【自分の頭で考える】商売のどこを人に託すか?
普段お世話になっている仕入先の担当営業から、ある大手メーカーが今後展開する予定のプロジェクトについて話を聞いてほしいとのことで時間をとった。
夕方遅くに資料を持参しあらわれた彼は、今日だけで数件の興味を持ちそうな会社を回っていたらしく少々お疲れの様子であった。
まずは話を聞いてみたところ、その大手メーカーがある項目に特化したフランチャイズのようなものを作るらしく、そこに参加しないか?ということであった。
詳しくは月末に予定されている事業説明会でということなのだが、あまり乗り気ではなかった私の様子を察したのか「とりあえず説明だけでも聞いて下さい!」と懇願されてしまう。
勧誘のノルマあったのかはわからないが、結局は押し切られるように説明会に申し込んでしまった。
私がなぜ興味を示さなかったかといえば、プロジェクトの形はどうあれ大きな組織の意向と価値が合致しないことがほとんどであるからだ。
大企業が作ったプランである、中身はよくできたものに違いない。だが、いつも肝心なところで参加した会社への配慮がおざなりになる傾向が強い。
スタート時はWinWinの関係を強調し、頭数を集めることに終始するが、そこからプロジェクトが進むにつれ扱いは雑になりやがて関係は解消されるか自然消滅となる。
今までいくつものそういったプロジェクトを見てきたが、成功した例は皆無である。
なぜ、その様な事態になるのかはいくつもの要因があると思うが、その一つが核となる部分の当事者意識の欠如ではないかと思うのだ。
メーカーの場合、当然のことながらそのプロジェクトはあくまでも事業の一環であり、メインではない。メインの商材を売るために考えられた仕組みのひとつではあるが、フランチャイズビジネスを本業にしている会社とは意気込みも違う。
ゆえにプロジェクトの担当者や事業部の人事の入れ替わりなどにより、ミッションの熱意が薄まり、段々としぼんでいくのである。
困るのは参加費などのチャージを支払っているにもかかわらず、はしごを外される賛同した会社である。
キラキラした話に乗せられて振り回された挙句、捨てられたのではたまったものじゃない。だが、参加した当初には「これで楽して売上げが上がる」とか「大手のバックアップで安定する」といった下心があったのは確かだと思うのだ。
商売として一番肝心な部分を他人に委託する行為は、商売自体を放棄するのと同じではないだろうか?
足りない人材や技術を外注化するのはいいと思うが、「どういった商売をしたいか?」という根本的な問いを他人の考えた提案に乗せるようなインスタントな商売では価値はないとさえ思うのだ。
今回のプロジェクトの説明を聞く前に決めつけるようなことはしないが、私の感覚では、事業のハンドルを握らせるようなことであれば気持ちは動かないと断言できる。
社長が「自分の頭で考える」、これが商売の要であり醍醐味でもある。そして、私にとっての唯一無二の趣味でもあることから放棄することはありえないのである。
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