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デザイナーの成長戦略についてチームができることを考える。


こんにちは。

「デザイン×チーム」がテーマのnote 4記事目は、デザイナーの成長戦略について、チームができることを探究していきます。

マネージャーの方はもちろん、もっともっと成長したいデザイナーの方にも参考になるといいなと思います!

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【01】デザイナーを取り巻く環境の変化


いきなりですが、ここ数年でデザイナーを取り巻く環境が劇的に変化したなと思います。


●労働環境が変化した
 ○働き方改革によって労働時間が短くなった
 ○リモートワークが普及した

●デザイナーのスキルセットが多様化した
 ○デザイナーに求められる役割が多様化した
  → 「○○デザイナー」という肩書だけでも…
  ・UIデザイナー
  ・UXデザイナー
  ・BXデザイナー
  ・プロダクトデザイナー
  ・Webデザイナー
  ・グラフィックデザイナー など他多数
 ○デザイナーを目指す理由も多様化した気がする(たけうち所感)



未経験デザイナーの育成のnoteでも触れた通り、
働き方改革により、会社から与えられる業務量は前の時代と比較すると減少傾向にあります。

そして今の30代〜くらいのハードワーク世代がまだまだプレイヤーとしても現役のため、働き方改革後の若い世代はふつうに会社が与える業務だけ行っていた場合、よほど学習効率が良い、才能に溢れた10年に1人の逸材である(?)などでない限り、何年経っても先輩に追いつくことは難しいでしょう。

また、業務量が減少傾向の中でさらにデザイナーのスキルセットが多様化したことにより、(所属する会社の業務内容にもよりますが)下手をすると器用貧乏になりかねず、デザイナーとして自分が目指す道の見極めがより重要になってきていると感じます。

そもそもですが、デザイナーを目指す理由もかなり変わってきていると感じます。
いま30代〜くらいの方は「小さい頃から絵を書くのが好きだった」など、「つくるのが好き!」という原体験を持った方が比較的多いのに対して、
特にここ5年以内くらいでデザインの勉強を始めた方の中では「課外活動を通してユーザー体験設計の大切さを知った」「自分でブログを立ち上げてみたのだけどUIの大切さが分かった」など、ユーザー体験の原体験から手段としてのデザインを学ぼうという方が非常に増えているように感じます。

目指す動機が異なれば、必然的にデザイナーのタイプも多様化しますよね。


つまり、デザインフィードバックのnoteで「デザイナー個人を成長させるのはあくまでもプロジェクトを通したアウトプットの経験」と書きましたが、一方で、時代背景とともに業務に依存した成長の限界が来ていると考えています。

そんな時代にデザイナーチームのリーダーとして、メンバーのサステナブルな成長のためにできることは何だろう…?
そんなことを考え続けてはや3年、行き着いたのが、チームができることは「メンバーがホールネスに働くことができる手助けをする」ことではないか、ということです。


【02】「ホールネスに働く」とは?


ホールネスに働くということはどういうことか。

ホールネス」という単語はまだ一般的なことばではないかもしれませんが、これは完全にYOUTRUST社の岩崎さんの受け売りです。

岩崎さんによると、ホールネスとは

(前略)自分が感銘を受けたのは「ホールネス(全体性)を持って働かないと、人間は成果がでない」という話だった。ホールネス(全体性)ってなんやねん、というお話なのだが「自分の人生まるごと」をホールネスと言っているようだ。

「あなたは自分の人生まるごと持ち込んで働いてますか?」ということだ。もっと簡単にいうと「自分らしく働いてますか?」ということだと私は解釈している。

とのことです。
こちらのnoteに詳しく書いてあります。超名作noteなので激しく推します。



このnoteを拝見するより前から、
私はチームに新メンバーが入社した際には、会社の目標設定とは別に1人のデザイナーとしての目標設定を書いてもらう、ということを行っていました。

記入してもらっていたフォーマットはこちら↓

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ちなみに、こちらはベイジさんの社長ブログのフォーマットをベースに、アトラエさん主催のイベント「PxTX」にてMIRACREATIONの北川 賢司さんが発表されていた目標設定のノウハウをマージしてカスタマイズしたものです。先人の知恵を積極的に借りていくスタイル。



あえて会社の目標設定と分けて書いてもらっていた理由は、

会社としての目標設定は、多かれ少なかれ会社の現在のフェーズや事業モデル、ワークフローなどが関係する「会社の社員として達成すべき目標」の記載が必要になります。
(もちろん採用時点で会社のMISSIONと個人のMISSIONに大きな乖離がないようにしますが、それらが1%も違わず一致するということはふつう無いはず)

そのため、会社関係なしに、1人のデザイナーとして目指したい姿と、そのためにいまやるべき(だと考えている)ことを教えてもらうようにしていました。

もちろん1人1人の成長のため目標を確認する意味合いも大きいですが、先ずはお互いがどんな人間かを知るために「デザイン」という共通言語を使用して対話する、というサブ目的もありました。


私は、メンバーたちには、1人1人がその人らしくキャリアを重ねて欲しいと考えています。

メンバーの現在だけじゃなく先のキャリアも見据えて対話すること、そのために必要な関係値を構築することをずっと考えてきたし、
たとえいつか一緒に働かなくなる日が来たとしても、その後もお互いに成長し続けて良い影響を及ぼしあっていくことができるよう、さまざまなノウハウや考え方を伝えてきたつもりです。

そうして対話を重ねることでこそ、メンバー本人にも大きなメリットがあり、結果チームとしてのアウトプットが最大化すると考えてきました。


そこに岩崎さんのnoteを拝見して「ホールネス」という言葉を初めて知り、


「これだ…!!」


となったわけです。
ゴチャゴチャと考えていたことが「ホールネスに働く」という考え方によりスーーーーーッ👼 、と浄化された気がしたので、少し耳慣れないことばかもしれませんが、このnoteではあえて「ホールネスに働く」というワードをベースに書いていきます。


岩崎さんのnoteにはティール組織についての文献から引用しながら実体験も交えて「自分らしく働かないと人は成果がでない」ということが分かりやすいことばで書かれているので、めちゃくちゃオススメです。

推しすぎるのでもういっかい載せちゃいましょう。




【03】メンバーがホールネスに働くためにチームができることを考える


では、前述の通りホールネスに働いて欲しい、と考えたときに、チームとしてできることを考えていきます。

心理的安全性のnoteでも書いた通り、
冒頭で述べた時代背景(労働環境の変化とスキルセットの多様化)を鑑みたときに、いまのデザイナーに特に必要なのは「自分で成長サイクルを回すことができる力」だと感じています。

例えば…


●自身で適切な目標設計ができ、目標達成のために自走できる
●業務外でも副業や趣味、学習などを通してスキルアップができる
●自身がより成長する環境に身を置くことができる など


とはいえ、そんなこと言われたって難しいですよね。
上記について「自分、めっちゃ出来てますから!!」って自信をもって言えるひと、何%いるでしょうか。

はい、そこでチームの出番ですよ。


①メンバーのミッションや目標を理解する
②メンバーに気付きを与える
③メンバーが行動するきっかけを与える


などにより、促しましょうよ、成長を。乗せましょうよ、圧倒的な成長サイクルに!!
…何か怪しいセミナーみたいになっちゃいましたが詳しく説明します。



①メンバーのミッションや目標を理解する:

まずはメンバーがどんな人かを理解しないと始まりません。
私は前述のような方法で個人目標の確認を行い、クオーター〜半期に1回のペースで目標の進捗確認を行っていました。

会社の目標の場合は組織として進捗管理が必要かと思いますが、個人目標については、リーダーや先輩がペースメーカーになる、壁打ち相手になる、くらいの脱力感で良いと思います 🏃‍♀️🐢
忙しい日々を過ごすうちにどうしても目標を忘れがちになるので、それを思い出させてくれる相手がいるだけでもその意味合いは大きいと思います。


②メンバーに気付きを与える:

どれだけメタ認知能力の高い人でも、人とのふとした会話から突破口が見いだされた経験が1つや2つあるのではないでしょうか。
そういった機会の創出のためにも、相互理解の深化のためにも、1on1は週次で行っていました。


ちなみにあるあるかと思いますが「1on1って何話せばいいかわかんないんだよなー」という時期は私もありました。
その頃は「1on1メニューカード」を作っていました。

作り方はかんたん。A4を6枚に切ったカードに予め考えたトークテーマ書くだけ。
…ただの裏紙やん!!
デザイナーさんにはちゃんとカードをデザインして印刷したりすると、より1on1のテンションが上がるかもしれないですね。
話のネタに困った時はそのカードを引いてもらっていました。


「そんな無理やりやる1on1、時間の無駄じゃない?」って思った人います?いますよね。怒らないから正直に手を挙げてください 🤡

でも、そういった時間の積み重ねを通して、さいしょはあまり自分のことを話してくれなかったメンバーも、次第に自発的に大切な話をもちかけてくれたりするようになります。
仮にメンバーが重大な意思決定をしようというタイミングで、リーダーとメンバーがそれを相談できる間柄になかったら?その方が余程リスクだと考えています。

1on1は根気と継続。



③メンバーが行動するきっかけを与える:

「やるべきだということはわかってるけど…できない…」

そういうことだってあると思います。人間だもの。
「できない」にも内部要因(自分のメンタルや行動特性など)外部要因(業務状況や人間関係など)があると思います。

それらの行動を阻害している要因を少しだけでも特定し、可能であれば取り払うことで、メンバーが…グッ!!!!と行動しやすくなる場面があると思います。


できない理由が内部要因の場合…

例えばロジックツリーの手法などを使用し、できないと思う理由を細分化し「あ…こうしたらできそうかも?」と思ってもらうこともできるでしょう。細分化することで困難な課題も意外と先ず取り組めそうな項目が見つかったりします。
あと、自分の行動特性って意外と自分で気が付いていないことも多いんですよね。「あなたってこうよね」と決めつけてかかることは悪手ですが、「○○さんってこういう傾向あったりしない?」のように気が付いたことをシェアするだけで「あー!そうかも!」だったり「そう見えるかもだけど実はこうなんだよねー!」のように気付きが生まれ、新しい行動に繋がるかもしれません。


できない理由が外部要因の場合…

リソースの調整や案件状況などについては、リーダーの立場であればメンバーよりも裁量を持って調整しやすいのではないでしょうか。メンバーのために走り回りましょう。
人間関係についても、他の人から見たら他愛のないことに見えたとしても、本人にとってはとても重大な問題になっていることだって多いです。
特にプライベートのことには土足で踏み込まないように注意しながら、それでもメンバーが相談してくれたのであれば保健室の先生にでもカウンセラーにでもなりましょうよ。代わりに解決してあげることはできないけれど、解決に1cmでも近づくことができたら良いですよね。



あくまでも成長は本人の努力に基づくもので、もちろん他者が強制するものでもできるものでもありません。

ですが、このように、チームリーダーがほんの少しだけ環境を整えることでメンバーの成長は加速しますし、いちど「やりかた」「考えかた」を覚えたメンバーは次第に自分で自分が成長しやすい環境を整えられるようになり、最終的に自分だけの成長サイクルに乗り、回していくことが出来るのではないかと考えています。


メンバーの成長を会社の業務という小さな箱の中に押し込めるのではなく、もっと全体性を持って考え、ひとりひとりが自分らしく、楽しみながら成長できる環境を考える

そうすることでメンバーはに業務外でも成長が発生し、その成長は結果的に組織にも還元されるのではないかと考えています。




【04】番外編:マネージャーになったあなたはホールネスで働けるか?


さて、少し別の切り口からの話になりますが、デザイナーの成長、ないしキャリアについて考えるときに避けては通れないのが「成長したデザイナーはマネージャーになるべきか」という問いだと思うので、そちらについても触れておこうと思います。

私は「マネージャーになるだけがデザイナーのキャリアの選択ではない」と考えています。

こちらも「ホールネスに働く」ことと強く関係してきます。


冒頭で述べた通り「自分らしく働かないと人は成果がでない」と仮定した場合、「マネージャーとして務めることが自分らしくない」人がマネージャーを担当しても成果が出ない、ということになります。

また、最近ではマネージャーとスペシャリストを給与テーブル上 同等のステージに置く会社さんの例もよく聞くようになりましたので、トレンドとしてもマネージメント以外のキャリアの道が開かれてきている印象を受けています。
こちらはティール組織のトレンドの影響でしょうか?詳しいかた教えてください(他力本願)。


このように「成果を出す」という観点からも組織のトレンドの観点からも、デザイナーのキャリアの選択肢としてマネージャーしか存在しない状況は望ましくなく、スペシャリストとして専門性を深めるもしくは専門領域を拡大する選択肢もある状態が望ましいと考えています。


ただし、私自身、マネージメント職には自分で望んで就任したわけではありませんでした。

当時の上長の離職に伴い、繰り上がるような形でチームリーダーになりましたし、それまで自分がマネージメント職になることについて考えたことがなかったです。
しかし、いざなってみるとその業務はとても楽しく、自分に向いていると感じました。

なので、これを読んでいる方でマネージャーをやってみないかと誘われている方、その誘いを受けるかどうか悩んでいる方がいらっしゃれば、
ぜひまずはいちどチャレンジしてみて、マネージャーになった自分が自分らしいと感じればそのまま突き進み、自分らしくないと感じればいまいちどキャリアを見つめ直してみれば良いのではないでしょうか、と私は思います。

どちらに転ぶにしろ、プレイヤーを続けていた場合には気が付かなかった視点などに気が付くことができると思います。



【05】ホールネスに働ける環境で、成果を出し、成長する


仕事とプライベートをきっちり分けたい人も、24時間いつslackを見てもオンラインの人も。スペシャリストとして突き進む人も、プレイヤーからマネージャーになる人も。

どんな働き方を選択したとしても、それが本人にとってサステナブルであり、かつ他人の働き方が侵害されるようなものでなければ、それでいいんじゃないかなと思います。


でも、どんな働き方を選択したとしても、ぜひそうあって欲しいのは、自分らしく働けること。

自分らしく働いている人のまわりにまた自分らしく働く人たちが集まり、すてきなコミュニティができ、新たな成長がうまれること。

いままで出来なかったことが、出来るようになること。

そんな風にいられるチームこそが、最強なんじゃないかと考えていますし、そう在るためにできることを今後も探究していきたいと思います。



「デザイン×チーム」をテーマに4回に渡ってナレッジを書いてきたnoteはこれにて完了です。

再掲になりますが、下図のように、デザイナーを取り巻くチームがどう在ると良いか?探究するために、なるべく点ではなく面になるように、いろいろと書いてきました。
(画像見にくくてごめんなさい。大きい画像コチラからも見れます)

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毎回6,000字を越える長文noteにお付き合いいただき、ありがとうございました。

ぜひみなさんのチームの取り組みも聞かせてくださいね。

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