴下であがるべき板があるんだけど、そこはもう汚いに違いないから、できることならあがりたくない。
だって、踏んづけてるから!子供らが、そこを外靴で!
ヨチヨチ歩きの1歳児連れのママ・パパもいるから、そうなるのは当然で。
っていうか、年長さんでも保育士さんでも保護者でも、人をよけるために仕方なく外靴で踏んづけてしまう場合もある。
雨の日はもっと最悪。だって想像したら分かるでしょ。この状況。マジで最悪。
それにそもそも、人(こども120名およびその保護者)の出入りが多すぎて、こまめに掃除なんてできやしない。
設備も古い。
このくそ寒いのに、蛇口からお湯が出ない。そのくせ、「手はよく洗いましょう」と連呼される。
あれでは、幼児でも手荒れになる。
手洗い場の床は大抵濡れているし、その付近にかけてある年中さんのジャンパーなどに、水しぶきが飛んでるはず。
トイレも人数に対して少ない。(だから順番・順番で、ルールを守れるようになるというメリットもある)
公立の保育所に転園して初めて知ったけど、公立はスパルタのようで、
2歳児ぐらいからトイトレをやってる。しかも、つきっきりで大人が一緒に個室までいくスタイルじゃなく、先生が声掛けして「行っておいで」というスタイル。
もちろん、難アリの子にはついていくとは思うが、原則はそうらしい。
うわぁ。一緒についていかないんや。
これじゃあ、自己主張が苦手な子とかキツイだろうなぁと思った。
でも、不思議と、なんとかまわってるみたい。
保育所で不思議なところやな。
保育士さんたちは、職場環境が悪い中のせいか、
毎日、野戦病院で働いている看護師さん並みに色々ハードそう。
だから、最大限やってくれてはいるが、きめ細やかな保育とは程遠い。
そりゃそうだよね。きめ細やかな保育を求めるなら、認可外でもいいし、
ガッツリ高額なお金払って、みてもらうっていう手もあるんだしね。
■まとめ
うちは、夫も私も、色んな階層がいる環境で子どもを育てたいと思っていたので、
超庶民(どちらかというと低所得者)が多い公立保育所に偶然入れてよかったと思う。
そこで娘も私も夫も、普段出会うことがない(今まで出会ったことがない)人達と知り合えた。
ネットやニュースで、そういう階層の人の存在を知るのではなく、直に接することって、すごく大切なことなんじゃないかと、夫婦で常々話している。
だから、たとえ自分らが裕福な家庭であっても(残念ながら、そうなる可能性は低い)、我が子には、ヤンキーがいるような小中学に行ってほしいと思っている。(勿論、荒れレベルにもよるが)
そこで色々知り、揉まれていって、社会人になる方が、結局、surviveできると思うから。
大人になってからでは、こういった能力はなかなか身につかないもんね。
おしまい
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