さらばポメラ【日記2】
長いことポメラを使ってきた。
ポメラというのは、キングジムから出ている電子メモ帳である。
軽くて電池長持ち、起動が早く、機能は(ほぼ)テキスト入力のみ、というシンプルさがうけて、作家やライターには愛用者が多い。
ノートパソコンなどは余計な機能が多いし、何より重い、バッテリーももたない。ゲームとかで遊んじゃう誘惑も多い。
その点ポメラは文章を書くだけ。しかも安い。いいことずくめである。
これを持って、あちこちの喫茶店に出かけたものだ。
折りたたみキーボードのモデルの後も、大型化したが使いやすいモデルも出た。
これも買った。
これはこれで使いやすいし、膝の上に乗せて打ったりもできるので重宝した。これで色んな小説や脚本を書いた。
さらにディスプレイが大型化してevernoteにもつなげるモデルがでた。
これも買った。
初期モデルよりかさばるが、ゆったりしたキーボードは打ちやすく、これまたあちこち持っていった。
Twitterにこいつの写真をのっけたらなぜかバズったこともある。
だが最近はクラウドに保存が当たり前で、さらに複数のファイルを同時に開いたり、調べ物もささっとしたくなってきた。
原稿を直接編集部に送れないのも地味に辛い。
Wi-Fiに繋げられないことはないのだが、Googleのセキュリティに拒否されることが多くて実質、役に立たない。
ポメラではどうも能力不足を感じることが多くなった。
しかもそこに新モデル(DM250)が出てきたのだが、これがーー高い。
六万円である。
もうiPadが買えてしまうではないか。
売り文句も「文章のプロ向け」のハイエンド感が漂っていて、しかもシナリオモードなんて機能までついてる(たぶんプロは使わない)。
もはやポメラに「安くて便利な電子メモ」の面影はなくなりつつある。
潮時か。
そう思ってしまった。
自分の仕事のスタイルも変わってきている。
前は執筆中、ネットに繋がるのを避けるためにポメラを使っていたのだが、最近はガマンできるようになってきた。iOSなら集中モードもあるし。
そういうわけでポメラをやめた。
気分転換の意味もある。
どうせなら身軽さを徹底しようと考えて、日頃使ってるiPhoneに折りたたみキーボードのみという構成にしてみた。
アプリはWrix2というテキストエディタだ。昔の秀丸ライクだがGoogle driveやDropboxにアクセスできる。
何より文字数・行数が指定できる(これができないアプリのなんと多いことか!)。
この構成ならドトールとかの小さなテーブルでも執筆できる。
二〜三か月はこれで仕事をしていた。
でもまあ、やっぱりさすがに画面が小さくて疲れる。
調べものもやりづらい。
キーボードも打ち間違いが多くなったような気がする。
バッテリーは十分もつんだが。
特にキーボードは少しはいいものを買った方が良さそうだ。
(そういう意味ではまたポメラに戻ってもいいのだが)
それで今はこういう構成になった。
うちでほとんど電子コミック専用機となっていた古めのiPadを、ダイソーで買ったタブレットスタンドで立てた。
キーボードだけは高級にMX Keys Mini(17,000円くらい)。
で、アプリは同じWrix2。
かさばるし重いが、まあ許容範囲だ。ノートパソコンよりはずいぶん軽い。
これはいい!
画面のサイズも十分だし、キーボードの打ちやすさも申し分ない。
調べものや辞書はスライドオーバーで表示。
文章を打つなら、古めのiPadでも十二分の働きをしてくれる。
というわけで、ここ三〜四か月はこの構成で仕事をしている。
膝のせで書いたりはできないが、野外でやりたい時はまたポメラを使ってもいいだろう。
そんなこんなで、執筆環境の話でした。
(おしまい)
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