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②【ベツレヘム】パレスチナ自治区”ベツレヘム”へ〜キリスト教の聖地巡礼とバンクシー・アート巡り〜

シャローム。イスラエルのテルアビブ在住のがんちゃんです。
今回は、ベツレヘムバスツアーのPart②です。
Part①の記事は、こちら…聖誕教会について記載しています。

YouTubeにて、ベツレヘムの動画も公開中です。@ganchan_in_israel

Part①に記載した”聖誕教会”の外観。

旧約聖書では”ダビデの街”。新約聖書では”キリスト生誕の地”として知られるベツレヘムの見どころとしては、聖地巡礼の他に、近代ではイスラエルとパレスチナを隔てる分離壁に描かれた”バンクシー”のアートや"The Walled Off Hotel”も有名です。
街を見守るように佇む教会と、無機質で退廃的な分離壁。
あまりに対照的な表情を併せ持った、この街での体験をシェアします。

☆イスラエルの基本情報はこちらをCheck!
これを読めばイスラエルを語れる〜入門編〜
☆パレスチナ、バンクシーの基本情報はこちらをCheck!
これを読めばイスラエルを語れる〜中級編〜

夕日に染まるベツレヘム。(Photo by あやのさん)

ミルク・グロッド教会(Milk Grotto Church)

聖誕教会から、東に5分ほど歩いた先にあるのは"ミルク・グロット教会”。
元になる教会は5世紀には既に建っていましたが、現在の教会は1892年にフランシスコ修道会によって建てられたものです。

ミルク・グロット教会の外観。立っている旗は、聖地でローマ・カトリックが使用する”エルサレムクロス”。

乳白色の美しいこの教会には、近所のキリスト教徒やムスリムによって、語り継がれてきた伝説があります。

美しいミルク・グロット教会。

【古い伝説のある教会】
マリアが洞窟の中で、生まれたばかりのイエスといる時に、天使から「ヘロデ大王が*幼児虐殺を企てているから、早く子供をエジプトに逃さなければならない。」と、聖ヨセフにお告げがありました。
出かける準備をしながら子供を見守るマリアを急かしたら、母乳が何滴か地面にこぼれ、赤かった地面が乳白色に染まったのだという。

ミルク・グロット教会の中。


*幼児虐殺
…新たにユダヤ人の王となる子がベツレヘムで生まれた、と聞いて怯えたユダヤの支配者ヘロデ大王が、ベツレヘムにいる2歳以下の男児を全て殺害した。

エジプトへ避難する、聖ヨセフとマリアとイエスの像。

教会に入り階段を下ると、エジプトへと避難する、聖ヨセフとマリアとイエスの像が目に入ります。
彼らは、ヘロデ大王が亡くなるまでの3年間をエジプトで過ごし、その後はナザレに戻り、イエスが30歳になった頃から宣教活動始めたと言われています。

【マリアの珍しい絵】
ミルク・グロッド教会はそんな言い伝えから、不妊に悩むカップルや、乳が出にくい女性たちが昔からお祈りを捧げに訪れたそう。
教会の奥にはイエスにお乳を与えている、マリアの珍しい絵が飾られています。

乳を出しているマリアの絵は珍しいそう。

ヘロデ大王が幼児虐殺を企てていることを聞き、悲しい表情をしているマリアの絵もありました。

悲しげな表情を浮かべるマリアの絵。

【ミルク・グロットの壁を削ったお土産】
教会の内部では神父様が、ミルク・グロット教会の壁を削った白い粉を販売しています。
白い粉をお茶に煎じて飲むと、”子を授かる”という言い伝えがあり、全世界から求めてやってくる方がいるんだとか。

2ドルで販売していました。

こちらでしかお目にかかれないものなので、いくつか購入してみました。
壁には、”子供を授かった”という報告で、世界中の赤ちゃんの写真がズラーッと並んでいます。
可愛いらしい言い伝えのあるミルク・グロット教会は、温かい雰囲気に包まれていました。

Milk Grott Church


バンクシーアート鑑賞(Banksy)

21世紀のベツレヘムにおいて、もうひとつの見どころといえば、英国を拠点とするアーティスト、”バンクシー(Banksy)”の反骨精神に溢れた作品の数々です。

彼(彼ら?)の作品を辿って、ベツレヘムの分離壁や隣町の”ベイトサフール”に足を延ばして、5箇所鑑賞してきました。

①防弾チョッキを着た鳩(The Dove of Peace)

平和の象徴である鳩が、防弾チョッキを着ていて銃口で狙われている、という皮肉めいた作品

”防弾チョッキを着た鳩”は、”Palestinian Heritage Center”の横の壁に大きく描かれています。
こちらのお土産屋さんには、パレスチナ自治区の魅力的な工芸品が販売されていたため、是非中まで入ってご覧になってみてください。

Palestinian Heritage Center

②世界一眺めの悪いホテル(The Walled Off Hotel)

残念ながら、この日は営業していなかった。

”防弾チョッキを着た鳩”から歩いてすぐ目に入ってきます。ロビーには面白い仕掛けがあると聞いていたので、中に入って見たかったのですがリベンジしたいと思います。

The Walled Off Hotel

③分離壁をこじ開ける天使(Angels)

7メートルほどある分離壁の上の方に描かれている。

こちらの絵は”The Walled Off Hotel”の目と鼻の先にあります。現存している唯一の、分離壁に描かれたバンクシーの作品だそう。

④ハートをこぼす天使(Angel)

ここからは、ベツレヘムの東側にある街、”ベイトサフール(Bayt Saahoor)”に現存する作品です。

バスの中から。(Photo by あやのさん)

思わぬところに現れる”ハートをこぼす天使”の絵は、Ararat Hotelを後ろにして3分ほど歩き、道を渡った先の壁に描かれています。

Angel

⑤愛は空中に(Love Is In The Air 〈Flower Thrower〉)

男性が手に持つのは、火炎瓶ではなく花束。(Photo by あやのさん)

火炎瓶(暴力)ではなく、花束(愛)を投げて戦え、と言うポジティブなメッセージ性のある作品。突如として現れたガソリンスタンドの壁に、大きく描かれている。
地図上のアパートメントの右斜め方向にある長方形の建物が、バンクシーの絵が描かれたガソリンスタンドです。

Love Is In The Air 〈Flower Thrower〉


パレスチナ自治区に漂う沈滞した雰囲気。その雰囲気も一緒に作品にしてしまうバンクシーの絵は、他のものとは一線を画したアーティスティックさがありました。
皮肉とユーモアを兼ね備えたバンクシーの作品は、パレスチナ自治区の現状を、外界に伝える伝道師的な役割を果たしています。


最後までご覧いただきתודה רבה (トダラバ、ありがとうございます♡)

写真/あやのさん・がんちゃん
文/がんちゃん

【参照】
・地球の歩き方編集室.『地球の歩き方 2019-2020年度版』.株式会社ダイヤモンド社
・ミルトス編集部.河合一充『イスラエル・聖書と歴史 ガイド改訂版』. 株式会社ミルトス

ープロフィールー

“YouTube 始めました!@ganchan_in_israel “

2019年末にイスラエルのテルアビブに駐在を開始。
現在は「もっと近くにイスラエル」「Web版 地球の歩き方・テルアビブ特派員」にて記事を執筆中。


好きな食べ物:すき焼き、ワイン(イスラエルフードではフムスとマラビが特に好き)。
苦手なもの:あんこ、サメ。
マイブーム:ワイナリー巡り、カフェ巡り、イスラエルらしい雑貨集め。
Instagram 
☆ganchan_shalom


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