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元913.6の住人

今日は読書の話。
この数字に馴染みがある人は、たぶん仲間だ。ちなみに私は"キューイチサンテンロク"と読んでる。

これは「日本十進分類法」といって、図書館の本をカテゴリーに分類して配架するときに使われる数字で、913.6の場合、9(文学)1(日本)3(小説・物語).6(近・現代)を表す。すなわち最近の日本の小説。

なんで仲間かというと、こんな数字覚えるなんて、たぶん私と同じように中学高校時代、図書館に入り浸って小説を貪り読んでた人たちだろうだから。

読書だけの孤独な学校生活の傷を舐め合いたい訳ではない。ただ、"クラスメートの誰よりも図書館と本に執着しててキモかったな"という自虐に近い意識と、それを共有出来る喜びみたいなのがある。そう、ハイコンテクストな会話が好きなオタクなのです。


住人というだけあって、高校生まではとにかく小説ばっかり読んでた。
そして、自己啓発本をめっちゃ避けていた。これは当時から理由が明白で、著者の私見が入ることに嫌悪感があったからだ。
啓発本に対して、ナチュラルに「あなたの感想ですよね」て思ってたし、著者のバックグラウンドあっての結論だから再現性がない、と勝手に烙印を押していた。
今思えば許容度が少ない子どもなんだけど、当時は本に対する信頼感というか、こっちも100%で受け取るもの、と考えていたから、自分が聞き入れられない考えを披露される可能性がある本は避けていたのだ。

というわけで、中高生時代はブルーバックスとかを挟みつつも、もっぱら物語の世界に浸っていた。
好んで読んでいたのは、伊坂幸太郎、上橋菜穂子、綿矢りさ、万城目学、海堂尊、江國香織、石田衣良、有川浩あたり。ダン・ブラウンとフィリッパ・グレゴリーも好きだし、中2全開のときは入間人間がお気に入りだった。
あの頃本屋で平置きになってた人たちばかりだし世代バレるな。

図書館で気になる本をあらかた物色し終えた私は、新しいソリューションを生み出した。
学校の帰り道に大きな本屋さんがあるので、読みたい本をチェックしておく。新しい本はすぐに図書館に入らないから、司書さんに購入申請をする。図書館に入ってきたら、授業終わりに取りに行く。帰りにまた本屋さん物色。帰宅したら借りた本を読む。
本屋で気になった本は、今以上にいくらでも読むことが出来ていた。

放課後に教室で友達とだらだら過ごすかギターの練習をして、時々マクドのポテトを食べて帰る。本屋さんに寄り道する。帰宅したら読みたい本が手元にある。最高じゃない?


そして、社会人になり最近また本を読むようになったら、本や大人に対する考えが変わっていて、啓発本を手に取ることに抵抗がなくなっていた。

大きな心境の変化としては、食わず嫌いせずその人の良いところや面白い視点だけ切り取って参考にしたり、自分のものにすればいいんだ、気付いたことだと思う。言い方は悪いけれど、話半分でいったん受け入れてから、取捨選択する感じ。
その調子で啓発本も読むようになると、受け入れられる部分が格段に増えた。

最近読んで、なるほどと思った本を紹介してみる。
ビジネス本に近いけれど、ベースとしてメンタル面の話をしているので、啓発本ということにしている。

■失敗の科学
失敗をすぐに業界全体に共有し、責任を問うよりも構造から原因を分析し、今後同じことが発生しないように学びに繋げる航空業界。この風土作りがいかに難しくて大切なことか、他の業界の例を上げながら説明してくれてる。シンプルにくそおもろい。


■チーズはどこに消えた?
物語でメッセージ伝えてくるタイプ。痛いところつかれたから記憶に残ってる。色んな局面でどんなバイアスが働くか俯瞰して見れる(でもこれ私やっちゃうな〜、てなる)から、こうしろああしろって言われるより効く。


■The Goal
自分の業種ではだいぶ有名な本。仕事の幅が広がるかと思って読んだけど、案外プライベートでも使える。
起こっている問題と登場人物と最終的な目標(ありたい姿)を切り離すことで感情を介入させない構造を作る、という考え方が修羅場苦手な私にはかなり有用だった。
なんかまあ色んなソリューションが紹介されていて、自分にハマるやつだけ参考にすればいいと思う。


書影と紹介文の順番が逆なのは、自分が本のビジュアルを見てから説明文を読みたいタイプだからです。見にくかったらすみません。

3冊とも啓発本を毛嫌いしていた自分でもほぼ引っ掛からずに読めた。そういう考え方すれば楽になるな〜という気付きが多い本たちだったので、ほんとは周りにも勧めたい。勧めないけど。



そういえば読書について、自分を買いかぶってたところがあった。小さい頃から人より活字に馴染んでた自負があったんだけど、小説以外を読むようになってから自分の読書用の筋肉がそこまで発達してないことに気付いた。
具体的には『銃・病原菌・鉄』を読んでて、文章自体はたぶんそこまで難しくないけど、一定時間以上読み進めると目が滑り出す。これたぶん筋力不足だと思う。
大人になってから鍛えるのは難しいから、もうしょうがないね。

あと、最近は読むより買う量が増えていって積読してしまっているのも気がかりだ。時間がかかる娯楽ほど面白いし満足度が高いのは分かってるけど手を伸ばすのにもエネルギーがいるし、手近な娯楽が多すぎる。
中高生の時期にショート動画やインスタがそこまで流行ってなくて助かった。たぶん一生板橋ハウスの動画みてるよ。毎日投稿ありがたいぜ。


おわり!

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