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通学路の思い出

小学生の頃は神奈川県横須賀市に住んでいて、自宅から小学校までは子どもの足で20分くらいの通学路を歩いて通っていた。
当時は集団登校なんて仕組みはなくて、近所の友だちを迎えに行ったり、迎えに来てもらったりして通っていた。
川沿いの幹線道路脇の歩道を歩いてくと、途中で陸上自衛隊久里浜駐屯地の門の前を通る。
一緒に通っていた友達のお父さんが自衛隊員だったので、制服とかには馴染みはあったけど、門の両脇でライフルを片手に抱えピクリとも動かずにいる門番が怖くて、チラリと視線で確認して小走りに通り過ぎていた。

朝の登校時は同級生だけではなく、高学年のお姉さんお兄さんたちとも一緒になることがあって、賑やかな通学路になるのだけど、下校時は同じ方向の同級生だけになることが多く、しかもクラスによって下校時間が微妙にずれるので、そんな日は同じクラスのA君と二人きりになるタイミングもあった。
二人きりといっても一緒に下校するわけではなく、何となく気まずい時間になっていた。
私を避けるように走ってリードするA君だけど、少し先を行っては街路樹の虫とかに気を取られ、いつの間にか私が追い付いてくると、また走って追い抜いていく。
そんなA君の素振りが気に入らず、私も追い抜かれたら追い返すということを何度か繰り返し、あっという間に家にたどり着いていました(笑)

その日もA君とデッドヒートを繰り返すことになりそうな予感がって、隣のクラスのSちゃんを下駄箱で待って下校することにしました。
A君は私の前を通り過ぎ、一足先に帰って行った。
ほどなくSちゃんがやってきて、一緒におしゃべりをしながら歩いていると、川を渡った先の橋のたもとでうずくまっているA君を見かけました。
最初は声を掛けずに通り過ぎようとしましたが、子犬の鳴き声が聞こえてきたので、Sちゃんと一緒にA君の元へ駆け寄ってみると、3匹の子犬を抱えて途方に暮れているA君がいました。
「どうしたの?」
「捨て犬かな?鳴いてた」とA君。
私とSちゃんはアパート住まいだったので、きっと親に言っても飼ってもらえそうもなく、それはA君も同じだったようで、放って帰れないでいました。

その後どうなったのか、肝心な部分の記憶が途切れてしまっている。
結局A君は3匹の子犬を自分の家に連れて帰ったようですが、案の定飼ってもらえず、近くの公園で近所の男の子たちと一緒に餌をやって面倒を見てました。
そのうち1匹減り、もう1匹いなくなり。
最後に残った子犬はすっかり大きくなって、近所の野良犬として生きていました。
朝の登校時にはA君を橋のところまで来て見送る犬がいて、決して川に架かる橋を渡って来ることはありませんでした。
そしていつの間にかその犬は「太郎」と名前を付けてもらって、A君の家の番犬に昇格!
その頃には私もA君のことを、結構良いヤツという印象を持って接することができていて、下校時に一緒になってもデッドヒートを繰り広げることはなくなっていました(笑)
今から思えば、A君が初恋の人だったのかも?!

小学校の通学路が、最近になって無性に懐かしくなり、ストリートビューで辿ってみたこともありましたが、様変わりした街並みを見ると時間の流れを感じます。
通学路の道幅が広くなっていたり、川に架かっていた橋が立派になっていたり、お小遣いを持って通った近所の駄菓子屋が大きなスーパーになっていたり・・・。
それでも当時の残像が残っていて、忘れていた幼い頃の出来事が思い出されて懐かしく、行ってみたい気持ちがあふれてきています。
秋になったら行ってみようか。
そして当時の通学路を歩いてみよう。
もしかするとタイムトリップ出来るかも知れないしね。




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