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短編恋愛小説集「嘘の告白」

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嘘の告白から始まる学園が舞台の短編恋愛小説集。 毎日1話投稿予定。 小説家になろう、カクヨムにて完結済みのため、続きの読みたい方は当該サイトにてご拝読ください。
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#鹿山

短編恋愛小説集「嘘の告白」 あらすじ ラブレター 共通ルートその1

短編恋愛小説集「嘘の告白」 あらすじ ラブレター 共通ルートその1

隣のクラスの女友達、中野未来(なかの・みく)と話していた田島優吾(たじま・ゆうご)が教室に戻ると、机の引き出しにハートのシールで封のされた手紙が入っていた。
ラブレターなど無縁だった彼は、初めての経験に胸を躍らせる。
だが、それは嘘の告白で―――
当然からかわれた彼は悲しみ、憤って、自分を責めて。
これは嘘から始まる恋のお話。

この作品はFC2ブログ、小説家になろう、カクヨムに掲載されています。

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短編恋愛小説集「嘘の告白」 鹿山知恵編 エピローグ

短編恋愛小説集「嘘の告白」 鹿山知恵編 エピローグ

「なんか悪いな」
「怪我は早めに直さないとダメよ。それにアンタ、誰かついてないと寄り道しそうだからね」
「おう、俺より俺に詳しいな」

部活の練習中に捻挫をした俺は、帰りのバスの中で揺られていた。
地獄に仏でもいうのか、部活の顧問は理解があって、理由さえ言えば休ませてくれる。
帰り道が一緒でも、わざわざ鹿山がついてくる必要はない。
だが、怪我をした時に限って訳もなく感傷的になるものだ。
なので、彼

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短編恋愛小説集「嘘の告白」  最終話 人の心  鹿山知恵編その5

短編恋愛小説集「嘘の告白」  最終話 人の心  鹿山知恵編その5

あれから数日後。
俺はその間、鹿山にも宮本さんとも、話すことはなかった。
後は彼女たちが解決する問題だ。
当事者ではない無関係な俺が、安易に首を突っ込んでいい問題ではない。
逸る気持ちを抑え自制しながら、俺は悶々とした日々を過ごしていた。
授業が終わった後の、10分の休み時間。
用を足して便所から出ると、待ち構えるかのように鹿山が立っていた。
何事かと視線を向けると、すぐさま視線を下に落とす。

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短編恋愛小説「嘘の告白」 第8話 決心 鹿山知恵編 その4

短編恋愛小説「嘘の告白」 第8話 決心 鹿山知恵編 その4

数日後

鹿山はクラスで一人、浮いていた。
けれど恩を仇で返す人間に、いつまでも親切にするお人好しなど、そうはいない。
ただ一人の味方であった宮本さんも、いつからか話しかけなくなっていった。
だがしかし敢えて一人を望むかの如く、あいつは振舞っている。
誰も信じず、誰の力も借りようとしない一匹狼のように。
別にそのような生き様に、後ろ指を指すつもりはない。
心ない暴言や偏見、悪意に晒されて、自分だけ

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短編恋愛小説集「嘘の告白」 第7話  少女の涙  鹿山知恵編その3

短編恋愛小説集「嘘の告白」 第7話  少女の涙  鹿山知恵編その3

一週間後

人の感情というのは、とかく熱しやすく冷めやすい。
俺と鹿山の嘘で塗り固められた恋人関係に、興味を示す人間は少なくなっていた。
公一やその他数名は、未だに感心を持ってくれている。
しかし話すことは買った漫画や最新作のゲームの話題が多く、たまに仲を聞いてくるくらいにまで、頻度は減っていった。
だが、俺のやったことは骨折り損にはならなかった。
鹿山は取り巻きの女子から、反撃を受けるようになっ

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短編恋愛小説集「嘘の告白」 第6話 嘘の告白  鹿山知恵編その2

短編恋愛小説集「嘘の告白」 第6話 嘘の告白  鹿山知恵編その2

次の日にて

鹿山は相も変わらず、澄ました表情で登校していた。
それとは対照的に、宮本さんは俯いたままで、見ているこっちまで辛くなってくる。
その様子を目の当たりにした俺は、決意を更に固めた。
すぐに冷静ではいられないようにしてやる。
とはいえ計画を実行するには、ある程度の下準備が必要だ。
昼休みを迎えて仲のいい知人と共に弁当を頬張っている最中、俺は全身の気力を抜いて頬を緩めた。
そうしていると果

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短編恋愛小説集「嘘の告白」 第5話 悪意には悪意を  鹿山知恵編その1

短編恋愛小説集「嘘の告白」 第5話 悪意には悪意を  鹿山知恵編その1

翌日、俺は鹿山を屋上に呼び出した。
宮本さんに訊ねる選択肢もなくはなかったが、疎遠になっていったせいで、それは難しい。
だからこそ、当人に訊ねるのが手っ取り早いと考えた。
しかし、あいつのことだ。
延々と、しらばっくれてもおかしくない。
それでも直接聞きださねば、腹の虫が収まりそうになかった。
心の奥底で燻っていた憤りや憎しみ、その全てをぶつけないことには。

「こんなところに呼び出して何のつもり

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