零細企業はニッチな市場をピンポイントに掘り続けよ!
顧客がインターネット中心に情報を得ることが当たり前の今、より深く顧客のニーズに刺さるにはニッチ視点がやはり大事、という話
先日建設業に関するオンラインセミナーに参加した。「コロナ後の建設業の在り方」というフワッとしたテーマであったが内容がまた眠気を誘うような本質からずれたSDGsやらDXやらの少し古いバズワードてんこ盛りの建設業らしいセミナーであった。
主催者側とは裏腹に参加者においては現状の危機感をかなり感じている方も多く、セミナーの内容以上にリアルな「在り方」について意見や議論が飛び交っていた。
その「在り方」としての正解はさておき、参加者の話している内容を傍観していて気が付いたのだが、同業の方々が会社や営業するエリアに違いがあるにもかかわらず、同じ市場、同じ顧客層を対象としているようなのだ。
今回のセミナーの対象が「小規模会社」ということもあるのだろうし、実際には細分化できているのかもしれないが、随分と昔から対象としてきた顧客層と未だに変わっていないという感覚が見て取れたのだ。
もっと言えば顧客層などあまり意識もせず、お金を払ってくれる属性=お客様ということのようなことのようだ。
私も自分が出来ているかどうか怪しいところなのであまり偉そうなことは言えないが、顧客にはかなり細かい属性が存在する。ビジネス的なプロファイリングを進めていけばキリがないほどである。
顧客自身がインターネット中心に消費行動を行うようになってからは自分の問題をより具体的に解決しようという傾向がある。
例えば家の塗装を考えたとき「近くの業者」「コストが安い」「断熱塗料の扱いがある」など、その消費者の各個人で重視するポイントの違いを自ら簡単に選択し、情報を取りに行くことが可能になったため、昔のように「家の塗装を考えている顧客」というような大雑把な属性ではなくなっている。
そして提供者側も時代により多かれ少なかれ変化しているはずなのだ。その変化を表現したり、顕在化されていない強みを強調するなりして、自社にとって相性のいい属性の顧客層にアプローチすることで安定的な売上げや効率的な集客は実現可能だと思う。
それを投網漁のように昔から釣り場としてきた川にバサッと網を投げたところで川の環境も変わり、その変化に順応した魚は時代にあった住処をとっくに見つけている。更新されていないのは捕獲する側の人間のみという状態である。
投網にかかる魚の数が減っているのを時代や環境のせいにするのではなく、自身の網や竿に改良を重ね、対象の魚が生息する住処を探さなくてはならない。上流専門や岩場の裏専門、季節などを限定してもいいだろう。ニッチな領域で探究を続ければいずれ入食い状態も夢ではない。
重要なのは今の業種の枠にとらわれず、様々な角度から自社の商品(製品・サービス)に価値を感じてくれる顧客層を掘り当てることにある。
「在り方」はそれぞれで定義すればいい。業界や世間が決めた在り方より、その会社がどこの魚群と真摯に向き合っていきたいかという姿勢がそのまま会社の在り方になり、その属性がたまたま建設業ということだけなのだと私は思う。
自社の特性を明確にし、より価値を感じていただける狭い市場にアプローチする
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?