見出し画像

note12 アイデアの正体とは(4)~目的が先か、手段が先か、それが問題だ…

※この記事は2012年公開のブログ記事を一部加筆訂正したものです。

ここまでのおさらい

こんばんわんこ!かいぽんです。
みなさまお元気ですかー。今回は、アイデアの正体シリーズ第4回になりますよ~。

<これまでのINDEX>
その1 アイデアの正体とは(1)
その2 アイデアの正体とは(2)~良いアイデア、悪いアイデアの見分け方

その3 アイデアの正体とは(3)~アイデアはタコ足なのよね~
今回→ 第4回 アイデアの正体とは(4)~目的が先か、手段が先か、それが問題だ……

さてさて。「アイデアとは、目的と手段の組み合わせである」と、これまで言ってきました。

目的手段ツリー基本

アイデア構造の基本形

目的が先か、手段が先か

よいアイデアを考案するにはですね、まず

目的のためには、手段を選ばず!

という乾坤一擲の気概が必要です。気合ですよ気合。手段に拘泥せず柔軟にやる。これはまあわかる。

しかしその一方で、

手段のためには、目的を選ばず!

という荒ぶった考え方もあります。モテるためには相手を選ばず!という哀しみを人は抱えているのだ……

……んんん? じゃあ、アイデアを整えるときって、目的と手段とどっちを先に決めたほうがいいの???という疑問が当然のように湧いてくると思います。

鶏が先か卵が先か…… 気に入った女性だから好きになるのか、好きになった女性だから気に入るのか…卵と恋愛は難しい……
なんだか考えてると悲しくなってきちゃった。愛と青春の苦悩から抜け出せない。

しかし安心してください。よく考えれば簡単です。

目的と手段、どちらが先でも構わないッ!

わたしは一向にかまわんッッ!これでいい~んです。

要は「目的と手段の組み合わせ」がどれだけ合理的にフィットしているか、それだけが重要なのです。どちらが先に来ても構いません。そのほうが柔軟な発想ができます!
これで恋愛もシンプルに解決ですね。よかったです。

手段に目的を合わせるのもアリだ!

目的のためには手段を問わず!という考えかたはごくまっとうですよね。反面、手段のためには目的を問わず!というと、なんだか本末転倒ってイメージがあると思います。でもね、世の中にはそれで成功したケースってのもけっこうあるのです。

かつてぼくがデザインした『キャメルトライ』というアーケードゲームでの実例をご紹介します。

どんなゲームか知らない方は →こちらの動画で把握!

手段が先にあった『キャメルトライ』

『キャメルトライ』は画面を回転させてボールをゴールに導くゲームです。当時のアーケードゲーム基板(ハードウェア)に「回転スクリーン」が新しく搭載されたときの話ね。

ちなみに回転スクリーンっていうのは、2Dの背景スクリーンをハード演算で回転させることができる当時最新鋭のハードウェア技術です。

この回転技術を使って、なんかゲームを作ろうということになりました。そこでパッと閃いたのは、”回転スクリーンを使って迷路を回転させてボールを転がす迷路ゲーム”というフラッシュアイデア。

さて、画面を回すのはいいですが、このままではアイデアとして成立していません。”画面を回せ!タマを転がせ!”という手段のみしかない。これでは単なる”思いつき”のネタレベルです。

回してどうするんだ?何に向かって回すんだ?このタマはどこに向かって転がっていくんだ?!回したり転がしたり、オマエはいったいなにが目的なんだ!!さっぱりわからない!!!

あるいは、”回転スクリーンを使ってなんかおもろいことをする”という目的、つまり見えないインビジブルな目的はあるかもしれない。でもそれでは役には立たない。

たしかに回転スクリーンでぐるぐる回せるのはなんかおもろいですけど、その目的て、単に典型的な”作り手の都合”、”技術のみせびらかし”であって、商品としての目的じゃないよね。大きくはアーケードゲームとして売れることって目的があるにはあるけど、遠い。
「回したから(手段)、売れる(目的)」というロジックでは、それ成り立ってないですよね。間をつなげる追加のロジックが必要です。

そして目的が創造される

そこでぼくは、”画面を回す”という手段は生かした状態で、”こいつはレースゲームだぞ”というゲーム上の目的を設定することにしました。

正直にいうと天才マーク・サーニーの名作『マーブルマッドネス』からインスパイアされたわけですが。

あなたは迷路を回して時間内にタマタマをゴールへ導かねばならない。そいつがこのゲームの目的だ!

かくして、『キャメルトライ』はタイムレースという目的を得て、制限時間内にスタート地点からゴール地点まで走破するゲームへと昇華されました。最初からあった手段に、後付けでゲーム目的を設定し、素敵なマリアージュに仕上げたわけです。えっへん!

アイデア構造ツリーのロジック検証をする

目的を設定したら、手段との組み合わせがちゃんとロジカルに繋がっているか?それをチェックします。

目的手段ツリー基本

もいちどこれを思い出そう。

「画面を回して(手段)、時間内にゴールまでタマを転がす(目的)」

おお、これならしっかり意味が通じてる。ロジックが通ってる。
やったぜ!手段が相応しい目的を得た瞬間だ。手段が先にあっても、ちゃんとした目的が後からでもやってくれば、それでいーんです!

目的と手段の組み合わせでアイデアを評価

ちなみにタイムレースっていうゲームデザインは、ビデオゲーム黎明期から存在する非常に古い手法ですよね。

・タイムレースという古いありがちな ”目的”
・画面を回転するという(当時としては)まったく新しい ”手段”

つまりこういう組み合わせになっています。なんてこった!『キャメルトライ』はヒットするアイデアの条件を備えたものでした。今思えばね!

Inked目的と手段の組み合わせ_LI

(参照→ アイデアの正体とは(2)~良いアイデア、悪いアイデアの見分け方

考えるな、感じろ🕺

目的が先か、手段が先か、どちらが先かをこだわることに意味はありません。目的は手段のために!手段は目的のために!こだらわずにベストマッチする組み合わせを考えましょう。

そのときにキーとなるのは、ズバリ直感です。
ええ~?!ここにきて直感…だと……?!

いえいえ、聞こえますか……目的が主で、手段が従なのか、それとも目的が従で、手段が主なのか、その判断は……直感で行なうのです……

先の『キャメルトライ』の例では”手段が主”です。画面を回すという手段が主だ。この手段だけは動かせない。絶対に変えたくない!そのためなら目的など問わぬ!!わたしは何でも一向にかまわんッッ!

と、ぼくがそう判断した合理的な理由は、実はなんにもないんですよ。直感というか、単に回したくてしょうがなかった。ヤダヤダ回転スクリーンだし回したいよう~。それだけ。それ以外のなにものでもないのです。そういうのだいじ。直感を強く信じよう!

そのうえで、従たる目的は、あるいは従たる手段は、主のほうを生かすためにどんどん取り替えろ!っていうのがぼくのおすすめするアイデア発想メソッドです。

結局のところ、目的と手段、どっちが先にあっても(どっちが主でも)、アイデアの世界ではどちらでも構わないのであります!(恋愛でもね!)

おわりに

今回のお話しはおもしろかったでしょうか~。なにかみなさんの参考になれば幸いです。
さて次回はいよいよアイデアの正体シリーズの最終回!ここまで長かったね!デザインとは、アイデアが織りなすタペストリーだ!ってお話しをしますよん。

それではアスタルエゴ~!

サポートは100円~と少額からできます! 金額はもうお気持ち程度でまったく充分ですので 記事書く手間賃ぐらいとおもって投げ銭おねがいです<(_ _)> ぼく、いっしょうけんめい頑張って書いたんよ……