見出し画像

note13 アイデアの正体とは(5)~アイデアとは、目的と手段のタペストリーだ

※この記事は2013年公開のブログ記事を一部加筆訂正したものです。

はじめに

こんちゃーす!かいぽんです。
今回の記事は「アイデアの正体」シリーズ最終回!

アイデアとは、目的と手段が織りなすタペストリーだよおっかさん

というお話しであります。

<これまでのINDEX>
その1 アイデアの正体とは(1)
その2 
アイデアの正体とは(2)~良いアイデア、悪いアイデアの見分け方
その3 アイデアの正体とは(3)~アイデアはタコ足なのよね~
その4 アイデアの正体とは(4)~目的が先か、手段が先か、それが問題だ……今回(最終回)→ アイデアの正体とは(5)~アイデアとは、目的と手段のタペストリーだ

エジソンの電球ふたたび

これまでご説明してきた「アイデアとは目的と手段の組み合わせ」。またエジソンの電球を例にとってせつめいします。

エジソン電球ツリー基本

エジソンの電球

目的は夜を明るくすること、その手段は白熱電球を開発すること、です。エジソンの時代。当時の電球といえば、点灯してもすぐに燃え尽きてしまい、とても実用的といえるものではありませんでした(電球そのものはエジソンの発明ではなく、当時すでに存在していました)。しかし、物理的に白熱電球を作れても、ほいっとつくってハイすぐ照明に使えるヨ! て簡単な話ではないのです。すぐキレるハゲ電球なんぞ役に立つかあっ!!

しかしここにエジソンの発想の偉さがあります。エジソンはすぐに切れて使い物になるんかいな? という電球をなんとか長寿命化し、白熱電球による夜間照明を実現しようという、イノベーションを画策したのであります。

目的と手段の連鎖構造

ある手段があったとき、その手段を目的として再定義することで、さらに下層の手段を発生させることができます。

エジソンの例の場合、「夜を照らす(目的)」「電球を使う(手段)」というのが当初のアイデア構造でした。しかしその後、「電球を使う(目的)」ためには「長寿命化する(手段)」必要があることがわかります。

当初は「電球を使う」という手段であったものを、中間の目的として再定義する。そしてその目的(電球を使う)を達成するために、その下層に「長寿命化する」という手段がぶら下がることになります。

文章で書くと複雑ですが、図にすると簡単です。上流から下流へ伸びた流れがよくわかると思います。

画像3

下層に新たな手段が生まれる

チャンクダウン

さて、ここで「長寿命化する」という手段も目的化し、さらにもう一段下層の手段を生み出してみましょう。

白熱電球03改

さらに下層の手段を生み出す

エジソンの苦闘はさらに続きます。すごい執念だ。どんだけ電球を愛してるんだ変態か。その変態的な粘りによって、真空化したガラス球(これは別の人が実用化)の採用、さらに京都の竹を使うなどフィラメントを工夫する、という手段に分化します。この場合の手段はタコ足(ひとつの目的から複数の手段が生える形の)構造になりました。

このように、手段を目的化し、それを達成するためのさらなる手段を掘り下げていく作業のことを、専門的には「チャンクダウン」「ブレイクダウン」などと称します。ぼくはチャンクダウンと呼ぶ方が好きですね。なんかおいしそうだから。

ボトムアップ

チャンクダウンとは別に、目的を手段と捉えてさらに上位の目的を見出していく、なんてこともできます。これを「ボトムアップ」といいます。(この言い方はあんまり好きじゃないんで、もっといい表現ないかな)

今回のエジソンの電球の例でいえば、目的「夜を明るくする」とは、なんのための手段なの? その目的はいったい……? と問うことがボトムアップです。その答えとして、例えば「世の中を豊かにする」という新たな目的につながります。もちろんこれは別の目的であっても構いません。人それぞれに自由に。

さらに「世の中を豊かにする」という目的を手段と再定義し、ふたたびボトムアップしていけば「ワシが儲ける」だったり「オレ様の天才を証明する!」だったりの野望、いや目的に行き着きます。

図でまとめるとこうですね。すべての行動論理がビッタビタに繋がっています。

エジソン01

ボトムアップしていく

<ボトムアップを続けていくと……>
余談ですが、その野望の目的をさらに手段と考え、さらなる上位の目的を見出すボトムアップをずっと繰り返していくと……、最終的には「宇宙平和」だとか「神への挑戦」だとか、哲学やら宗教やらの領域に行き着くのでオススメしません。ボトムアップは適当なところで打ち切っておきましょう。

ボトムアップからの~、チャンクダウン!

ボトムアップした目的からまったく新たな手段ツリーを生やしていくこともできます。これが必殺技の「ボトムアップからの~チャンクダウン!」です。(個人的にはアイデアドリフトと呼んでますが)

エジソンの例でもういちど。「世の中を豊かにする(目的)」に対する手段は電球だけではありませんでした。ほかには、

蓄音機をつくったり(手段)
映写機を発明したり(手段)
電話を開発したりする(手段)ことも、
夜を明るくすることとおなじ、「世を豊かにする」ための「手段」でありました。

そういえばエジソンは、その元部下でありライバルでもあるもうひとりの変態天才技師ニコラ・テスラとは対立していました。テスラのようなアホたれ交流電流野郎をぶっつぶすには、直流電流の最強を証明するのが最適です。そのためエジソンは交流電流をつかった動物処刑の公開実験を画策したりとかディスりに必死だったそうですね。

そういった話も含めた構造図にすると、以下のようになります。

エジソン02

エジソンの脳内メーカー??

エジソンが実際にはどのような発想のもと数々の発明をおこなったのかは、実は知らんです。これまでのはなしはすべて個人的な想像です。

今回はこれらの話が事実かどうかは問題でなく、このようにロジックツリーに展開して考えるのがだいじだよ。というサンプルですので、そのへんご留意ください。知らんけど。

なお、「ボトムアップからの~チャンクダウン!」と同様に、そのまったく逆手順で技に入る「チャンクダウンからの~ボトムアーップ!」という技もあります。これもアイデアドリフトの一種です。

上の図を例にとれば、「交流で公開処刑実験(手段)」するならば「ついでに見物料をとって見世物小屋を経営してやろう(目的)」みたいな、生まれた手段に対して別の目的を見出すことです。これが「チャンクダウンからのボトムアップ」ね。やはり経営者としては天才だなエジソン!

このように模式図をプロットすることで、浮いてる目的を見つけて手段へ再定義し、そこに別の新たな目的を見出せないか? というような展開発展が思いつきやすくなります。

これ、慣れれば頭の中だけでできるようになるので自己訓練あるのみ! アイデアドリフトでアイデアの神が降りてくる下り最速伝説を目指しましょう。

「アイデアの正体」最終まとめ

アイデアとは、

目的と手段が織りなすタペストリーだよおっかさん。

アイデアツリータペストリー

アイデア構造ツリーのタペストリー(例)

すばらしいアイデアを生む作業とは、このような強固に複雑に絡んだアイデア構造ツリーのタペストリーを織り上げていく作業にほかなりません。

1・手段を目的化して掘り下げる、チャンクダウン
2・目的を手段ととらえ上位目的を見出す、ボトムアップ
3・ボトムアップして得た目的のための新たな手段を見つける、ボトムアップからの~チャンクダウン!
4・生み出された手段から新たな目的を見出す、チャンクダウンからの~ボトムアーップ!

この4つの技を使いこなして、みなさんも自分の「アイデア」を織り上げていきましょう。わたしもいつも使ってます!

おまけの余談:マインドマップについて

アイデアタペストリーは「マインドマップ」に似てますね。でもマインドマップは、チャンクダウンには強くてもボトムアップには弱い、という欠点が残念です。多くのマインドマップはトップから書き始めることを推奨しているようですので。適当な中間点からスタートできればいいのですが。

ましてやボトムアップからの~チャンクダウン!などの必殺技に対応してるマインドマップツールってちょっと見たことがないかもです。もっとも使い方を工夫すれば似たようなことは可能なのかもしれませんが。知らんけど。

なので、ぼくはマインドマップ否定派です。ブレインストーミング的にアイデアを発散展開していくには都合は良さそうです。しかし、広げた風呂敷を畳む手法や機能に欠けてるので、大して役に立たん! と思ってます。知らんけど。(いやアウトラインには畳めますけど、そういう意味じゃあない)

アイデアタペストリーを描くための強力なツールの登場が待たれますね。

※これのオリジナル記事執筆からすでに10年ぐらいたってますけど、まだそんなのできた話は聞かないなあ
こういうふうにアイデアを発展させてくぼくがおかしいのかなあ……

今回で、アイデアの正体シリーズ全5回は終了です。長かった……。みなさまおつきあいありがとうございました。どうでしたか面白かったでしょうか。役に立てばよいなあ、と思ってがんばりました!

それではみなさままた会いましょう、ばいちゃ~

サポートは100円~と少額からできます! 金額はもうお気持ち程度でまったく充分ですので 記事書く手間賃ぐらいとおもって投げ銭おねがいです<(_ _)> ぼく、いっしょうけんめい頑張って書いたんよ……