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サイバーパンク2077が描く「古き悪しき未来」

「古き悪しき未来」一瞬で矛盾するこのキーワードは『サイバーパンク2077』の魅力である。

『サイバーパンク2077』はその名の通り2077年という近未来のアメリカを舞台としたゲームだ。
科学やAI等デジタル技術進歩が凄まじく、機械を体に埋め込むことも普通になっている。そんなギラギラした発展を遂げる一方で、行き過ぎた資本主義により巨大企業が力を強め、戦争や環境破壊に貧富の格差など社会の悪い側面もつよくなっている。そんな「幸福を追い求めた結果ののディストピア」がこの作品の1つのテーマなのだ。
小説なら『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』や『ニューロマンサー』。アニメなら『攻殻機動隊』や『PSYCHO-PASS』に近い世界観である。

ところで、このような近未来のディストピアは現実となるのだろうか?
優秀なAIによって運転、経営されているタクシー会社(サムネイルがコレ)、近年の自動運転や生成AIの話を聞いていればドキッとするような内容である。一方、行き過ぎた資本主義や環境破壊など、「流石にそこまでじゃないだろうな〜」と思うし、「思いたい」部分もある。

ただ、この作品の世界観が作られたのが今から25年前であることを忘れてはならない。ゲームの『サイバーパンク2077』は2020年発売だが、元となったTRPGは1988年に発売されている。残念ながら私は生まれていないので知識でしかないが、当時の延長線という意味であれば、より現実味を帯びた未来だったのではないだろうか。

つまり、サイバーパンクは「昔に描かれた未来」であり、「今」とも違い「今、描かれる未来」ともまた違う世界なのだ。

  • 1988年発売のTRPG版の1作目は『サイバーパンク2013』

  • 1990年発売のTRPG版の2作目は『サイバーパンク2.0.2.0』

  • 2020年発売のゲーム『サイバーパンク2077』

このようにしてみると、時系列的にはサイバーパンクに現実が追いつき、そしてまた先を越されたような状況だ。1988年に分岐した別の世界線、そんな位置づけだろうか。

もちろんSFはフィクションであり、現実とは全くの別物だ。しかし、この作品には「フィクションだからね」と笑い飛ばせないリアルがある。「それができたらいいな」と、「そうはなってほしくない」を兼ね備えているのだ。そんな「古き悪しき未来」を楽しんでみてはいかがだろうか?

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