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外資系コンサル(電通➡︎ボスコン➡︎独立研究者)が教える究極のプロジェクトマネジメント

【超訳】勝てるプロジェクトは最初の人選と目的で決まる。個々の能力よりチーム内の情報流通量を最大化させることが鍵でそのために心理的安全性の担保すべき。目的達成のためには、変えることを恐れず、嫌われることを恐れない。

【新装版】外資系コンサルが教えるプロジェクトマネジメント(山口周)

慶応(哲学)→電通→ボスコンの華麗な経歴で全てが名著。自身も広告代理店でプロジェクト思考が擦りこもまれているので、読んでいて心地よい。

プロジェクトの成否の半分は「人選」で決まる

まず人選ありき。適材を載せ、適所に座らせ、「不適材」をバスから降ろす。そうすればおのずとバスの行き先は決まる。ビジョナリーカンパニーのコリンズのこの言葉はあまりにも有名。 いいメンバーが集い、シナジーが生まれれば1+1=3にも5にもなる経験は個人的にも実感済み。 同様に逆も然り。同じ船に乗れないのであれば、同乗することは互いにとって不幸である。目的が変わることもあるし、行き先が変わることも悪いことではない。だからこそ、常に立ち位置の確認は不可欠なのだろう。

関係者の期待値をコントロールすることが必要 

時に「このメンバーでは戦えない」という主張することは、楽観的な期待を改め、緊張感を持つようになる。さらにプロジェクトが危機的な状況に陥った時の増員、交代など打開策を考えやすなる効果も得られる。 大事なことはプロジェクトの成功確率を上げることであって、「まぁとりあえず」というマイナス因子を取り除くことには大きな責任と判断が必要である。 山口さんの言葉はナイフのように本質を抉ってくるので時に痛い…

強い組織は3つのパターンの組み合わせ

「ビジョン型」の目標を掲げて軸をブラさず、ビジョン追求のために必要な要素に分解して「合理的計算型」で数値目標を掲げる。さらに直観的な飛躍や創発を引き出す「ランダム試行型」を容認する。 この3つの組み合わせにある。近年はMMV策定からパーパスの流れがきて、最近は不要論も出てきた。個人的には、組織の規模が大きくなってスパンオブコントロールできないステージで初めて必要なものだと思う。 ほとんどのコンサルがは、あくまでビジョン策定と納品が仕事で、売上の責任までは負わないのが慣習。組織コンサルも策定したものに応じて、クライアントの売上(プラスもマイナスも)をレベニューシェアするぐらいが本気でコミットするぐらいの気概が必要ではないだろうか。

呑み込みの早さを「優秀さ」「頭の良さ」とはき違える傾向が顕著

筆者の経験だと本当の意味で優秀な人間は、頭の良い人というのは意外と呑み込みに時間がかかる。理由は自分の頭の中にある事象と新たな学んだ事象との関係性をきっちり整理しないと「わかった」と思えないからだ。 この本で一番共感した箇所。 不動産業界のレベルが低いと言われる理由はここにある気がする。市場も大きいが競争も激しく、余計なことを考えない兵隊が強い。騙しのスキルと呑み込みの早さこそが「優秀さ」「頭の良さ」で評価される業界なのだ。

プロジェクトチームの力量はチーム内で流通する「情報の量」

これも驚きだった。個々のスキルの高さだと思っていたが、チーム内で流通する情報量が成否を分けるのだ。 個人のスキルをあげることは難しくても「正しい情報を、早く正確に共有できる」仕組みを作ることが集団全体のパフォーマンスをあげることにつながるということは、今一度心に留め置くべきだ。

直観的に「何かがおかしい」と感じられる時は、その後で必ず大きなトラブルが起きる

その火種はすぐには見えない。関係者にも分からない。だからこそ一番大事なのは、その正体が何であるかを見極めることが大事である。 実際、これはプロジェクトに限らない。あ、なんかこの違和感というシックスセンスは当たる。違和感がなぜ当たるかというと、過去の経験、無意識な感覚に裏打ちされているもので表層化、言語化できてないものも多い。 人間の脳は潜在的な精神能力の10%しか発達させられないとも言われており、この辺の違和感は研ぎ澄ませることが必要だ。

最後に

他にも紹介しきれないぐらい有益なエッセンスが詰まっている。

・関係者の期待値より高い結果に終われば成功、低い結果に終われば失敗
・リソースは100%ギリギリではなく70%くらの稼働率で回る程度が理想
・「忙しいのに大した成果が出てない」という状態は「アクティブ・ノンアクション」で忌避すべき
・質問を通じて「自分で答えに至る」感覚を覚えることを促すべき
・目的主義で動く人は上位役職者との「生意気なやりとり」を恐れない。結果、評価される。
・定例会議では「やったこと」ではなく「その時点での結論」を出す
・自分のやった行動とフィードバックは時間軸が短ければ短いほうがいい

率先垂範(行動)によって組織は活性化ではなく、むしろ停滞する。目的を定めることの重要性を説いた必ず読むべき一冊だ。

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