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推薦図書:出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと

読了したので思ったことを書きます。ネタバレも少し含みます。

まず読んでいる途中から感じていたのは、“出会い系サイト”というフックはでかいけど、中身は人が仕事に悩み、人と出会い、気付き、行動するっていう、当たり前のストーリーであるということ。これは悪い意味じゃなくて、だからそんなに構えて読む必要はないし、出会い系という言葉に嫌悪感を抱く人もいるかもしれないけど、ちょっと思っているのと違うんじゃないかなと。

個人的にどんな人に読んでほしいかというと、やっぱり現状にちょっと不満というか、どうしよっかなあ、って思ってる人。でも具体的な解決法とか今どうすればいいかとかの道標を欲しているんじゃなくて、次の一歩を考えるために、背中を押すというか、「こんなやり方もあるんだ、へえ」って思える人?かな。あんまり絶望しすぎてる人には、トントンサクセスストーリーかよ、って思われるかも。まあサクセスって何?っていう話もあるけど。あと、本好きな人は色々な本が出てきて面白いかもしれません。

私もどこかで、この本に対してきっと波乱万丈なストーリー展開なんでしょ?って思っていた気がする。私とは住む世界が違うと思わされるかなと。だけど読んでみたら、これは私がやらなくちゃいけないことかもしれない、って気になっていた。そのくらい主人公の悩み、話の始まりはリアルで、ありふれている。

それから、出会い系サイトというデジタルと、本というアナログの融合、かと思いきや、結局デジタルはツールで、私たちはまだまだ目に見えるもの、手で触れられるものに依存しまくってるなっていうことに安心する。

出会い系という入り口がデジタルなだけで、結局私たちは、チャットやメールのやりとりをしたいんじゃなくて、会って話したい。一緒にご飯を食べたい。好きなもの(この場合は本)について語れる人と、一緒に夢中になりたい。ということなのかなと。

ずっと私も感じているけど、現実で会って話をする人というのは普通に暮らしていたらすごく限られている。家族、職場の人、たまに学生時代の友人とか。とりあえず、フィジカルなコミュニティに一緒に属している、もしくは属したことがある人ばっかりだし、やっぱり一番同じ時を過ごすことになるのはその時に同じコミュニティにいる人で。そうすると、みんな同じような悩み持っていたり、近すぎて一緒にいても問題の本質が見えなかったり、励まし合って結局そのままぬるま湯に浸かってしまったりする。
これは特に専業主婦していた時に感じたことで、なんとなく同じ月齢の子を持つお母さんと、どこに行っても(児童館や近くのスーパー)その人たちと会っちゃって、ひとりはいやだからしょっちゅう会うけど、結局話すことはいつも育児の悩み、わかるわかる、って言い合って、旦那さんとか義実家の愚痴を言ったり聞いたり。最初は育児という共通の話題があるから嬉しいし距離もグッと縮まるんだけど、だんだん新鮮さがなくなってくる。でもみんな本当にその時って家族とママ友しか話す相手いなくて、育児に一生懸命で他に何する余裕もなくて、こうなるのもしょうがなかったんだよね。でもその中で好き嫌いをあからさまに出したりあることないこと言い合う人が現れたりして、私は本当にその生活が嫌になってしまった。
何より、そんなことを気にしている自分、そういう話が入ってくるコミュニティにいる事実がしんどかった。

そして今年やっと念願叶って働き始めることができたけど、時短で社外の人とバリバリ会うような仕事ができるわけもなく、事務をしてたらやっぱり結局コミュニティは狭いままで。それでもお金になるからましだけど、でもそんな「まあ、言うても前よりはまし」っていうだけの所にいていいのかな、今の私にはこれがベストなのかなあ、って日々思っている。

私に必要なのは出会い系サイトに登録することだ!って思ったわけじゃない。当たり前だけど。でも、行動が全然足りてないって痛感した。もっと求人情報もたくさん見るべきかもしれないし、いろんな人の仕事の話を聞くべきだと思うし、仕事ができるっていう実績を作らなきゃいけない、もっと本もたくさん読まなきゃいけない、そのための時間を捻出しなきゃいけない、、、、

私は、本読むのは好きだけど花田さんみたいに一万冊のデータベースなんてないし、記憶力が良くないから一度読んだ本でも忘れてたりする。私の価値、本当にしたいこと、って何だろう、何もないのかな、って少し絶望してるけど、時間かけてでも作らなきゃなって思う。

ストーリーの中でまだ消化しきれていない点、主人公は出会い系で会った人に性的な目を向けられることに失望するのに、最後主人公が自分から「私とセックスできる?」と聞くところ…。その人とは何回も会ってて、すごく気が合うから聞いてもいい雰囲気があったのだと思うんだけど、でも読者としては「そこ聞くんだ」って思ってしまった。聞いちゃうんだ…あなたも……みたいな。気持ちはわかるけど。結局自分が性的に見られることに安心してる、安心したいという気持ちはあって、でもこの本のいいところというか、著者自身も自分の中でどっちにも振りきれていない自覚があるのかなと思えるのは、そういうのも、ちゃんと隠さずに書かれているところ。出会い系で会ったら即やれると思ってんのか?っていうイライラがありつつ、でも自分もそういう対象だという安心感を求めてるというリアルさの、どちらかを隠すことはしないところ。多分、同じ立場だったら私も全く同じように思うだろうなと。
でも、性欲が無いと言いつついつでもセックスできる人がいる安心感を求めてそれを相手に確認するというのは…よくわからないかな…。相手が「したくなったら連絡して」というスタンスなら、利害一致してるからそれでいいの?

読んだ人の感想知りたいので、もし読んだ人、これから読む人いらっしゃったらぜひどう思ったか教えてください。
あと、おすすめの本あったらぜひ教えてください!

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