執念深い猫が習慣化を済ませている件について

朝寝をしてしまった。朝寝。あさね、とは、早朝に就寝することである(自分調べ)。

おおよそ午前4時から就寝したらば朝寝である。
夜に寝てないのである。
朝に、朝日が匂い立つ矢先に、寝ているのである。これが夜にうまく寝つくことができなかった人間の就寝もよう。当然、起床は、昼前後となる。

人間は、ああ、今日は、いや今日も大失敗だ……などと疲れてようやく眠れる。

しかし。

アナタは猫といっしょにお住みであろうか。猫のタイムスケジュールは厳格である。かつて戦国時代、豊臣秀吉は、朝鮮出兵の折りに7匹の猫を同伴させた。その目的は猫たちによる現在時刻の証明であった。猫たちの寝起き、習慣、腹時計、それらの正確さはずば抜けていると秀吉は一目を置いていたのである。

ちなみに秀吉は愛猫家であったそうだ。おそらくメロメロであったのだろう。

愛猫家の欲目をわきにしても、猫は、やはり時間に正確ないきものだ。
現在時刻の覚え方、習慣としたなら、時間どおりに、そのタイムスケジュール通りに行動しないと、とにかく気が済まない。猫の性格に依存する側面はおおいにあるが、我が家には一匹、とても執念深い者が居る。

私が実家に病気療養のために世話になってから、三ヶ月が経とうとしている。
そして、かの猫と仲良くなりはじめ、朝ごはん後のお遊びタイム、ごはんのあとのオヤスミタイムの前に30分から50分ほどとにかく猫と遊びまわる、そんなふうになってから、思えばそれは12月末ごろから定着しはじめ、今、2月11日にてほぼ2ヶ月、ほぼ66日間は過ぎていることだろう。

2ヶ月間、66日間。

人間が、おおよそ、『それ』を習慣化させるにあたって、毎日続けていれば習慣化されるといわれる、心理学と行動学による知見である。

そう、私が猫ならば、朝ごはんのあとのお遊びタイムは、8時から9時にかけて始まるものだ、習慣として肉体と神経が覚えている。
習慣化にとっくに成功している。私が猫で遊びが毎日の楽しみの一つなら。

そして、我が家、もとい実家には、執念深い者が、一匹居る。

私は、今日も朝の活動に間に合わず、むしろ目が冴えてしまって深夜3時にノートを広げて書きものをしていた。くだんの猫も起きてきて、めずらしくこの時間にノートをしたためている私の周りをうろうろしたり、離席したスキを狙ってイスを奪って座ってハチ公のように胸を張るなどしていた。20分ほど私をからかって、トイレをして、猫はリビングを歩き去り、家族の布団へと戻っていった。

まぁかわいい。

私の感想であった。

それから深夜4時ごろ、疲労感を覚え、リビングに横になり。眠ってしまい、肩や腰の痛みで目が覚めると小一時間が過ぎていた。私は、よたよた、ノートなどをかたづけて布団に向かい、朝寝の床にぶじに着けた。

いや無事ではない。朝寝とは。いやなんだその不健康な生活は。
そんなことは二度目をするんじゃないよ。

けれども。深く寝入ることができて数時間、にゃおうにゃうんにゃーにゃーにゃ、猫の遠吠えが耳にこびりついて脳を揺さぶるのであった。そんなこともうするんじゃないよ。猫からの助言だ。

いやちがう、猫のタイムスケジュールであった。

起こされて見てみると、時刻は朝の10時すぎ。

いやねむいわ。まだねるわ。

しかし。

みゃうみゃみゃーーーーーう。

猫は執念深く鳴きつづけるのだった。いやうるさいわ。起きるわ、この決意に至るまで、3分ほどであった。
起きてみるとリビングにはなんとか、くだんの執念深い猫をいさめようと、オモチャが散乱していた。もっとも早起きである母の苦労がしのばれた。

私は、執念深い猫の名を呼び、廊下に呼び出した。もう一匹の執念深くない猫は、もう朝ごはんのあとのオヤスミタイムを迎えており、スヤスヤと鳴きさわぐ執念深い猫を放って眠っているのであった。

階を変えて、執念深い猫と廊下でたわむれる。
いやお前。眠そうで遊びにほとんど反応しないじゃないか。キミってヤツは。

それでも、そこにあるものを新しく組み合わせてみてオモチャを新規作成して、執念深い猫を走らせた。猫は何回も走って、立ち上がって、ほんの5分ほどでそれを辞めた。

階段をあがっていき、それとなく終わりのムードを漂わせる。いやキミね。確かに、この2ヶ月ばかりでは、もう寝ている時間だけれどね、キミってヤツは。

執念深い猫をホメホメしてナデナデして、オモチャを最後に捕獲させて、狩りのデキを私は褒めたたえて過剰に執念深い猫をもちあげた。

執念深い猫は、定番の、遊びの合間の『おやつタイム』『水分補給ダウンタイム』をたてつづけに終わらせた。

ちょっと、座るなどもする。ホメホメされてナデナデされて『(/・ω・)/にゃー!』と暴れて、そして朝の睡眠場所である猫トンネルへと突入していった。それきりだった。

今、くだんの執念深い猫は寝ている。
執念深くないほうの猫は、執念深い猫に、オヤスミ前のウロウロタイムにちょっかいを出されてウザそうにしていた。

かくして執念深い猫は猫トンネルに入って就寝し、私は朝餉(あさげ)になぜかバームクーヘンをつまみ、緑茶をいれて一息をつき、現在、習慣化をめざしている、朝の活動に着手して、今である。

いや猫のが先にとっくに習慣化に成功しているではないか。
いやねむ。眠いわ。

しかし、自業自得なのであった。

いやごめん、愛猫よ……。執念深い愛猫よ……本気で執念深い猫だな、キミってやつは。

カワイイやつである。



END.

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