173_僕たちは子どものまま_2
続きです。
いつまで僕はこうなんだろう。
多分、僕は人並みにはモテてきた方だと思う。彼女はいたし、告白もそれなりに受けてきた。
中学2年生の頃、下駄箱にラブレターが入っていた。
「放課後に公園の噴水前に来てください。話したいことがあります。」
宛名がないラブレターだったため、クラスの友人に相談したところある女の子が「私の後輩があなたに宛てたラブレターだよ」と教えてくれた。放課後、女の子が噴水の前まで案内してくれたが、差出人の子がなかなか現れなかった。女の子と2人きりの公園。無邪気な僕にはあの時間の本当の意味なんてわかるはずなかった。
高校生の頃、彼女がいるのにもかかわらず、彼女以外からバレンタインデーに3個もチョコをもらった。彼女は泣いていた。どうやらチョコをもらったことが気に食わなかったようだ。しかも、そのチョコをもらった女の子の中に、彼女の後輩の女の子がいた。泣きながら、丸めた手で僕の膝を何度も打つ。膝から鈍い音が出る。
義理チョコくらいにしか思っていなかったチョコ。それをもらう意味、それからのこと。何も考えられなかった。
「これ、よかったら、、」
なんて言われたらもらっちゃうよ。チョコなんだもん。
ただ、後輩の女の子だけは違った。
「帰ったらすぐ食べて。彼女さんには内緒で」
最高のアシストパスも、ゴールリングを揺らすことはなかった。ボールはエンドラインの外へ弾かれ、気付いたら手元にボールはない。
いつだって流されてきた。
ずっとこうだった。しかし、僕は男性としての機能はあるはずだ。
可愛い同級生をずっと見ていた時もある、友人の色恋沙汰にワクワクするし、彼女と手を繋いだときなんか心臓の音が聞こえるくらい鼓動した。初めてのSEXは緊張で最後まで出来なかったけど、その夜はベッドの上で抱き合って朝を迎えた。
僕にも「こうしたい」があって、それに心が動いている。流されているだけじゃない。しっかりと、流れている。
流れて、いる。
と思う。
好きってなんだろう。
この胸の高鳴りも明日になったらなくなっているんだろうって思ったら少し寂しい。いや、この気持ちがなくなるんじゃなくて、この人に対するこの気持ちがなくなるんだ。
いつになったら理解できるんだろう。もしかしたらわかるときは来ないのかな。
フラフラになりながら居酒屋での僕のセリフが回想される。
しがみ付くように必死に歩く。
「そうなんだ。モテそうだけどね」
何も考えずに出たセリフだと思いながら、これしか頼るものがない。
僕は雰囲気だけでうなずき、昼のような夜に僕を確かめに行く。
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