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私というアウシュビッツ【この靄を抜けて】小説

私の脳は飛蚊症に侵されていていつか気が狂う日が来るのではないか。

子供の頃からそんな恐怖心に見舞われる事があった。

時間にも場所にも構わず、私の頭にはめちゃくちゃにアイデアがさく裂して、爆発が起きていた。

ピアノのレッスン中でも、朝礼中でも、家でトイレにいるときでも、お風呂にはいっている時は、その脳内と格闘し、永遠と一人で脳内の誰かと議論を戦わせていた。

いつだっている場所、やっている事は、片目でこなしているような感覚で、半分以上の神経は沸き起こる議論と本気で戦っていた。

現実世界を生きていないような感覚。

心ここにあらず。

現実世界を見る視界はぼんやりと半眼でしかみれていない。

両目でしっかりと今やっている事に向かう事などできない。

私の中のうるさい何かを抑えるだけでもエネルギーを膨大と使うので、トイレやお風呂、部屋で一人になるときは、抑えられず駄々洩れ状態だった。

さすがにこの状態を誰かに見られたらまずいとは思っていた。


この靄の中から一生逃れられないんだろうか。

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888字

発達障害という言葉がない時代を生きた私の普通の人として歩んだ人生録。

まだ発達障害という言葉が世間になじみがない頃に生まれた私。 普通の子として人生を生きて生きた私の「大人になるまで」をここに記録しました。

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