【がん治療記x受験奮闘記】理系トーク~チタン~

 手術の説明で頭蓋骨をチタンプレートで再固定すると伝えられた。ここで理系の血が騒ぐ。チタン(Ti)といえば腐食されにくい金属の代表格、その酸化物が光触媒として利用されていることも有名である。原子番号22番という比較的軽い金属であるにも関わらず第6周期の貴金属、金(Au)や銀(Ag)と同等の耐食性を持つ。なぜならチタンは緻密な酸化被膜を形成し不動態となるためである。不動態を形成する金属として大学受験では「手にあるコーク」、「鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、コバルト(Co)、クロム(Cr)」と覚えさせられる。アルミニウムに関しては鍋などのアルマイト製品に応用されていることが有名だ。おそらくチタンプレートが体内に入れられるのも同じような理論による耐食性などが理由だろう。理系は楽しい。高校の範囲内だけでも見える世界はガラッと変わる。他にもチタンは酸化被膜の厚さによって様々な色に変わり綺麗な色になることも資料集に載っていた。チタンやその酸化物はリングやブレスレットとしても使われている。受験でチタンについて問われることは少ないため、それに関する知識はあまり持ち合わせていないが、内容としてはとても興味深いものが多いと思う。教科書で見たものが実際に使われているのを見るとうれしい。手術の説明を受けながら化学の身近さを感じることができて興奮した。

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