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【自立思考】「足りない」は最高の教科書

現状で足りない要素があれば、それを埋めよう、補おうという心理が働く。その過程でうまれる試行錯誤が自立したマインドを形成する、という話

とある仕入先業者の営業と打ち合わせ後、業界の近辺による世間話にひろがった。

好調、不調の会社の差が開き、その営業の成績にもバラツキが目立ち始めているという。不調の原因のひとつが経営者の高齢化による事業の先細り。廃業に向けて事業をたたむフェーズということで商売のちからをゆるめている傾向があるというのだ。

そしてもうひとつが、事業継承の結果、2代目、3代目の経営者がうまく軌道修正をできていないパターン。このパターンの場合は試練というか、経営者自身が自分の頭で考え、新しい自分なりの商売を確立するのに必要な時期と思うので、じっくりと様子をみるということが必要になるだろう。



脱皮がうまくいくかどうか。そのままジリ貧になり商売をやめてしまう人も少なくない中、とある共通の知り合いである同世代の経営者の話になった。

1年前に先代の逝去のため経営権がスライドしたようで、そこから転げ落ちるように売上げが減少しているそうだ。よくよく話を聞いてみると、先代の代から商売はジリ貧状態で、売上げの足りない分を自身の預金から補填していたようなのだ。

どうやらその預金も亡くなる直前にほとんど底をついたようで、経営をバトンタッチしたタイミングでは、売上げは足りない、かといって補填できる資金もないという状態。



現在の経営者が路頭に迷うのも無理なはないが、見方を変えればようやく訪れた自立するチャンスとも言えなくはない。

だが、その経営者、現在の状況を先代のせいで最悪な目にあっていると方々で喚き散らしているという。その労力をもう少し商売に向ければ応援者も現れるかもしれないが、立場の弱いメーカーや仕入先にまで八つ当たりする始末。

どのような家庭環境で育ったかは知る由もないが、大人になる過程で何でも苦労せず手に入る環境であったとすれば、いきなり自力でどうにかしなければならない商売の世界へ放り出されたとすれば厳しすぎるかもしれない。



我が家の子供たちを見ていても思うことだが、親が経済的に恵まれているか否かは別として、子供が求めるものを手に入れる過程で、大人が簡単に手を差し伸べてはいけない。

欲求が強ければ、その分自分でどうするべきか考えるだろうし、ときには諦めるという選択がいい経験になることだってある。そうやって試行錯誤することで自分なりの基準ができあがり、苦労して手に入れたものは思入れが宿る。

それを簡単に手に入れられるようになっても、その思いは刻まれた人生訓になると思うのだ。



何かを欲する、何かを目指すなどの未充足の「足りない」という状態は人の成長過程では最高の教科書となる。そこで自力で1ページずつページをめくり、目標物に近づくプロセスこそが最大の成果物といえる。

子供のゆく道を先回りして、石ころを取りのぞいてはいけない


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