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「ぼくたちのリメイク」恭弥を通して感じた事。

ぼくたちのリメイク、面白いです。毎回読む度にそう思います。
今回は4巻まで読み終えて、よりこの作品を深く掘り下げていこうかなと。


この作品はタイムスリップし、再び人生をやり直し、より良い人生を生きようとするリライフもの。タイムスリップするまでの経験を活かし、人生を再設計していくのはある種、報われる話のように見えるかもしれません。

しかし、そもそも恭弥は過去に遡り、元々は関わるはずがなかった人達と関わっています。それが、タイムスリップする前の世界でずっと憧れていたクリエイター達です。恭弥は、元々あった過去を改変する事で、自分が送りたかった人生を送っているわけです。


そしてそれは、憧れの人達の未来を違う未来にしている事にもなります。

確かに彼らは元々才能を持っていて、将来的にその才能を開花させています。しかし、それは恭弥が関わないという形だったからからこそ、開花した才能でもあるのです。


恭弥は、叶わないと諦めていた夢を自分の力で勝ち取り、彼らの才能とその行く末を知っていたからこそ、彼らをより支えるし、彼らの才能を活かそうと必死になります。それが恭弥の生きたかった人生だからです。


それが自分が彼らに関わる事で、彼らの唯一無二の才能を消してしまう事になるのは、読んでいてとても残酷に思えました。


僕は元々ライトノベルは全く読んだことはなく、まともに読み始めたのも、ぼくたちのリメイクが初めてでした。
「10年前に戻って、クリエイターになろう!」1巻のキャッチコピーを見て、元々ゲームクリエイター志望だった僕は、恭弥の境遇にも強く惹かれ、現在4巻まで読み進めてきました。


この作品は、ところどころ都合のいい展開があるかもしれません。そもそも10年前に急にタイムスリップした時点で、どういうこっちゃです。


しかし、恭弥が他のクリエイター達とぶつかり、タイムスリップした事を呪い、それでも、ゲームが好きだ、物作りが好きだ、という信念を持っては、試行錯誤し、前を向き続ける姿はとても見応えのあるものでした。


この作品は橋場恭弥が、他の誰よりも多くの経験を、普通じゃありえない量と形で経験し成長していく、彼だけが紡げる物語なんだなと思いました。

彼を通して見えてくるものが時間の壁を超えて、読者もそれを一緒に体験出来る点で、この作品は稀有な作品だと感じます。


これだけこの作品に引き込まれたのは、恭弥を含む様々なクリエイターの苦悩や、やりがいを、どちらも欠かす事なく描いているからで、読んでいる僕自身も、ゲーム開発というものに憧れていたからかもしれません。


この作品を作ってくれた原作の木緒なちさんには、本当に感謝してます。
このような作品を読ませてくれて、ライトノベルに触れるきっかけを作ってくれてありがとうございます。
これからも本作の続きを楽しみにしてます。

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