それでも、「滅び」は美しい。 第一稿
アート/空家 二人
GWに、現代アートを取り扱うギャラリー「アート/空家 二人」を訪問した。ここは、作品を1万円から販売していて、購入されるごとに次回作の価格が上がるという独自のシステムを導入しているギャラリーだ。
一軒家を改造して作られたという展示空間は、明るく広々としていて、作品をじっくりと堪能できる。室内は、畳や台所、洗面所などの住居設備はそのままにしていて、「家感」がそこかしこに漂っているのがなんとも良い。
畳の上に映像作品が流れていたり、台所の側に立体作品がどどんっと展示されてたり、かなりユニークな空間になっている。
時おり、オーナーの三木さんが作家や作品について軽妙で細やかな説明をしてくれる。それがまたハンパなく引き込み力があるので、観ていると作品への興味関心が泉のように湧き起ってくる。
ここに来ると現代アートが面白く感じるし、とても気軽に、作品が欲しくなってくるから不思議だ。「現代アートを観るぞ!頑張って理解するぞ!」みたいなテンション(現代アートを観るときって、謎に構えてしまう)が鎮まって、素直なきもちで作品を楽しむことができる。
写大ギャラリー
翌日は東京工芸大学が運営する「写大ギャラリー」へ。夕暮れ時に慌てて滑り込んだ。ここは、1万点を超える著名写真家たちのオリジナル・プリントを所蔵している写真専門のギャラリー。
ウィン・バロックやアンセル・アダムス、エドワード・ウエストンなどなど世界的巨匠のみならず、土門拳や森山大道のコレクションも一千点以上保有しているそうだ。モノクローム写真に心を寄せる私にとって、この名の羅列だけでも心がときめいてしまう。
階段を登って展示室に向かうと、主要なカメラメーカーの歴代フィルムカメラたちがずらずらと展示されている。
展示室に入ると、学生さんと思しき人達がちらほら。授業を終えたその足で、こんな良い作品群をふらりと見にこれる環境が羨ましい。薄暗い空間に作品が並び、ぽつぽつとスポットライトの光が落ちていて、落ち着いた雰囲気だ。ふ、と展示作品に目を向けると、あっという間に視線を奪われた。
土門拳のシャッターによって切り取られた、古寺や仏たちの姿が、在った。
今回は三回に分けて「アート/空家 二人」で出会ったとある作品と、写大ギャラリーで鑑賞した土門拳の写真について思考したことを記します。
次の投稿へ続きます!
筆者が運営しているWEBギャラリーです。
「アートをもっと、そばに」がコンセプト。
よければ遊びに来てください。
gallery hyphen
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?