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『ゆっくりと自分を理解したギャップイヤー』 Lukas Jayan Geneser

留学支援、就職支援があるなら、休学支援があってもいいじゃないか。
そんな想いから、様々な休学の形を伝える『ギャップイヤー Brothers』のnote。

休学ライフは百人百色。
留学しても、働いても、何もしなくたってもいい。
どんな時間の使い方をしてもいいのが休学。

このnoteを通じて、様々な休学ライフを伝えることで
貴重な学生生活を過ごす皆さんにとって、選択肢が1つでも増え、休学へのハードルを取っ払うことができたなら、僕たちの活動にとっての本望だ。

今回の記事では、『大学入学前のギャップイヤーというテーマで、デンマークに暮らすルーカス(Lukas)の休学ライフを届ける。
少し長くなりましたが、ぜひ読んでみて下さい。


1. Who is Lukas/ルーカス

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Lukas Jayan Geneser (通称:ルーカス/ジャイアン)
学部:institute for social work
出身はデンマーク🇩🇰
計2回、1年と6ヶ月の*ギャップイヤー/日本でワーキングホリデーを経験
現在は、社会福祉士を目指している。


2. ギャップイヤーと大学の意味

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ーールーカス、まずは自己紹介を簡単にお願いします!
ルーカス:初めまして!デンマークのコペンハーゲンに住んでいます、ルーカスです。周りのみんなは、ルーカスやジャイアンと呼ぶことが多いね。笑
今は、社会福祉士になるために4年制の大学に通っている2年生です。

ーーありがとう。ルーカスは今の学校に入学する前にギャップイヤーを取ったんだよね。
ルーカス:実は2回ギャップイヤーを経験していて、1度目が高校卒業後で2度目が今の大学への入学前。
簡単なタイムスケジュールを並べると

2015 夏:高校卒業後、1年間のギャップイヤー
2016 夏:介護専門学校に入学
2018 夏:介護士としてデンマークの会社に入社
2019 1月:ワーキングホリデーを利用し、日本・熊本へ渡航
→2度目となる半年間のギャップイヤー
2019 9月:現在の大学へ入学〜

ルーカス:2015年に高校を卒業してから、約1年間のギャップイヤーをとった。そして、その後に介護専門学校に2年間通ったんだ。
正直、高校を卒業した時点で、大学で何をしたいかがわかっていなかった。だから、大学に行く準備が全然出来ていなかった。もっと言えば、自分が何が好きで何が嫌いかすらわかっていなかったんだ。
だから、1年間のギャップイヤーをとることにしたんだ。

ーー日本では、自分のしたいことを探す期間が大学の後半〜就職活動にあるような印象なんだけど、大学入学前から自分について考えていたんだね。
ルーカス:
そうだね。だって、そもそも大学という選択肢は必ずしも必須では無いからね。特別にしたいことがあればその専門学校だとか、いろいろな選択肢があると思ったんだ。

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ーー疑問が2つあるんだけど、答えてくれる?ルーカスやデンマークの人たちにとって

・ギャップイヤーという選択肢は一般的なの?
・大学はどういう場所と捉えられている?

ルーカス:もちろん。

ーーまずは、デンマークでのギャップイヤーについて。
ルーカス:デンマークでは、ギャップイヤーはとてもコモン(一般的)な選択肢だと思う。僕の周りの友人たちもそうだし、両親ともギャップイヤーをとっているね。
多くの人が、1〜2年くらいの期間を選んでいると思う。みんな、海外旅行や働く経験なんかをして、自分の好きなこと、嫌いなこと、したいこと、したくないことについて考えるんだ。
さっきも言った通り、大学は必ずしも必須ではないし、幸せに繋がるわけでは無いからね。ただ、大学に行くメリットはいくつもある。
だからこそ、本当に大学に行くのが一番幸せなのか、はたまた、大学では何を学ぶのが一番幸せなのか、などを考えるためにギャップイヤーを取るんだ。

ーーなるほど。大学に行く前にしっかりと自分の意思を確認するんだね。
そもそも、デンマークでは大学はどういう場所だと捉えられているんだろう?
ルーカス:これは、デンマーク全体としての答えというより、個人的な意見になるけど、ソーシャライジングを学ぶ場所、つまり、色々な社会を知って、色々な人との付き合いを通じて様々なことを学ぶ場所かな。
そして、大学で過ごす数年間は、ちょうど大人になるという自覚を持つ年齢くらい(18~19歳)に経験する貴重な数年間の機会だと思う。だからこそ、その機会を無駄にしてはいけないという思いがある。

ーー 貴重な機会だと捉えているからこそ、大学入学前にギャップイヤーを取る学生が多いんだね。
ルーカス:やっぱり中には、世間一般の流れで、高校卒業後に大学に行って、『自分は何がしたいんだっけ』という風になって、ドロップアウトしてしまう学生もいる。この貴重な期間をうまく活かすためには、ギャップイヤーを使って自分の人生としっかり向き合ってから大学に入るのでも、決して遅くないと思う。

ただ、人生の休憩でもいいし、ギャップイヤーは色んな意味合いを持てるし、自分のペースを作ることができる機会だよ。
もちろん、「皆んなより遅れちまったなー」と思うかもしれない。
でも、実際は全く遅れていないし、18、19歳くらいの大人になり始める年齢で、ギャップイヤーを取るのはすごく適切なタイミングだと思う。

・ギャップイヤーは北欧では一般的な選択肢
・大学は、大人になるという自覚を持つための貴重な期間

3. 『ゆっくりと自分を理解したギャップイヤー』

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ーーギャップイヤー期間にはルーカスは何をしていたの?
ルーカス:2回ギャップイヤーがあったから、順番に説明するね。
1度目のギャップイヤーは、大学に入学する前だね。
そこでは、半年間の老人ホーム勤務と半年間の*フォルケホイスコーレ生活を経験した。ここでは、自分が何をしたくて、何をしたくないのかを学んだね。
例えば、日本語を学べるホイスコーレに行ったんだけど、僕は言語をメインで勉強するタイプではなく、何かを学びながら趣味で言語を学ぶ方が性に合っていると思ったんだ。
だけど、ホイスコーレのプログラムで過ごした2週間の日本での生活は、とても自分に合っていて、改めて日本が好きだと思った。特に、馴染みのない言葉が溢れる日本で、愛知で1人ホームステイをした経験はとても印象的だったね。
いつか、ここに戻って来たいと思えた経験だったよ。

フォルケホイスコーレとは
大人の学校とも呼ばれる、北欧独自の教育機関。
試験や成績が一切がなく、民主主義的思考を育てる場である。
加えて、全寮制や学費の一部を国が負担してくれるなどの特徴もある。
参照:一般社団法人IFAS

ルーカス:2度目のギャップイヤーは、介護専門学校を卒業して、実際に介護士として働き出して2年経った頃かな。その時には、フォルケホイスコーレで行った日本のことが忘れられず、ワーキングホリデーを使って、日本に行くことにしたんだ。
そこでは、『本当に自分がしたいことが何か』という問いに向き合えた気がする。もちろん、日本が大好きだという気づきも改めてあったよ。笑

ルーカス:日本で介護士として働く経験を通じて、日本で介護士として働くのは少ししんどいように思えた。そもそも、介護士が自分のしたいことではないかもしれないと気づくことができたんだ。
働く準備は十分に出来ていたんだ。むしろ、働きたいと思っていた。だけど、介護士という仕事は周りのアドバイスの影響が大きくて、完全な自分の選択ではなかったから、どこか「違うかもしれない」と思うところがあった。

ルーカス:そんな時に日本で介護士の経験をして、自分には専門的な職務だけではなくて、もっと勉強して知識を増やすことが必要だということに気付けた。だから、帰ってから大学に行くという決断をしたんだ。いくつか選択肢があった中、自分の幼少期の経験などから、社会福祉というフィールドを選んだんだ。
これは、完全に『自分の意思』で納得した決断だったね。

ーーなるほど。日本で働いた経験で、その業界のマイナス面もプラス面も知って、自分の進むべき道が決まったんだね。
ルーカス:そう。だから、1年間あったワーキングホリデー期間を切り上げて、半年でデンマークに戻ったんだ。
もちろん、最初はとても悩んだ。本当にこれが正しい決断だったのか、人生に一度のワーキングホリデーがもったいないんじゃないか。

ルーカス:でも、今はあの時の決断に後悔は全くない。あの時に向き合った自分の意思のもと、学びたかった社会福祉に携われているのは本当にいいことだね。
ギャップイヤーをとって日本に行ったことは、ハルキ(インタビュワー)との出会いにも繋がる本当に大きな経験だったね。笑
あの時の決断がなければ、今の自分は居ないよ。周りの声を聞くだけだったら、、、ね。
自分の選択にこれまで以上に自信を持てる様になったのもこの経験のおかげかな。

『自分を理解するためのギャップイヤー』
1回目:何をしたくて、何をしたくないのか
2回目:本当に自分がしたいことと向き合った
→自分の選択に自信と納得感を持てる様になった。

4. 今後の目標

ーー今後は何かプランがあるの?
ルーカス:まずは、今とっている学位をしっかり取り切ることだね。笑
そのためには、職場体験もしなきゃいけないね。その先は心理療法士・セラピストになるために学校に行くことも今のプランでは考えているよ。
でも、いつプランがどう変わるかなんてわからない。もちろん、国境が開けたら日本に行きたいしね。笑

ルーカス:でも、今は18歳〜30歳くらいの心に病や苦しみを抱える人たちを、教育機関や職場に戻してあげる支えをするために、セラピストになることを第一に考えてるんだ。色んな人の良いところ・悪いところを気付かせてあげて、自分が支えてあげるんだ。

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5. 最後に

今回は、デンマークに暮らすルーカスのギャップイヤーについてインタビューを行った。『自分を理解する』というテーマのもと、高校卒業後/大学入学前と2度のギャップイヤーを取得した彼は、すごく自分の人生に納得感を持っている様に感じた。
現在の目標や今後のプランを語る彼は本当に楽しそうで、こちらまで高揚してくる場面も多々あった。

ちなみに、日本語好きな彼は流暢な日本語と英語、両方を使ってインタビューに答えてくれた。自分の言語などの趣味を通じて、新たな繋がりを作り出す彼からは、無限の可能性を感じさせられた。

どんな理由でも、どんな過ごし方でもいい。自由な期間である『休学』をよりハードルの低い選択肢にするために、今後も様々な形の休学ライフを届けていく。

*日本語に訳すにあたり、話し方をアレンジしている箇所があります。ご了承ください。
ギャップイヤー(Gap year )とは
自ら作り出す空白の期間のこと。
この期間に、留学・海外旅行・ワーキングホリデーなど、普段の大学生活や社会人生活ではできないことに挑戦することができる。
現在では、大学入学前/在学中の休学/卒業後も含めて、空白の期間をギャップイヤーと呼ぶことが多い。
参照:グローバル採用ナビ日本ワーキングホリデー協会

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