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【会社経営】何を引き換えに安定を担保するか?

小さな会社ほど安定を重視するあまり、大きな会社の傘下に入る、下請けに徹するなど、引き換えにしているものは多い、という話

都内の現場で、とある協力業者の社長と話をしていた。

この師走において、私がかなりの無茶ブリをしてしまったにもかかわらず、迅速に対応していただき感謝しているこちらの心情とは裏腹に、社長の方は今年の年末は閑古鳥が鳴いていたらしく「むしろ助かった」という感想を持っていたようだ。

結果オーライというわけだが、そこからの世間話では少しグチのようなものも含まれていた。

社長の会社は工事力も高く、対応力も抜群なため弊社も大変助かっているのだが、意外にも直に取引している会社はウチ以外に数社と少ないらしい。

なんでも8割以上が大手建設会社の下請けとしての仕事らしく、その8割の仕事がなかなかに大変らしい。

現地にて確認する現場調査を含め、1ヶ月に作成する見積書は約300件ということらしく、その中で受注されるのは3なんとたったの3%程度。

この割合が多いか少ないかというのは業界や業種にもよるかもしれないが、弊社の場合1ヶ月に作成する見積りは約50件、そのうちの半分以上は受注されるという点で考えるとかなり打率が悪いということが見て取れる。

それでもなお、大手の下請けとして役割りを果たすのには業界のよくある話が要因であった。

「逃げられる心配がない」

このセリフを聞いてピンとくる社長は過去に高額な売掛金や工事代金を支払ってもらえず逃げられた経験があるのだと思う。

私の会社も父の代では何度もその様な経験をし、一次はその影響もあり倒産しかけた経緯がある。

そういった点では気持ちがわからなくもないが、大手の下請けではその他のマイナス要素もあることから弊社は敬遠してきたのだ。

確かに他の小さなビルダーや地場の建設会社と違い、支払いの心配こそないが、工事を実行してから支払いまでのスパンが長く、仕事を供給するという大義名分のもと、単価が低い。

極めつけは要求されることが多いわりに大手のさじ加減で仕事が増えたり減ったりするため、果たして本当に安定なのかどうかも怪しいところなのだ。

経営において、マーケティングと資金繰りを免除できるというのは一見メリットのように感じるが、私からすればその大事な2点を他人に任せてしまうというのはもはや経営ではなく奴隷(言葉が悪くて申し訳ない)の類かと思ってしまうのだ。

現にこの社長においても年末にまさかの閑古鳥が鳴く事態においても、大手は責任を取ってくれる様子はない。それどころか、おそらく資材価格の高騰などで自社の身を守るのに必死なのだとしたら、平気で取引契約をある日突然バッサリと切ることだってあり得るのだ。

社長のところは幸いにも1社依存というわけではないので、2割の直接取引きの割合をもう少し増やすべきだと提案した。

100%直請けが必ずしも良いとは限らないが、安定とは自分の頭で考えたコントロール下でしか実現できないと私なんかは考えてしまうのだ。

安定経営のポートフォリオを考える。取引き先の割合も分散型が望ましい