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正義と法と国家

香港に対する統制を強め、一国二制度を骨抜きにしようとする中国で、香港国家安全法が可決されましたね。

さて、近代の国民国家の役割って何でしょう。

それは、平和の維持・紛争の解決および市民社会の中での個人の自由な活動、とりわけ経済活動の維持・促進です。そして、近代法治国家における基本的な構成原理とされるのが、新カント派に属するグスタフ・ラートブルフの平等および人権から成る「正義」概念なんです。

ラートブルフは、国家や社会を「個人の利益を実現する手段」と考えました。でも、複数の価値体系を認め、価値判断は良心の決断、個人の信念に任せられる、と言っているだけじゃ、個人の利益が損なわれるってことに気づいたんです。

だって、ナチスドイツは民主的なワイマール憲法のもとで生まれたんですから。民主主義的な統治は多数者による少数者への抑圧の危険性をはらんでいるんです。ですから、「民主主義」を連呼する輩を見たら、独裁者を狙っている、と疑ってかかるべきかも。

まして、中国は民主主義国家ではありません。今回の中国の政治姿勢を見て、ラートブルフなら、こう言うでしょうね。

「『正義』と『合目的性』を内在せず、独裁権力によって根拠づけられた中国の実定法に価値はない」ってね。

こんな怖い国が、日本のお隣にあるですから😢

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